女子テニスプレーヤーの穂積絵莉選手/(C)松川智一

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若手女子テニスプレーヤーとして注目を集める穂積絵莉選手。アディダスが4月3日に開催したスポーツ体験型イベント「YOUNG ATHLETES CHALLENGE」のトークショーに、サッカーの中村俊輔選手、ラグビーの流大選手、クライミングの野中生萌選手とともに登場した彼女にテニスの魅力、夢を聞いてみた。

【写真を見る】テニスラケットのフレームを使ったラケットリフティングの妙技を披露する穂積選手。「私は最高300回ぐらいですが、トップ選手でも5回で終わっちゃう人もいます」/(C)松川智一

ーー今回の「YOUNG ATHLETES CHALLENGE」、トークショーでは挑戦し続けることの重要性、子どもの才能や可能性を広げるために必要なことを話されましたが、穂積選手がテニスを始めたきっかけを教えてもらえますか? 子どもの頃は、どんな気持ちでテニスをしていましたか?

「家族がみんなテニスをやっていて、おじいちゃん、おばあちゃん、父も母もやっていたので、小さな頃からテニスに触れる機会が多くて、ほとんど毎日のようにテニスコートに行っていました。それこそ、赤ちゃんのころからコートに行っていて、三歳くらいからラケットを握って振り回していたような感じです(笑)。テニスが好きで始めました」

ーー遊びの延長みたいな?

「三歳のころ、私があまりにもテニスをやるので、(親が)テニスのレッスン、スクールに入れたみたいなんですけど、それは嫌で(笑)。すぐにやめてしまったみたいです。でも、家族とコートに行くとやっぱりテニスをやりたがって、テニス自体は好きだったみたいですね(笑)」

ーー子どもの頃は、どんなお子さんでしたか?

「とにかく元気で、好奇心があって、運動が大好き。小学生のころは休み時間に外に出てみんなでドッジボールをやったりとか、小中学生ころは体育の時間が一番好きでした。運動会も一番張り切るタイプでしたね(笑)」

ーー負けず嫌いでしたか?

「負けず嫌いでしたね。とにかく負けることが大嫌いでした。家族でトランプをするときも負けたくなくて、でも手を抜いてほしくはなくて、母を相手に何回やっても勝てないから、そうすると向こうは手を抜くんですよね。本当に、それがすごくいやで、そんな子どもでした(苦笑)。学校の行事とかも絶対に負けたくなくて、勝負事じゃないこと、たとえば合唱コンクールとかでも、とにかく一生懸命やるタイプで、一生懸命やっていない人のことが嫌だったりとか、相当ですね(苦笑)」

ーー中村俊輔選手、流大選手、野中生萌さん、今日は他のジャンルのアスリートの方と言葉を交わす機会がありましたが、印象はいかがでしたか?

「私は『みなさん、みんなはじめまして』でしたけど、スポーツに挑戦し続けることとか、スポーツにどういうふうに取り組んでいるのかとか、ジャンルは違っても、同じようなことなのかなと思っていて、大切なこととか、私自身、こういう機会はあまりないので、いろんな競技の方の声を直に聞けて良かったです」

ーーテニス以外で挑戦してみたい競技は?

「パデルっていう競技があって、スカッシュとテニスを融合させたような競技なんですけど、テニスをやっているので、個人的にはすごく興味があって『一回やってみたいな』と思っています。クライミングは一度トレーニングでやってみたことがあって、すごく疲れたんですけど、すっごく楽しくて、またやってみたいなと思っています」

ーー穂積選手が考える、テニスというスポーツの魅力を教えてもらえますか?

「テニスは1試合で2時間とか3時間も走り回るスポーツで、フルマラソンより長い時間を走る側面があれば、時速200キロを超えるサーブを返さなきゃいけないという、瞬発力も必要だったり、また、ひとりで戦うので精神力も必要ですし、自分で考える力も必要。どこが欠けてもトップにはいけない、全部をコンスタントにできないといけないような競技なので、本当に難しいスポーツだと思います。ただ、それを一つひとつ、クリアしていくことで、一つひとつ階段を上がっていくことが、自分にとってすごく楽しくて、とてもやりがいのある挑戦だと思いますし、そこがテニスの魅力かなと思います」

ーー2020年に東京オリンピックが開催されます。アスリートとして、日本で開催されるオリンピックへの思いを教えてください。

「テニス選手には『グランドスラム』という大きな大会があって、オリンピックと比較したときに『グランドスラムのほうが重要』と考える選手も少なくありませんが、私は別物だと考えています。日本代表として昨年、リオ・オリンピックで戦ったのはすごく楽しかったですし、2020年に東京で、自分が生まれ育った国でオリンピックが開催されるときに、私はそこでメダルを取りたいと強く思ったので、東京オリンピックに出たい、メダルを取りたいという気持ちは今も強く持っています」

ーー今の、ご自身の武器と課題はそれぞれどんなところだと感じていますか?

