東芝はどこに活路を見出すべきか

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 経営危機に陥った東芝はすでに白物家電や医療機器の部門を売却し、子会社である米原子炉メーカー・ウエスチングハウス(WH)を連結から切り離して海外の原発事業から撤退する方針を決めている。さらに、主力の半導体事業を売却してインフラ事業に集中するという。もはや東芝再生は打つ手なしなのか。

「正直になることが大前提」と指摘するのは、作家の江上剛氏だ。江上氏は第一勧銀(現みずほ銀行)の勤務時代に起きた「総会屋事件」に広報部次長として対応、その後も経営破綻した日本振興銀行の社長を務めるなど、数々の修羅場を経験してきた。

「一連の不正会計は、上から下まで誰もが不正と知りながら、上の意向を忖度して起きたもので、今回の決算発表も監査法人と事を構えるまでに至った。この隠蔽体質を変えなければどうにもならない。

 半導体事業は売らずに済むなら売らないほうがいいのでしょうが、手元資金がないとなれば売らざるを得ない。インフラ事業に集中するといっていますが、東芝はすでに多くの事業を売却し、原発も輸出できる状況ではないので、他社とアライアンスをいちいち組む必要がある。しかもインフラ事業も競争が激化していて、現に東芝は2013年に39億円、2014年に25億円のロスコン(赤字受注)を計上しています」

 そんな窮状にあって、東芝の経営危機を招いた「原発事業」にこそ、江上氏は、活路を見出す。

「原発を増やすにしてもやめるにしても、福島第一原発をはじめとする廃炉問題は日本が避けて通れない課題。東芝は原子力関連の技術者とノウハウを有している。それが東芝の強みであり、使命でもあるのです。

 そのうえで経営の鍵を握るのが銀行です。今は監査法人が財務を見ていますが、それが終われば今度は銀行がその役割を担う。不正会計はもちろん、事業の一つ一つについて、妥当性があるのか、意義があるのか、リスクはどのくらいなのかを精査して、東芝の経営を支える。

 東芝の原子力事業には社会的使命がある以上、それを支えることで銀行も社会的使命を果たせる。その使命感が東芝と銀行の絆となるはずです」

※週刊ポスト2017年5月5・12日号