感染力はインフルエンザよりもはるかに高い(画像は麻しんウイルス CDC, Cynthia Goldsmith)

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2017年3月末から4月にかけて、日本各地で国外から来た患者を発端として「麻しん(はしか)」が流行するケースが複数確認されている。山形ではインドネシア・バリ島から帰国した男性が、金沢でもインドから帰国した男性が、それぞれ1次感染者となった。

昨年は8〜9月に関西国際空港で空港の従業員を中心に麻しんが流行し、こちらも原因は不明だが、海外から持ち込まれた麻しんウイルスが原因と考えられるという。

大型連休ともなれば海外渡航者も増えるが、麻しんの予防、万が一の場合の対策はどうすればよいのだろうか。

世界各地で麻しんは流行っていた

日本は2015年3月に世界保健機構(WHO)から「日本固有の麻しんウイルスが存在しない状態」、いわゆる「麻しん排除国」として認定されている。つまり、日本国内で麻しんに感染した場合、その麻しんは国外から持ち込まれたものということになる。認定にあたってWHOが実施したウイルスの遺伝子分析では、日本で流行している麻しんは主に東南アジアの麻しん流行国から持ち込まれたウイルスが発端となり、国内で2次感染を起こしたと指摘されている。

では、アジア方面に旅行に行かなければいいのかというと、そんな単純な話でもない。麻しんはアジア限定の病気ではなく、世界中に存在するのだ。WHOが毎年行っている麻しんの世界的な調査「Measles Surveillance Data」では、2010年ごろにはアフリカで流行していたが、2013年には欧州で患者数が増加し、2014年以降は南東アジア・西太平洋地域で患者数が多い傾向にある。今年も3月末には欧州で再び大流行する兆しを見せており、死者も出ているという。

厚生労働省検疫所も麻しんに感染する危険のある地域について「世界中でうつる危険性があります」としている。感染力は非常に強くマスクや手洗いでは予防できず、確実な予防方法はワクチン接種しかない。ただし、麻しんのワクチンは幼児期に2回受けることで強い免疫を獲得できるとされており、1回だけでは効果が弱い。

一つの目安となるのが、1990年4月2日以降に生まれているかどうかだ。このとき予防接種法が改正され、幼児期に麻しんの予防接種を2回受けられるようになったのだ。さらに2006年度からは1歳児と小学校入学前1年間の2回接種制度が始まっており、2回接種をしている可能性は高い。1990年4月以前に生まれている人は、幼児期に1回接種を受けているだけの可能性が高く、接種歴を確認したほうがいいだろう。

ただし、この年代の区切りはあくまで目安だ。そもそも受けていなければ免疫は存在しないし、1回だけで2回目を忘れていたということもあり得る。母子手帳や保健所などでワクチン接種履歴を確認するか、医療機関で抗体検査を受けるなど、心配だという人はより確実な方法で接種の有無を判断したい。また妊婦はそもそも予防接種を受けることができないので注意が必要だ。

発症時は感染を広げない工夫を

万が一感染してしまった場合はどうすべきだろうか。海外から帰国後に発熱がある場合、医療機関を受診すべきだが、この際あらかじめ電話で医療機関に海外旅行から帰国後に発熱している可能性を伝えるのが望ましい。さらに医療機関の指示に従い、公共交通機関の利用を避けて自家用車やタクシーなどで移動するのがいいだろう。

昨年8月、各地で麻しんが流行した際に厚労省からも注意が出されているが、麻しんは発症する1〜2日前から熱が引いても3日間程度は他人に感染させてしまう可能性がある。すれ違っただけでも感染させると言われるほどの感染力であり、この間に電車などで不特定多数の者に接触すると、次々に感染者を増やしかねないのだ。

自分が感染源とならないためにも、ワクチン接種履歴を確認し、ワクチン未接種、1回のみ、麻しんにかかったことがないなどの場合は必ず接種しておきたい。