ヤンキース・田中将大【写真:Getty Images】

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日本時代も勝率.739を誇った田中、際立つ「勝つ能力」「負けない能力」

 27日(日本時間28日)の敵地レッドソックス戦で9回3安打無四球3奪三振無失点の圧巻の投球を見せたヤンキースの田中将大投手。2014年5月14日のメッツ戦以来となる、3年ぶりメジャー2度目の完封で今季3勝目(1敗)。わずか97球で9回を投げきり、メジャー屈指の左腕セールとの壮絶な投げ合いを制した。宿敵の敵地を沈黙させた田中は、メジャーNO1の「勝てる投手」として名門球団を牽引している。

 この勝利で田中のメジャー通算成績は80試合登板で42勝17敗となった。勝率は驚異の.712。日本時代には勝率.739(99勝35敗)を誇った右腕だが、メジャーでも7割超えを維持している。

 そして、この勝率.712という数字は、メジャーで5試合以上の先発経験がある現役投手の中でトップの数字。この試合で田中が達した通算80登板以上の投手で見ると、現役NO1投手の呼び声が高いクレイトン・カーショー(ドジャース)の.681(130勝61敗)も大きく上回る。2位以下にもメジャーを代表する選手の名前が並んでおり、田中の「勝つ能力」「負けない能力」が際立つ。なお、単純比較はできないが、80登板以上の投手では、歴代でも現時点でアル・スポルディング(.796)、スパッド・チャンドラー(.717)に次ぐ3位となっており、いかに驚異的な数字かがわかる。

 勝率で見ると、日本人投手の優秀さが目立つ。80試合以上先発したことのある投手のキャリア通算勝率では、岩隈久志(マリナーズ)は.618で現役7位、ダルビッシュは.600で同17位。元中日のチェン・ウェイン(マーリンズ)も.582で同24位となっている。

わずか97球の完封劇、ストライク率は圧巻の74%を記録

 さらに、この日は97球での完封勝利という“超省エネ投球”。10三振を奪う快投を見せながら、9回途中3失点(自責2)で田中に投げ負けたセールと、お互いが持ち味を存分に発揮して投手戦を演じた。

 田中がメジャーで初完封を飾ったのは、ルーキーイヤーの2014年5月14日のメッツ戦。この時は4安打に抑え、114球だった。また、同じ2014年6月11日のマリナーズ戦では6安打2失点で完投。この時は110球で、これが昨年までの最少球数での完投勝利だった。この完封がメジャーでは自身5度目の完投で、自己最少球数を“更新”した。

 日本時代には、2011年8月13日ロッテ戦に97球で1失点完投、2013年7月26日ロッテ戦に90球で2失点完投があるが、100球以下での完封はない。2012年10月2日ソフトバンク戦での104球が最少となっており、田中にとって今回が日米通じて最少球数での完封勝利となった。

 この試合では97球中ストライクが72球。ストライク率74%という圧巻の制球力だった。また、日米通算141勝として、23日(同24日)のロイヤルズ戦で8回2失点の快投を見せた2歳年上のダルビッシュ有投手(レンジャーズ)に再び並んだ。