強気に交渉しても嫌われないための秘訣

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私の交渉術ワークショップでよく聞く不安の一つに、自分の要求を明確にして強気に交渉しつつ、良好な関係やオープンな対話を保って相手を敵に回さないという、一見相反する2つの目標にどう折り合いをつけるか、という疑問がある。

給与や昇進、働き方についてなどの交渉の実例を見てきたが、関係を壊すまで激しく交渉する人はほとんどいない。関係を崩すことを心配するぐらいなら、強い姿勢で交渉に臨むためにはどうしたらよいかを心配した方がよい。

自分の目標に焦点を当て、相手の気分を害する心配はしないこと。交渉相手がリクルーターであれ上司誰であれ、あなたの気持ちよりも自分の目標に集中している。それでも、強い姿勢で交渉に臨みつつ友好関係を保つ方法などないと思うのなら、次の5つの戦略を参照してほしい。

1. 感謝を伝える

人は感謝されることが好きなので、まず相手が交渉の場を設けてくれたことに謝意を示そう。「オファーをしていただきありがとうございます」「お時間をいただきありがとうございます」などと感謝されると、相手にはあなたが分別のある人に見える。交渉中に緊張が高まってきた場合は、もう一度「ありがとうございます」と言うことで緊張が緩和する。(例:「この点を繰り返しご検討いただきありがとうございます」)

2. 合意点を強調する

交渉に臨んでいるからには、互いに解決を目指しているのは同じはずで、これは強調すべき大事な合意点だ。(あなたはこの仕事を得たいと思っており、企業はあなたを採用したいと思っている。あなたはこの職場が好きで、上司もあなたに留まってほしいと思っている、など)

例えば仕事を受ける場合、基本給は交渉が必要だが、賞与や福利厚生にはすでに満足な場合もある。自分がすでに合意した点を相手と確認しよう。そうすると双方の思考回路が共通化し、敵同士でなく仲間だと再認識させることができる。交渉中に再び緊張感が高まってきたら、すでに合意した点をまた確認しよう。(例:AとBでは行き詰っていますが、X、Y、Zについては合意済みですね)

3. 両者に有利な構図を描く

あなたが交渉をしている理由は、相手と協働したいからであり、未来を共有すればより良い結果につながる──。こうしたウィンウィンの構図を相手に示そう。あなたが組織に参加(あるいは昇進、柔軟な働き方に移行)することで相手にどのような利点があるのかを指摘しよう。両者のメリットを強調すれば、合意点がもう一つ増える。

4. 分別より好奇心を優先させる

交渉相手が難色を示した場合、それに対抗するのではなく、好奇心を持って質問をしてみよう。例えば、上司が「入社1年以内に昇進する人はいない」と言ったなら、「1年という最低期間が設定されている理由をご存知ですか?」と聞く。「1年以内は昇進しない」という方針を真っ向から攻撃するより、その詳細を突き詰める努力をしよう。質問をすることで、少なくとも考える時間が確保できる。さらに、相手が受けている制約について理解すれば、両者が納得できる解決策を提示できる可能性がある。

5. 話すよりも聞く

質問をするなり、自分の発言を控えるなりして、相手により多くを話してもらおう。相手が共有してくれる情報は、あなたにとって価値があるものだ。多く話すことで相手は楽になり、あなたが努力せずとも同意を得られる可能性が高まる。多く話す側からは何らかの提案が出てくることも多い。向こうが言い始めた提案内容をあなたが発展させれば、それを相手の意見とすることができる。

自分の意見を主張することは、必ずしも相手と対立することではない。聞き手に回り、質問をし、双方に利益がある構図や合意点、感謝を示せば、交渉は友好的な会話になる。自分の要求を伝えつつも、理性的かつ協力的で、相手に感謝しているように見せることができるのだ。