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ブガッティ・シロンのオーディオに不満

ブガッティ・シロンのオーディオのデモンストレーションの場で、筆者はは衝撃を受けたように振る舞った。

音のすばらしさに衝撃を受けたのではなく、期待値に達しなかったからなのだけど、担当者の顔は満足げだった。たぶん前者だと思いこんだのだろう。

ブガッティ・シロンに音楽をインプットさせるには、USBを挿すだけ。これはカスタマーのオーダーによるものだと彼は語った。

左右のスピーカーの大きさや、シート下に設置されるサブウーファーの種類などもオーダーメイドが可能だという。音質を気にする愛好家に向けたオーディオらしい。

だとすれば、これはおかしい。

家にある、ふつうのオーディオのほうがいい?

シロンのステレオで音楽を聴く数日前、たまたま20年前に買ったアンプとスピーカーを自宅のリビングにセットして音楽を聴いていた。

それを思いだすと、シロンの中で奏でられる筆者のお気に入りの曲は耳あたりが良いが、オーディオとしてはダメだと思った。

一方、さほど高価なものではない筆者のリビング・ルームでは1987年にリミックスされた、サー・サイモン指揮のウィーンオーケストラ音源が綺麗に反響していた。スネアやシンセサイザーなどの音もクリアだと感じる。

そこで「たった£300ほどのオーディオが数千ポンドするようなクルマのオーディオ・システムよりもなぜ音が良いのか」とエキスパートに問うてみた。

スーパーカーのオーディオ、頭打ち?

答えは「空間」らしい。クルマには充分な音響空間がないため、技術的な面が進化しても限界が見えていて、コンサート・ホールなどの空間と比較するのはそもそもフェアではない。空間が広いと、共鳴する量が格段に違うからだ。

ことクルマに関してはその空間が少ない。小さい空間で、なおかつロード・ノイズも入ってくるので、音楽を楽しむ空間としては役不足。

そのため、車内で楽しむ音楽というのは音源から遠い感覚で、左右のスピーカーで分けられた印象を受ける。

カーオーディオ・メーカーがエフェクト機能を搭載しているのはそのためで、音の出力をコントロールすることで、カーオーディオ特有のちぐはぐ感を無くそうとする努力のたまものだ。

エキスパートによれば、一番良いオーディオ・システムは、ロールスロイス・ファントムの、オプション装備品(レンジローバーよりも高価)らしい。

どちらも初めて耳にすると衝撃的だが、推察するに、広々とした共鳴空間と、ウッド・パネルが反響するにあたっていい仕事をするからであろう。

スーパーカーの快適居住空間づくりはいくつもの目指すべき方向性があるが、ことオーディオの環境整備に関しては、伸びしろが残っているのだろうか? と思った。

できれば伸びしろが残っていてほしい、とも思った。音質を求めるにしても、そうでないにしても。