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●大人数で乗れる新世代のマツダ車
マツダは3列シートの新型クロスオーバーSUV「CX-8」を発売する。同社の新世代商品群で初となる多人数乗用車で、価格は300万円台前半を想定。2017年中の市場投入を予定する。ミニバンに取って代わるマツダ車の登場は、日本の自動車市場にインパクトを与えそうだ。

○魂動デザインの3列シートSUV

これまでに判明しているCX-8の情報を整理しておくと、サイズは全長4900mm、全幅1840mm、全高1730mm。前輪と後輪の間(ホイールベース)は2930mmだ。エンジンはマツダの新世代クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」を搭載。乗車定員は6〜7人となる。300万円台前半というのは、ベーシックなグレードでの想定価格だという。

このサイズ感だが、横幅はマツダの人気車種「CX-5」と同等。全長はCX-5より355mm長い。ホイールベースはマツダが北米戦略モデルとして展開している3列シートSUV「CX-9」と一緒だ。

新世代商品群に属する新型車なので当然だが、CX-8はマツダの新世代技術「SKYACTIV TECHNOLOGY(スカイアクティブテクノロジー)」とデザインテーマ「魂動(こどう)」を全面的に採用する。マツダによると、CX-8では「マツダらしい走りやデザイン・質感を備えながら、3列目まで大人がしっかり座れるパッケージングを実現」するという。

このクルマが的を射た商品だと思う理由はいくつかあるが、注目したいのはCX-8が、普通であればミニバンを選ぶような客層に訴求できそうなところだ。

●ミニバンに代わる新たな市場を狙う
○ミニバンユーザーに新たな選択肢

偶然ではないのだろうが、マツダがCX-8の発売を発表した2017年4月28日は、同社の決算説明会が開催される日だった。「ミニバンに代わる新たな市場の創造に挑戦する」。説明会に登壇したマツダ代表取締役社長の小飼雅道氏は、CX-8に掛ける想いをこのように語った。

想像の域を出ない話だが、自動車を購入する際、外部環境に迫られてミニバンを選ぶ人は少なからず存在するのではないだろうか。クルマ好きで、もともとはSUVやセダン型のクルマに乗っていた人が、家族が増えたため、乗車定員を確保しようとミニバンに乗り換えるようなケースだ。こういう人に訴えかけるものを、マツダはCX-8に詰め込んできそうな気がする。

CX-8の実車を見るのは新車発表会を待たなければならないが、デザインは現行のCX-5や「ロードスター」などと共通する「魂動」を採用するわけだから、もっさりしたクルマにはなりそうもない。走りの部分についても、「走る歓び」を掲げる同社が手を抜くとは思えないので、「たくさん人を乗せなければならないが、かっこいいクルマに乗りたいし、運転も楽しみたい」というような需要にCX-8がはまる可能性は十分にありそうだ。

最後に、CX-8の可能性についてマツダ広報に聞いた話も交えつつ見ていきたい。

●完成度を増すマツダ新世代商品群のポートフォリオ
○ライバルは少ない?

まず事業環境を見ておくと、国内の3列シートSUV市場は月間3000台程度の規模だという。ミニバンはどうかというと、よく街で見かける印象の車種であるにも関わらず、市場動向としては先細り感があるらしい。ミニバンに取って代わるように伸びているのがSUV市場だ。

3列シートSUVでCX-8のライバルとなりうる車種を考えてみると、例えば三菱自動車「アウトランダー」は7人乗りで、価格は253万8000円から328万4280円という設定。日産自動車「エクストレイル」は2列と3列を選べるが、3列タイプは248万5080円から297万1080円という価格設定だ。国産ではトヨタ自動車「ランドクルーザー」も3列だが少し毛色が違う。輸入車勢の3列シートSUVは価格帯が違うので、CX-8とは正面から競合しそうにない。

○欠けていたピースを手に入れたマツダ

小型車の「デミオ」、コンパクトSUVの「CX-3」、セダンの「アテンザ」、スポーツカーのロードスターなど、さまざまな車種を取りそろえるマツダの新世代商品群だが、訴求できていなかったのが多人数乗車のニーズだ。

マツダファンであっても、時間がたてば外部環境は変化する。例えばロードスターでマツダファンになり、新世代商品群のクルマにも乗ってきたような人がいるとしても、その人が多人数乗車に適したクルマをマツダで探すとなった場合は、旧世代商品に属する「プレマシー」か「ビアンテ」しか選択肢がなかった。ここに登場するのがCX-8だ。ちなみに、プレマシーとビアンテの生産は2017年度で終了するという。

マツダ広報によると、新世代商品群に乗るユーザーからも、3列シートの新型車を望む声を聞くことがあったという。なのでCX-8は、ある程度は需要が見えている新型車だといってもいいだろう。あとは、ミニバンしか選択肢がないと思い込んでいる人に対し、このクルマをいかにして売り込むかが焦点となる。

(藤田真吾)