『写真左から土方愛さん、宮川清志さん、宮川清蔵さん、松平保久さん、阿野典子さん、井上雅雄さん(写真:河合秀直)』

■近藤勇の子孫

 3月18日、東京都日野市の高幡不動尊に新選組の子孫が集結した。新選組局長・近藤勇の兄の子孫で、生家の12代目・宮川清志さんが語る。

「宮川の家はもともと農家でしたが、剣術に熱心で、私も小中高と剣道をやっていました。弱かったんですけどね(笑)」

 現在は販売職の会社員だ。将来は、近藤勇も宗家を継いだ天然理心流を父・清蔵さん(78)から継ぎ、広めていきたいと考えている。会社では近藤勇の生家の出身とは公言していないそうだが「若輩者ですが、先祖のようなリーダーシップを発揮し

たい」(清志さん)。

■土方歳三の子孫

 近藤勇の右腕として活躍したのが「鬼の副長」土方歳三。その兄・喜六から6代目となるのが土方愛さん(45)だ。上智大学イスパニア語学科を卒業後、土方が12歳から29歳まで暮らした地で、2012年から資料館館長を務める。

「1990年までは、土方が相撲の稽古をした大黒柱のある旧家屋に暮らしていました」

「鬼あし」といわれた土方の健脚を受け継ぎ、フルマラソンを4時間で完走した経験もある愛さん。2男1女の母でもある。

■沖田総司の子孫

 新選組一番隊組長の天才剣士・沖田総司生家の子孫もいた。沖田総司は生涯独身だったが、姉が婿を取った。その7代目が阿野典子さんだ。

「祖父母には『沖田は人も斬っているし、あんまり外で話してはいけません』と言われたことがあります」

 そのため、ここ20年ほど公の場にも参加しなかったのだという。

「私はいまデイサービスの会社で正社員をしています。人と関われるのは天職ですね」
 

 剣の腕前とは対照的に、性格は優しかったと伝えられる沖田を思わせた。

■井上源三郎の子孫

 新選組結成メンバーとして活動を支えた名バイプレイヤー・井上源三郎は新選組六番隊組長だ。源三郎の兄・松五郎から5代目にあたるのが井上雅雄さん(62)さんだ。

「曽祖父の泰助も11歳で新選組へ入隊。京都で戦死した源三郎の首を持ち帰ろうとしたが、あまりの重さに断念したそうです」

 古地図などからその場所がわかり、9年前に訪れた。「井上源太」の名で作詞家としてメジャーデビューも。武士道をテーマにした演歌などを発表している。

■松平容保の子孫

 この日、ゲストとして参加したのは、会津松平家・松平容保の子孫である松平保久さん(62)。現在、NHK番組制作会社のエグゼクティブプロデューサーをしているという。

■永倉新八の子孫

『杉村重郎さん(写真:松本祐貴)』

 当日、姿はなかったが、新選組二番隊組長・永倉新八の子孫も映像関係の仕事をしている。アニメプロデューサーの杉村重郎さん(63)だ。

「あれは私が高校1年生のとき。自宅の石炭置き場から布切れが出てきて、それが永倉新八のチョッキだった。新聞に載ったんだけど『永倉新八の孫が発見』って父親に手柄を横取りされちゃったんだよね(笑)」

 永倉は池田屋事件では先発隊を務めた。大正4年まで生き、回顧録『新撰組顚末記』を遺すとともに、近藤勇や土方歳三の墓も建立している。

 杉村さんは、永倉のひ孫にあたり、現在はアニメーション制作会社「シグナル・エムディ」の取締役だ。

「写真学校を出て、報道カメラマンを目指してたけど、アニメの撮影の世界へ。『まんが日本昔ばなし』『うる星やつら』『タッチ』とかを撮って、最後に撮影監督をしたのは『魔女の宅急便』だったかな。その後、プロデューサーに転じて『こち亀』や『遊☆戯☆王』シリーズなどを担当。2年前、今の会社の設立に参加したんです。夢はこの会社を大きく、メジャーにすること」

 アニメ制作の現場でひたむきに38年。永倉のあだ名“がむしん”(がむしゃらな新八の意)を地でいく杉村さんだ。

(週刊FLASH2017年4月11日号)