東芝が一刻も早く半導体事業を完全売却したほうがいい理由

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1990年頃をピークに始まった「衰退」

 原発子会社の巨額損失などにより経営危機に陥った東芝が、半導体事業の事業売却手続きを進めている。だが、米調査会社ガートナーによると、2016年の東芝の半導体事業の世界シェアは8位。国内メーカーで唯一世界のトップ10に残っている優良事業だ。

 1990年には、半導体事業の世界トップ3を独占、トップ10のうち6社を占めていたのが日本の電機メーカーだ。つまり、半導体は日本の「お家芸」であり、東芝の半導体は日本にとって最後の砦でもあるのだ。

 売却先の候補にはアメリカの半導体大手ウェスタンデジタルや、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業といった名前が出ている。残念ながら、日本企業の名前は見当たらない。

 電機産業では、シャープが鴻海精密工業に買収されたばかりだ。経営難から回復するための選択肢は限られているのだろうが、このように海外企業への事業売却が続くと、日本の電機産業は大丈夫なのか、と不安に駆られる。

 ところが、インターネット上で公開されている記事によると、本書『日本の電機産業失敗の教訓』の著者の佐藤文昭氏は、意外なことに「東芝は一刻も早く半導体事業を完全売却すべきだ」と、同社の事業売却に肯定的なのだ。その真意はどこにあるのだろうか。

 佐藤氏は、1981年に日本ビクターに入社し技術者としてビデオの研究開発に従事した経験を持つ。その後1988年に証券アナリストに転身。電機業界や半導体業界の企業分析を担当した。2000年から6年連続で日本経済新聞の総合アナリスト・ランキングで1位を獲得。2007年にメリルリンチ日本証券に移籍し、副会長兼投資銀行部門マネージング・ディレクターとして電機・半導体・通信業界の再編やM&A関連業務に従事している。2009年に情報通信技術関連に特化した業界特化型のM&Aアドバイザーである株式会社産業創成アドバイザリーを共同創業し、代表取締役に就任した。

 日本の電機メーカーは、1960年頃から半導体や大型コンピュータ事業に相次いで参入。急速に広がるマーケットに対応し、日本が得意とする「性能・品質の改善」などを武器に、アメリカ勢を追い上げシェアを伸ばしていった。そして1980年代には半導体など一部の分野で、ついにアメリカを追い抜きナンバーワンの座を獲得するに至った。

 ところが日本の電機産業は、1990年あたりをピークに急激に衰退していく。

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