@AUTOCAR

写真拡大 (全5枚)

シビックからゴルフへ

シビックからゴルフに乗り換えると、シートの高さを痛感するが、不快というわけではない。さらにそこから308へ場を移すと、エルゴノミクス面での欠点に気付く。

それはたとえば座面の短さであり、ややオフセットしたペダルであり、ステアリング・ホイールと計器盤の根本的な位置決めの問題点である。

まとめるなら、重要なポイントは3つある。

まず、特殊な後席フォールドがなくなっても、実用性でシビックの優位は揺るがない。

荷室容量はライバルたちに対して少なくとも25%は大きく、キャビンも広い。次に、ゴルフ並みの高い質感と扱いやすさが、シビックのキャビンには確かにある。

一方「ホンダ・コネクト」は、デジタル・ラジオやスマートフォンのミラーリング、ガーミンのナビゲーションなど機能満載だが、よくできたインフォテインメント・システムに比べれば、操作性とレスポンスで劣っている。

軽くあれ

プジョーの発表によれば、308の車両重量は1080kg。それが正確な数字かどうかはともかく、加速はたしかに軽さを感じる。

ほか2台よりほんのわずかにトルクで勝り、トランスミッションの段数はひとつ少ないが、回転域の主要な領域を素速く回りきる。

エネルギッシュで軽やかな、熱心なドライバーが3気筒ガソリン・ターボに期待する通りのクルマに感じられる。シビックが到達すべきは、このレベルだ。

この上、308だけがよりよい乗り心地とハンドリング、操作系まで備えていたら、この比較テストのジャッジは難しいものになっただろう。

しかし、このプジョーのシャシーは、そのエンジンほどにはエンスージァストを喜ばせてくれない。ストロークの大きいサスペンションは、路面の不整に遭うとノイジーで、減衰不足な乗り心地を伝えてくる。

コーナリングは十分に巧みだが、ステアリングは過剰にダイレクトでありながら、重さとフィードバックに欠け、自信を持ったコース取りが難しい。

ボディ・コントロールは悪くないが、サスペンションの働きが不十分なためタイヤ依存度が増し、ハンドリングのレスポンスを確保するためステアリング・ホイールは小さいサイズとなる。

走り出しはよかったのだが、最終的にはよい部分と悪い部分がごちゃ混ぜという印象が拭えない。3台の中では、早々に脱落する。

「躾」が命

ホンダのエンジンは、プジョーのそれほどにはトルク感がない。しかし、静粛性とスムースさにかけては、308はおろかゴルフすら凌ぐほどだ。

フリーに回りたがるユニットで、ピーク・パワーの高さから期待する通りのスポーティさをシビックに与えている。

乗り心地とハンドリングは円熟の域にあり、整然かつ精確で、よくしつけられた印象だ。ただし、敏捷なフィーリングはやや物足りない。

ライバルたちよりフラットで、トレッドが広く重心の低い感覚だ。さらにステアリングはどっしりとしていて、より大きなクルマのようなスタビリティがある。

しかしサスペンションが車重を扱いかねる場面もあり、うねった路面では乗り心地が落ち着かず、またフロントは穏やかながらアンダーステア傾向を示す。

結局、シビックの機敏さと活気のブレンドは、よりホイールベースの短い、ハンドリングに優れたハッチバックよりやや劣る。

洗練度や外乱の遮断ぶりはライバルたちに勝るが、ダイナミクスに関してはゴルフの方が一枚上手ということだ。もっともそれはシビックに限らず、その点でゴルフに及ぶハッチバックがどれほどあるか、という話だが。

フォルクスワーゲンのエンジンも静かで、バランスや経済性も上々で、柔順だ。

シビック、勝つか?

プジョーからフォルクスワーゲン・ゴルフに乗り換えるとちょっとばかりフラットで、6段MTはやや引っかかる手応えが気になるが、とりたてて問題にするほどではない。良くも悪くも、印象に残らないパワートレインだともいえる。

サスペンションとステアリングについても記憶に残るようなものではないが、一方、きちんと協調していることはよくわかる。

スプリングが許容するロールは、コーナリング中にさらなるグリップを生み、スタビリティは阻害しない。ステアリングのダイレクトさや重さ、ハンドリングのレスポンスは絶妙のバランスを見せる。

ボディの動きも、ダンパーの作動範囲内に収まっている。これほど完成されたダイナミクスは、偶然で生まれるものではない。

欧州新車市場のトップ・セラーであり、AUTOCAR基準で長年にわたり王座に君臨してきたハッチバック、それこそゴルフだ。フェイスリフトを経たそれは、その初心を再び主張している。

一方、英国で生産される新型シビックは、その王道ハッチバックに迫る実力を見せ、今後の可能性を感じさせた。

これがホンダらしいクルマであろうと、そうでなかろうと、スウィンドン工場製の10タイプのうち6機種は北米市場に送られることこそが、このシビックの本質を表している。これはグローバルカーなのだ。

これまで数十年馴染んだ5ドア・ファミリーカーの基準以上にサイズは大きく、完成度は高くなった。

ならばゴルフに代わる存在か?

残念ながら、まだなりきれてはいない。