首位・浦和との“さいたまダービー”を前に渋谷洋樹監督「プライドとスピリットを持って戦う」

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▽29日、大宮アルディージャは30日に行われる浦和レッズとの“さいたまダービー”に向けて高木グラウンドでトレーニングを行なった。

▽ダービーを前に、トレーニングは非公開で実施され、今シーズン初勝利に向けて選手たちは汗を流した。トレーニング後、渋谷洋樹監督がメディアの取材に応対。“さいたまダービー”への想いや、チームの現状について、また対戦相手の浦和について語った。

◆渋谷洋樹監督(大宮アルディージャ)

「非公開にしたからというか、レッズ相手に選手は集中力が高くなっていたかなと思います。(見にくる)人が居た方が集中力は高いのかなと思って居ます。見られていると人は変なことができないということで、動きもちゃんとするのかなと思います」

「でも、久々に人が居ない中でやったので、選手たちはすごく集中してやって居ました。そんなに長く練習はしていません」

──試合前日のトレーニングの手応えは

「相手の対策というと今日1日では足りないですし、2日ぐらいかけて攻守にわたってやらなくてはいけません。守備においては楽にプレーさせないというところを意識させてきました。どこに追い込むということをやって、裏にも蹴る、コンビネーションもある、クロスもあると。全てにおいて多攻であり、私が目指している色々な攻撃があるので、何を抑えようというのも難しいです。こういったやり方でやろうということは選手に伝えました」

「守り方に関しては、[4-4-2]で守ってもガンバに6点取られたりとか、守り方というよりは、守る意識の強さ、プレッシャーをかけるスピードや迫力を意識させて、イメージだけをつけさせました。攻撃は相手の切り替えも早いですし、ボールロストして失点を重ねているので、そこで絶対に捕まらないということを意識して、攻撃ではしっかりオーガナイズするということを整理しました」

──浦和は得点も取っていますが失点もしています

「でも、9失点しかしてないですからね。1点取って力抜いているなと見えるときはよくあります。ボール持たせているなとか。ただ、ダービーとなると、そこもどうなるか分かりません。失点はしていますが、隙はあるでしょうが隙を作ってもらえるようにしないといけません。とにかくこう着状態を長く続けることが、我々が戦う上では絶対的に必要です。先制点を取られると苦しいです。0-0であること、我々が立ち上がりで行くということですね。相手がどんな入りをするか分かりませんが、最初に1点取れればいいなと思います」

──コンパクトに守りたいと思いますが、浦和はスピードをかけてくるかと思いますが

「早さはもちろんありますが、ボールの質の良さがあると思います。そこだけは気をつけていけないと思います。ボールの質が良いとフリーで蹴らせていたりすると思うので。あとは、行く時といかない時の判断だけは、しっかりと中でしようと。勢いだけでやらないように意識させました」

──ガンバ戦では相手のプレススピードなどを見習わないといけないとおっしゃっていましたが、そこから選手たちに芽生えたものとかはあるのでしょうか

「ガンバの勢いを持ってという点では、山越は札幌戦などでは相手の状況をしっかり見て、プレッシャーを見てプレーしていました。あまりバタバタしていないというか。相手のプレッシャーや顔を見れば、相手が構えて止まるのでね。あとはファーストオーガナイズを間違わないですればいいと思います」

「あとは相手のプレッシャーがあれば蹴るというのも選択肢です。うちの場合、繋ぎたいというのもありますが、背後に蹴って相手を押し出すというのもあります。我々もプレッシャーに行って、蹴られてプレッシャーを回避されていけなくなったりするのでね。蹴ることが悪いのではなく、スペースに落とすということを目的としてイメージとして持ってくれればいいんですが、蹴ることが悪になることがあります」

「本来なら繋ぎたいというのはありますが、プレッシャーがしっかりされていて、勢いのある相手であればサッカーを読むということ。僕が言っているゲームを読む力が足りないと思います。それは私自身もそうかもしれませんが、『リード・ザ・ゲーム』というのが私がサッカーの中で一番重要だと思います。あたふたする状況を作っているのは自分たちだと思うので、相手の力を利用して攻撃が上手く行くこともあります」

「そのためにもアタッキングオーガナイズ、プレースピード、ポジショニングスピードというのを求めてずっとやってきているので、思い返してもらえればいいかなと。そこの判断だけはしっかりしてもらいたいと思います。良い判断は良いポジショニングが必要です。ボールのない時も良い準備をすることです。ボールの精度はすぐには向上することはありませんが、ポジショニング、ボールのない時のポジショニングはできると思います。ポジショニングをしっかりやってもらいたいです」

──明日の試合に向けてはどのようなプランを

「明日はガンバ戦の悔しさを持って。8試合やって上位6チームには全敗ですし、レッズは1位です。厳しい試合になるのは、今の我々の状況、自分たちを分析すると当たり前です。ただ、この試合を状況を変えられる1試合にしたいと思いますし、日々それを考えてみんなもトレーニングしてくれています。ファン・サポーターの方には非常に苦しい状況で申し訳ないです。クラブとクラブ、ファン・サポーターの皆さんもですが、私自身も34分の1とは考えていません。勝ち負けは今後ダービーがある中で、ずっと問われるので、プライドを持って戦いたいです。ゲームについてはスピリット、心から体も熱く熱をもって戦っていきたいです」

──この状況での“さいたまダービー”は渋谷監督にとってどんなものか

「残念でしかないですね。ファン・サポーターの方も順位が近かったり、勝ち点が近かったりという状況でというのを願っていたと思います。私自身もそういった状況で戦いたかったのは正直あります。残念な状況です。8試合やってこの状況ですが、このゲームをしっかりと勝ち切れれば、今度アウェイで対戦するときは勝ち点を近づけることも可能だと思います。このダービーを利用して、そう言ったスタートにしたいと思います」

「さいたまダービーは日本でも注目されているダービーだと思いますが、こういった状況ということもあって盛り上がりが低いのかなと思います。残念すぎますし、ファン・サポーターのみなさんには申し訳ないです。昨年は近い状況で戦えたので良かったですが、今は近づくこともできません。34分の1ではありますが、ダービーなのでね。それは僕自身がよくわかっています」