金正恩氏

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国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が、中国の遼寧省瀋陽で逮捕された脱北者8人の北朝鮮への強制送還を阻止しなければならないと、韓国語版の公式ウェブサイトなどを通じて訴えている。

HRWアジア局のフィル・ロバートソン局長代理によると、脱北者8人は今年3月中旬、瀋陽で交通警察の検問を受けて逮捕され、身柄を拘束されている。8人の個人情報については、北朝鮮に情報が伝わるおそれがあるため明かせないとしている。

ロバートソン氏は、中国がもし北朝鮮に強制送還する間違った行動を取れば、自国民の人権を抑圧する北朝鮮当局に協力したとして国際社会からの非難を逃れられないだろうと警告した。

(参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち

また、HRWが昨年、脱北者を対象に行なった調査で元北朝鮮当局者から得た証言として、中国から強制送還された脱北者は、中国でキリスト教関係者と接触するなどの反国家的行為を行ったかどうかを調査される中で、ことごとく拷問にかけられていることが明らかになっているという。

「今まで金正恩政権が、北朝鮮の法律に反して脱北した後に強制送還された人々を日常的に虐待したり、拷問と性的暴力から無防備な状態で放置したり、強制労働をさせたり、それ以上のひどい目に遭わせたりしてきたことを裏付ける生存者の証言は十分に蓄積されている」(ロバートソン氏)

さらにロバートソン氏は、中国が、国連の難民条約と拷問等禁止条約の加盟国として、脱北者を拷問するおそれのある国に送り返してはならないという義務(ノン・ルフルマンの原則)を負っていることを指摘した。

また、2015年にベトナムで逮捕されて中国に送られた脱北者9人が強制送還の危機に瀕した際、人権団体などの国際社会が中国政府に訴えかけ、韓国政府が外交力を発揮して、強制送還を阻止した例を挙げて、国際社会の積極的な行動と外交努力が求められると強調した。

8人は今年3月中旬、交通警察の検問で、身分証明書の提示を要求されたが、持っていなかったため、最寄りの公安局に連行された。車の中で彼らのうちの1人が、「習近平国家主席と、世界の指導者に助けてほしい」という内容の動画を撮影し、彼らを支援していたキリスト教会の牧師に送った。その中で彼らは次のように語っている。

「どうか助けてください。北朝鮮に戻れば殺されます。どうか助けてください」

その後、彼らは取り調べのために公安局の中に連行された。数時間後、彼らは韓国に住む18歳のクォンさん(仮名)に連絡した。8人のうちの1人の息子だ。さらに数時間後の連絡で、クォンさんの母親が取り調べでの圧迫に耐えかね、倒れて病院に送られたと伝えてきた。その後、公安に携帯電話を押収されたが、8人のうちの1人が携帯電話を隠し持っていて、その後の状況を牧師にメールで知らせてきた。翌日、8人は拘置所に送られ、連絡は途絶えた。

4月初め、牧師は中国の知人から、8人がまだ中国にいると聞かされたが、どこにいるかは確認できなかった。公安に逮捕された脱北者は通常、2ヶ月以内に北朝鮮に強制送還される。

8人のうち、2人の女性は人身売買の被害者だ。中国人男性に売られて暴力を受けていたが、脱出した。怪我をしていたが身分証明書がないため、病院に行けずにいた。

別の女性は交通事故で頭部、股関節、脊髄に怪我をし、また別の女性(クォンさんの母親)は謎の病気で数年来苦しめられており、この数ヶ月で健康状態がいっそう悪化しているという。