映画『ハート・ロッカー』などのキャスリン・ビグロー監督

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 映画『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー監督がVR技術を駆使して手掛けた新作『ザ・プロテクターズ(原題) / The Protectors』が、4月21日(現地時間)ニューヨークのトライベッカ映画祭で上映された。上映後にビグロー監督が司会を務め、共同監督イムラーン・イスマイル、元アメリカ合衆国国務長官ヒラリー・クリントン氏、ナショナルジオグラフィックのレイチェル・ウェバー氏にインタビューを行った。

 本作は、コンゴ民主共和国のアフリカゾウをめぐる密猟者と環境保護を支持するレンジャーの戦いを描いた短編VR映画(360度の映像作品)で、ナショナルジオグラフィックが出資した。

 クリントン氏は国務長官時代に、スーダンのダルフール地方の民兵組織ジャンジャウィードやテロリスト活動をする他の組織が、武器購入資金を作るために、密猟者から象牙を供給されていたことに気づいたという。そこで彼女は「国務長官の地位を退いてからは、クリントン財団やクリントン・グローバル・イニシアチブを通して、『エレファンツ・アクション・ネットワーク』を設けた。それはわたしの娘チェルシーが率いているもので、アフリカ自然動物保護公園で働くレンジャーの資金集めや、賄賂に協力したローカルの調査、さらに野生動物保護のために、ローカルのコミュニティーに協力してもらう活動をしていたわ」と説明した。

 実際に現地で撮影したイスマイル監督は「アフリカ自然動物保護公園のレンジャーは、毎日危機に直面していた。僕らの撮影は3週間だけだが、レンジャーたちは10日間連続で働き、4日間オフをもらい、それを今年だけでなく、象の密猟が続く限り、永遠にやり続けなければいけない。それに彼らが対峙(たいじ)する密猟者(テロリストを援助する人々)は、村を壊滅させることさえできる。数人のレンジャーが居たからといって、密猟をやめるような人たちではない」と常に危険な状況下にレンジャーが置かれていることに言及した。

 ナショナルジオグラフィックが今作を製作する意図について、ウェバー氏は「約130年ものナショナルジオグラフィックの歴史の中で、野生保護こそがその真髄なの。そして、象牙の密売や象の密猟などはわれわれの雑誌やテレビ番組で取り上げられ、その重要性が増してきた。この題材に関してわれわれは信念を持っているし、このVR映像を通してこのストーリーを伝えて、世界を変えられると思う」と語った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)