米中首脳会談で中国の習近平国家主席の口から飛び出したとされる「韓国は中国の一部だった」発言が韓国で尾を引いている。新たな歴史問題に主要紙は一斉に反発している。写真は景福宮。

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2017年4月29日、米中首脳会談で中国の習近平国家主席の口から飛び出したとされる「韓国は中国の一部だった」発言。新たな歴史問題が韓国で尾を引いている。主要紙は発言が「中国国民の一般的な認識を反映している」として、「朝貢冊封秩序を21世紀に復活させる時代錯誤」「覇権意識の表れ」などと反発している。

習主席の発言は米国のトランプ大統領が米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」とのインタビューで明かした。韓国外務省報道官は「誤った歴史観を受け入れることはできない」と反論。米ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)報道官は「韓国が数千年にわたって独立国だったことを米国はよく分かっている」と語ったが、中国外交部の報道官は習氏の発言の確認を拒み、「韓国国民は心配する必要がない」と述べただけだった。

中央日報は「韓中、THAAD対立と習近平発言の誤解解いて未来に進まねば」との社説を掲載。発言の背景として「中国の隣国の歴史まで吸い込むブラックホール化」に加え、「中国共産党の執権正当性問題」に言及した。

この中で同紙は「労働者と農民のための社会主義国を建設すると言っていた中国共産党は改革・開放以降は資本家まで抱きしめる事実上の全民党になった」と前置き。「社会主義理念ではこれ以上国民を武装させることができなくなった中国共産党が代替理念として切り出したのが愛国主義だ」と指摘した。

その上で「これは攻勢的民族主義の別の名前だ。まさにこうした二つの要因が中国の歴史観を大国主義的・国粋主義的に飛び出させている。ややもすると中国の浮上という流れに乗り、覇権主義的性向に突き進まないか心配される」と憂慮。「もし19世紀末まで続いた東アジアの朝貢冊封秩序を21世紀に復活させるという意図だったら時代錯誤に違いない」と非難した。

朝鮮日報は社説で「多くの中国人が『「韓半島は中国の一部だった』と考えていることも事実だ」として、「中国は2002年から5年間、『歴史工程』という国家事業を通じ、隣接国の歴史を全て中国史に編入しようとした。韓半島についても高句麗と渤海を中国史の一部に組み入れた」と強調。「中国人のこうした認識は20世紀以降のアジアで起きた大きな変化や現実に対する反感、隣接国に対する前近代的な覇権意識の表れだ」と論じた。

ハンギョレ新聞は「発言はトランプ大統領が習主席の“歴史講義”の内容をそのまま伝えたものかもしれないが、習主席の説明に自分の考えをまぜて話した可能性もあるとみられる」と疑問を呈した。その一方で、「習主席が首脳会談で実際にこのような趣旨の話をしたならば、これも覇権主義的発想であり、自国中心的な歴史認識だという批判を免れない」としている。(編集/日向)