「日本人選手の中ではパワーがあるほうだと思います。でも、世界に行ったらそれは普通のことで、その中ではボールを打つタイミングが人より少し早いので、そこは自分の武器だと思っています。高い打点からもしっかり強打ができること、それが持ち味だと考えています。課題は、アグレッシブに積極的にプレーできる反面、ディフェンスが弱いというか、弱点でもあるので、そこはこれからもどんどんトレーニングをして、練習を重ねて、しっかり克服していきたい点だと思っています」

ーーテニス界で尊敬する選手はいますか?

「杉山愛さんです。2009年に現役を引退してしまいましたが、小さいころから本当に身近にいる選手で、人としても、テニス選手としても尊敬している方なので、杉山さんは私が目標にしている選手です」

ーー穂積選手にとって挑戦し続けることの大切さ、意義とは?

「挑戦し続けるって、怖いことだと思うんです。自分の知らないところに飛び込むのはとても勇気がいることだと思いますし。でも、チャレンジすることで自分自身が成長したり、自分でも知らなかった自分が見えてきたりすることがあると思うので、そういう新しい自分を見つけたり、新しい自分に気づいたりするために、挑戦し続けることはとても大切なことだと思います」

ーー今、テニス以外で興味を持っていることはありますか?

「歌が好きで、カラオケにはよく行きます。日本に帰ってきたら『カラオケに行きたい!』っていつも思ってます(笑)」

ーーどんな曲を歌うんですか?

「この人だけっていうのはあまりないんですけど、最近は男性アーティストの方の曲をよく歌います。けっして、低い声が出るわけじゃないんですけどね(笑)。『back number』というバンドの方がいて、その人たちのキーは比較的、歌いやすいキーで、けっこうよく歌っています」

ーー得意な曲は?

「必ず1曲目に入れる曲があって、『高嶺の花子さん』という曲なんですが、それは絶対に1曲目と決まっています。得意かどうかはわからないですけど(苦笑)」

ーーカラオケはいいリフレッシュになっているんですね。

「はい、時間があったらカラオケは絶対に行こうと思っています」

ーーアスリートとして、普段のトレーニングではどんなことを心掛けていますか?

「何をするにも同じだと思うんですけど、たとえば腹筋をするときも、どこを鍛えているのかを意識するだけで、効果って全然違ってきますよね。何となく腹筋をするのと、今ここを鍛えていると意識して腹筋をするのではまったく違うものになってくると思うので、ストレッチにしても、今どこを伸ばしているのかを意識してやるようにしています」

ーーでは、今後の目標と抱負、アスリートとしての夢を教えてください。

「私にとっては、杉山愛さんを超えることが一番の目標です。ランキング的にはシングルス8位、ダブルス1位なので、まずはそこを超えることが最大の目標で、あとはグランドスラムで優勝することが夢です」

ーー最後に、テニスプレーヤーを目指す子どもたちにメッセージをいただければと思います。

「テニスはいろいろな要素が必要とされるスポーツなので、とても大変な競技だと思います。でも、テニスをやっていることで、私は海外に行っていろいろな国の人と触れ合うことができていますし、たくさんの人とのつながりを持つことができています。人との出会い、つながりは、とても楽しくて、大切なことですよね。そういう楽しいこともたくさんあるので、最初はつらいことがあるかもしれないけど、つらいことを乗り越えれば、必ずそれ以上に楽しいことが待っていると思うので、みんなには本当に楽しんでチャレンジしてほしいと思います」

ーーキャリアで最初の海外ツアーがとてもつらかったようですね。

「はい、本当につらかったんです(苦笑)。2日で家に帰りたくなりました。行き先はトルコだったんですが、出場している選手を含めて周りに日本人がいなくて、日本人どころかアジア人がいなくて、知らない人ばっかりの中で、言葉も通じないし、周りにご飯を食べるところが全然ないような田舎だったので、すごくつらかったです。練習の約束をしても相手がこないこともあったりして、メンタルがすごくきつかったです。でも、それがあったから、今があるんですね(笑)」

笑顔の絶えないインタビューが終わると「今日は本当にありがとうございました」と穂積選手。気さくな人柄で“負けず嫌い”な彼女のプレーにこれからも注目したい。【ウォーカープラス編集部/浅野祐介】