【柔道】全日本選手権、王子谷剛志が3度目の優勝 12年ぶりの連覇

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 柔道の無差別級日本一を決める全日本選手権が29日、日本武道館で行われ、昨年優勝の王子谷剛志(旭化成)が2年連続3度目の優勝を果たした。連覇を達成したのは04、05年で2連覇した鈴木桂治(現在、全日本コーチ)以来11年ぶり、史上11人目。

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 準優勝はウルフ・アロン(東海大学)。3位には、七戸龍(九州電力)と加藤博剛(千葉県警)が入った。

 今大会は8月28日〜9月3日にかけて行われる世界選手権大会(ハンガリー・ブダペスト)の最終選考会も兼ねて行われた。

■苦しみながらの連覇

 連覇を達成した王子谷は2回戦から登場、決勝まで全5試合を戦い抜いた。特に準決勝までの4試合は全試合一本勝ちだったものの、序盤はやや苦戦しての勝ち上がりとなった。

 2回戦の相手は東北地区代表の佐藤大地(山形・羽黒高校教員)。

 81キロ級の選手で、日頃の練習ではあまりやらないタイプの選手との対戦となった。まず、しっかりと組み止めて相手の動きを封じることに専念。組み勝って圧力をかけながら、しっかりと前に出る作戦を取ると佐藤は何もできず、4分18秒で相手に反則負けが宣告された。

 3回戦の相手は関東地区代表の山本幸紀(茨城・日本エースサポート)。

 筑波大学を卒業して、今春日本エースサポートに入社したばかりの22歳。王子谷にとっては、初戦(2回戦)に続いて81キロ級の選手との対戦となった。

 相手も警戒しておりなかなか組み合うことができず、序盤は両者とも指導を1つずつ受ける場面もあった。しかし、2つ持ったところで圧力をかけて前に出ると、体力を消耗したのか攻めることができなくなっていき、3分33秒で相手に反則負けが宣告された。

 準々決勝の相手は尾崎央達(センコー)。

 初出場ながら、2回戦で100キロ級の強化選手でもある下和田翔平(京葉ガス)に優勢勝ちするなど3勝を挙げて準々決勝に進出。王子谷にとっては勢いのある選手との対戦となった。

 尾崎は100キロ超級の選手にしては背が低い、いわゆるアンコ型の選手。しかし、王子谷はしっかりと組み止めて前に出る。ここまではやや攻撃が遅い印象だったが、場外際で体落を仕掛け、逃げようとしたところを内股に変化すると為す術なく畳に落ちて一本。

 2分41秒で一本勝ちして、3年連続の準決勝進出を決めた。

 準決勝の相手は七戸、昨年と同じ組み合わせとなった。

 昨年は、王子谷が大外刈りと大外巻込の合わせ技で一本勝ちを収めた。

 七戸も昨年の雪辱を果たそうと気合十分に組み合うと、内股や背負投を繰り出し場内から歓声が上がった。試合開始から2分経過手前までは緊迫した互角の展開が続いたが、2分過ぎに王子谷が支釣込足を放つと、七戸がたまらず膝をついて防ごうとする。

 王子谷はそこを見逃さず、巧く腕を極めながら七戸を回転させると仰向けにさせて、縦四方固めに抑え込む。七戸も何とか逃げようと必死に動いたものの、返すことはできずに20秒が経過。

 2分41秒で一本勝ちを収めて昨年に続いての決勝進出を果たし、連覇まであと1勝とした。

 決勝の相手は、ウルフアロン。

 ウルフも同じく2回戦からの登場。2回戦の橋爪謙(長野県警)戦をわずか26秒、内股による一本勝ちで勝ち上がると、大野将平(旭化成)を10分近い激戦の末下して勝ち上がった池田賢生(日本中央競馬会)を小外刈で下した。

 準々決勝の上川戦は、組手を徹底して嫌うなど根比べに持ち込み、相手の指導を誘ってゴールデンスコア(GS)の末、指導3による反則勝ちで勝ち上がった。

 準決勝の加藤戦では、開始28秒巴投げで有効を取られる苦しい立ち上がり。しかし、加藤がスタミナを消耗しはじめると徐々に組み勝ち、一方的に攻める展開となる。序盤の有効ポイントで、このまま加藤の勝ちかと思われた残り15秒で、加藤に痛恨の指導3。

 加藤は反則負けを宣告され、ウルフが3度目の出場で初の決勝進出を果たした。

 決勝は、史上初となる東海大学の同門対決。両者を指導してきた上水監督は、「決勝は先輩後輩関係ない。思い切って戦え」とだけ言って送り出した。

 決勝は、序盤から王子谷が組み勝ち、圧力をかけて前に出続けた。ウルフも頭を下げられながらも内股を仕掛けるなど見せ場はあったものの、お互いに決め手を欠いた。終盤にかけてウルフに指導1が与えられて5分の本戦が終了。

 GSに入ると、お互いに組み合って攻め合う、文字通りの「死闘」となった。ここまではウルフもよく圧力を凌いだが、GS1分30秒過ぎにウルフが隅返に入ったところ、ウルフの顎と王子谷の唇(口内)付近から出血。

 この止血作業で休息が入ったことで流れが変わった。

 王子谷はここから組み勝つようになると、ウルフは防戦一方になる。GS開始から2分20秒、ついにウルフに指導2が与えられて王子谷の優勢勝ち。

 王子谷が2年連続3度目の優勝を決めた。

●試合後のコメントは

 王子谷は昨年11月の講道館杯からグランドスラム東京、パリ、選抜体重別とすべての大会で優勝。今回の全日本選手権も合わせると国内外の大会で5連勝となった。世界選手権の代表も確実となったこともあって、インタビューでは「最高です!」を連発していた。

 『初戦から苦しかったが、準々決勝から本来のリズムになった。決勝は後輩との戦いということもあり、「負けられない」と思って戦った。リオ五輪は落選したので、東京を目指しこの3年間を頑張ろうと思った』と語った。

 一方、準優勝となったウルフは、「先輩は組手が厳しく、簡単に攻めさせてはくれなかった。世界選手権では力の強い外国人選手と戦わなければならないが、そういった選手と戦うためのヒントが得られた」と語った。