連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第4週「旅立ちのとき」第23回 4月28日(金)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:黒崎博


23話はこんな話


いよいよ、東京に出発する前日、みね子(有村架純)は家族と別れを惜しむ。

茨城の地図から関東の地図


奥茨城村での最後の夜、みね子は妹と弟に、これからの心構えを語る。
「こんなふうに別れると思ってなかったからいままであんまり優しくしてやれなくてごめんな」とふたりを抱きしめるみね子は、お母さんみたいだ。

ほんとうのお母さん美代子(木村佳乃)は、赤いおしゃれなコートと、すずふり亭のマッチを、茂お祖父ちゃん(古谷一行)は「ほんとに困ったときのためにとっとけ」とお金をみね子に手渡す。
いい話なんだけど、いやな予感が・・・。
朝ドラナンバー1「おしん」を思い出してしまったのだ。おしんがおばあちゃんからもらったお金をめぐって、奉公先で泥棒事件が起こるから・・・。岡田さんやめてね、それは! とお願いしたい。
でも、きっと、美代子の言葉のように、マッチが「幸運のお守りになってくれるよ」。うん、きっと、そうに違いない。安心と不安をきちんと用意する岡田脚本。もっとも不安に関してはこちらの妄想ですが(外れてほしい)。

最後に、お母さんのふとんに入って一緒に眠るみね子。
あったかい親子愛。
これを観てると、日本人は、この何十年、何か大切なものを失ったのだなあという気がしますなあ。

朝、進(高橋來)が、またおねしょ。関東の地図にスケールアップしていた。

ひょうたん島はどこへゆく


めそめそしたくないから、家族の見送りはバス停までにしてもらうことにした、みね子と時子(佐久間由衣)と三男(泉澤祐希)。
「何かがきっと待っている♪」と妹と弟たちと、「ひょっこりひょうたん島」の歌をうたってでかけるみね子。
お母さんの赤いコートとお父さんの黒い靴を身に付けて(靴下のなかにお祖父ちゃんの1万円入ってるのかな)、完全武装だ。週刊朝日編「値段史年表」によると、昭和40年当時、江戸前寿司が1人前180円。1万円あれば55人前食べられる。

井上ひさし作詞のこの歌、旅立ちの歌、希望の歌なんだよなあ。と改めて思う。
元NHKディレクターの武井博が書いた『泣くのはいやだ、笑っちゃおう 「ひょうたん島」航海記』を読むと、この人形劇の主題歌の歌詞は、締め切り当日、電車のなかで共同脚本の井上ひさしと山元譲久と、武井がひねり出したと書いてある。キラーフレーズ「泣くのはいやだ、笑っちゃおう」は井上案で、少年時代苦労してきた彼の「人生の叫びだったのではないか」と武井は書いている。
みね子も、東京で、苦しいことも悲しいこともあるのだろうか。
悲しいけれど、時子と三男と一緒だから心強い。
「発車オーライ」も、出発の希望の言葉(「あまちゃん」でもありました)。
(木俣冬)