古代生物マストドンを原寸大で復元した像。

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 アメリカの研究チームが英科学誌ネイチャーにおいて発表した研究論文によると、人類がアメリカ大陸に到達した年代は、これまで定説となっていた約1万5000年前から大幅に遡り、13万年前には既に到達していたのではないかとする新しい仮説が発表された。

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 この仮説の証拠となっているのは、サンディエゴ(アメリカ・カリフォルニア州)で発掘された古代のゾウ類、マストドンの骨と歯である。残された痕跡から、明らかに人為的な加工が行われていると考えることができ、また石鎚や叩き台も見つかっていることから、このマストドンが生きていた約13万年前、道具を使用し、大型動物であるマストドンを狩猟する能力を持った存在が、北米大陸にいたことになる。

 ただし、先に書いてしまうと、恐らくこの集団はその後のアメリカ大陸の住民たちに遺伝的痕跡を残すことなく死に絶えたであろう、と研究チームは推論しているという。

 さて。遅くとも1万4千数百年ほど前には、南米のかなり南端に近いところまで人類は到達していたらしい。南米でいくつかの遺跡が見つかっているので、これは既に定説となっている。

 重大な問題が一つある。遡ればアフリカで発祥したはずの彼らの祖先は、ユーラシア大陸は徒歩で移動できるとして、そこからどうやってアメリカ大陸に渡ったのか、という問題である。

 年代を特定すれば、寒冷化の影響でベーリング海峡が地続きになっていた時期というのが存在するので、アメリカ大陸の古代人類はすべて北回りルートで南北アメリカ大陸に入りそこから南へ進んで行った人々である、というのがよく知られた説である。ただし、太平洋諸島部から直接南米大陸に到達することも、少なくとも原理的には、古代人の技術でも可能であったことは実証されていて、こちらの説も完全に否定されているわけではない。

 そしてもう一つの問題は、先にも触れたが、このマストドンを狩っていた人々は、13万年前にはまだアフリカ大陸にいた我々現生人類の直接の祖先ではあり得ない。ならば、ネアンデルタール人(4万年前に絶滅)であろうか?それともその他の古い人類であろうか?これらの問題は、研究チームも「謎である」とするにとどめている。