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●ナイガイが始める2つの新サービス
アパレルメーカーのナイガイは、オウケイウェイヴ、メディアシークと共同で、新しい消費者とのコミュニケーションサイトの提供を開始する。AIの活用をも視野に入れた「リアル店舗を活性化させる買い物サポートツール」とはどのようなものだろうか。

○足元に特化した情報発信サイトを運営

ナイガイは1920年(大正9年)創業の、靴下・ソックスをはじめとするフットウェアを専門とする老舗のアパレルメーカーだ。このナイガイが同社製品の顧客に対して新たに開始するサービスが、足元全般に関するQ&Aや情報発信サイト「ナイガイ コミュニティサイト」と、商品に関する口コミサイト「レッグファッションコミュニティ ものトーク」の2つだ。

「ナイガイ コミュニティサイト」では、冷え性や足の痛み、むくみといった足に関する悩みについて検索・相談できるQ&Aサイトとなっており、ここではナイガイの社員(約250名)やナイガイが認定した医師・整体師などの専門家がコメントできるようになっている。

またこのサイトはOKWAVEで過去に投稿された質問の検索や表示にも対応しており、関連するQ&Aやコラム記事などが読めるようになっている。将来的にはAIエージェントを使ってQ&Aのやり取りを学習させ、最適な回答を返せるような機能も計画しているという。

もう一つの「ものトーク」は、ナイガイのウェブサイト上のリンクをクリックするか、またはナイガイ製品についているQRコードを、メディアシークのバーコードリーダーアプリ「ICONIT(アイコニット)」でスキャンすることで接続できる口コミサイトで、同社製品に対する消費者の口コミを閲覧・投稿できる。いずれのサイトでも、閲覧は自由だが、投稿するにはOKWAVEのアカウントが必要になる。

●コミュニティサイトが新たなビジネスに
○コミュニティサイトの設置代行サービス

実は、今回の「ナイガイ コミュニティサイト」および「ものトーク」の開発と運営はオウケイウェイヴが担当しており、Q&Aの元データや掲示板のインフラとしてOKWAVEを利用している。オウケイウェイヴ側ではこうした「自社ブランドを使ったコミュニティサイトを構築するサービス」を「OKWAVE JOIN」と名付けており、同日から提供を開始する。その第一号が「ナイガイ コミュニティサイト」というわけだ。

実際に運用する場合、「ナイガイ コミュニティサイト」のようにOKWAVEの名前は出てこないが、実際にアクセスするとOKWAVEのコンテンツが表示されたり、書き込みにはOKWAVEのアカウントが必要になる。ちょうど、企業のFacebookサイトにアクセスするだけなら問題ないが、コメントや「いいね!」などをつけようとするとログインする必要があるのと同じ関係だ。

SNSの普及により、企業とユーザー間の距離感は縮まりつつあるが、さらに一歩進んだ関係の構築はなかなか難しい。自社で大きなサイトを設置したり、コミュニティサイトの運営を行うだけの余裕がないという企業は多いだろう。そんな中で、実績のあるQ&Aサイトのインフラやデータ、運用ノウハウを利用してサービスを展開できるというのはなかなか面白いサービスだと言えるだろう。

ただし、前述したように書き込み時にはOKWAVEのアカウントが必要になるなど、IT慣れしていないユーザーにはユーザー体験的に障壁が大きいと感じられた。利用者の理解が進むように詳しくわかりやすい解説を行うか、企業の独自アカウントでもOKWAVE側のアカウントとして認められるようにするなどの工夫があったほうがいいように感じられる。

●不可欠な細かな心配り
○新しい口コミサイトの構築に期待

個人的に面白いと思ったのは、口コミサイト「ものトーク」だ。ナイガイの新谷功執行役員は「自社での利用にこだわる気はない。業種を問わず様々な企業に呼びかけたい」としている。商品の口コミというのは購入時の参考情報として非常に重要視される要素だ。大手通販サイトの口コミなどは、残念ながら強烈なアンチユーザーやサクラを使った評価アップの業者に「汚染」されている例も見受けられるため、良質な情報がやり取りされる口コミサイトが誕生するのであれば歓迎したい。

別の懸念もある。昨今、店頭で製品を確認し、同じ製品をもっと安く売っているネットショップで購入する客が増えているため、小売店では店内で商品の写真を撮ったり、バーコードを読み取る行為を良しとしない風潮がある。「ものトーク」のバーコードを読み取る行為がそういったものと誤解されないかは心配だ。

新しい仕組みだけに、小売店側への教育も必要になるだろうし、顧客側にも、たとえば「ものトーク」に対応した製品のある場所には操作方法を交えて「ものトーク」自体を紹介するPOPを立てておく、といったプロモーションが必要だろう。いずれにしてもサイトが軌道に乗るまでには、細かい気配りが必要になるだろう。

今回の発表は、非IT企業とIT企業のコラボレーションによる新たな企業の情報発信やコミュニケーションの試みとして、なかなか興味深い。ぜひ広く認知され、足元だけの運動に終わらないように期待したい。

(海老原昭)