写真1 上海モーターショーの会場(筆者撮影、以下同)


 今や世界最大の自動車市場となった中国における最大規模の自動車業界展示会、上海モーターショーが4月19日より開幕しました(写真1)。筆者も遅ればせながら展示会場へと足を運び、日本メーカーや中国メーカー、そして主要欧米メーカーが軒並み出展する会場を取材してきました。

 現在、世界の自動車業界では、環境への対応からEV(電気自動車)に移行する潮流が見てとれます。しかし、上海モーターショーに出展した完成車メーカー各社は、自社が手がける環境対応車の展示こそしていたものの、EV方面での特段の技術アピールなどはあまりしておらず、全体としては既存の内燃車を中心とした保守的な展示が目立ったという印象でした。

[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]

展示は既存車種が中心

 昨年、筆者は本コラム(「中国のEV市場が驚くほど急拡大した理由」)で、近年、中国でEV車の販売が急速に拡大している状況をお伝えしました。政府の補助金による追い風を背景にして、今や中国は米国市場を抜く世界最大のEV市場となっています。

 EV市場拡大の傾向は中国だけにとどまりません。ハイブリッド車、クリーンディーゼル車が普及している日本とドイツを除き、欧米各国では政府がEVの普及を後押しし、それに合わせて市場も年々拡大を続けています。

 また、これまでハイブリッド車、燃料電池車に傾注してきた日本最大手、トヨタ自動車も数年中のEV量産の実現化を宣言するなど、日本でも内燃車からEVへの移行が強い関心事となってきました。

 こうした状況の中、ましてや世界最大のEV市場である中国での開催ということもあって、上海モーターショーはEVに関連した展示や技術アピールが目玉になるのではないかと考えていました。ところが現実はさにあらず、各メーカーの展示は既存の販売車種が中心で、やや保守的と言わざるをえない印象を受けました。

 もちろん、既にEVの生産販売を手掛けているメーカーはEVを展示していました。とはいえ、その特徴や革新的新技術に関する説明や表示などはあまり見られず、あくまでラインナップのうちの1つのような扱いでした。常時インターネットと接続する「コネクテッドカー」に関する技術や取組についても、ごく一部のメーカーでしか紹介されていませんでした。

 部品メーカーのブースもほぼ同様です。既存の内燃車の部品の紹介や展示が主で、EV用の部品はそれほどありませんでした。もしかしたら本格的なEV時代への突入は、まだまだ先なのかもしれません。

気を吐く中国のEV専門メーカー

 以下では、筆者が気になった展示を紹介していきましょう。

 大手メーカーの多くは既存車種を中心に保守的な展示をしていましたが、EVの生産販売を専門とする中国メーカーのブースでは、環境対応を強くアピールするなどその先進性を訴える展示が見られました。

 例えば、EVやPHEV(プラグインハイブリッド車)の量産を長らく手がけ、この方面で市場に一定の地位を築いている中国深セン市に本拠を置く「比亜迪汽車(BYD)」では、自社の環境対応車のラインナップだけでなく、独ダイムラーとのEV共同ブランド「DENZA」の車種を展示するなど、EV方面への変わらぬ注力ぶりをアピールしていました。

 また中国蘇州市に本拠を置くEVベンチャー企業の「前途汽車(QIANTU)」は、未来的デザインのEVコンセプトカーを出展(写真2)。このメーカーについてはこれまであまり知らなかったのですが、「このようなデザインの車を出せるメーカーが中国にあったのか」と目を見張るようなモデルでした。

写真2 前途汽車のEVコンセプトカー


(* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで本記事の写真をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49856)

日本のメーカーはSUV推し

 一方、日本や欧米の大手メーカーはどのような車を展示していたのかというと、近年、世界的に販売台数が増加傾向にあるSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)を前面に出すメーカーが多かったようです。

 元々SUVを得意とする三菱自動車や日産自動車のブースでは、こうした傾向が顕著に見られました。また、トヨタ自動車も日本で発売したばかりのSUV「C-HR」を彷彿させるようなコンパクトなコンセプトカーを大きく打ち出していました(写真3)。

写真3 トヨタが展示したSUV


 なお、日系メーカーのブースの中で個人的に一番目を引いたのはマツダのブースでした。マツダは展示車両の大半を「赤」一色に統一しており、遠目にも非常に目立つブースとなっていました。

 赤は中国市場で人気のある色なので、他のブースでも比較的多く使われていましたが、あれだけ真っ赤に染め上げたのはマツダだけです。日本メーカーのブースは、デザインに凝った欧州系メーカーのブースと比べるとやや地味な印象を受けるだけに、マツダのブースはひときわ異彩を放っていました(写真3)。

写真4 真っ赤に染め上げられたマツダブース


噂の「コンパニオンの露出」具合は?

 こうした展示車だけでなく、今回のモーターショーで目を引いたのが、欧米系メーカーのブースで多く見られたVR(仮想現実)を活用した展示の取り組みです。来場者にヘッドセットを被らせ、自分が車内にいるかのような映像を見せながら、各種装備や動作などを説明するという展示手法です(写真5)。

 ただし、筆者も試してみたのですが、眼鏡を外さなくてはならないので映像がよく見えず、また、それほど臨場感のある映像ではなかったということもあり、まだまだ発展途上だなというのが正直な感想でした。

写真5 VRを活用した展示コーナーで説明を受ける来場者


 最後に、おそらく日本の多くの読者が気になっているであろう、コンパニオンの露出具合について触れておきましょう。以前、日本のメディアが頻繁に取り上げたためか、どうも「中国のモーターショーのコンパニオンは露出が激しい」と思っている人が多いようで、筆者も今回の取材でコンパニオンを撮影してくるよう知り合いから執拗にお願いされました。

 しかし、以前、中国政府が「あまり脱ぐな」と注意喚起したこともあり、今年のモーターショーではそれほど露出度の高いコンパニオンは見当たりませんでした。過激な衣装を期待して会場を訪れた人にとっては、肩透かしを食らった感じでしょうか。

 ただ中国人コンパニオンは全体的に手足が長く、優れたモデル体型をしている人がたくさんいました(写真6)。そうしたコンパニオンが居並ぶ会場の雰囲気はやはり華やかで、日本と同様に、車そっちのけでコンパニオンばかり撮影する男性が数多く見られました。

写真6 不敵な笑みを浮かべるコンパニオンたち


[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]

筆者:花園 祐