<トランプのシリア爆撃がトラウマのプーチンは、北朝鮮問題となると今のところ米中にお任せ。北朝鮮より予測不可能なトランプ政権を見つめるプーチンの思惑は?>

北朝鮮の核開発問題をめぐる緊張が高まるなか、不気味に静まり返った国がある──ロシアだ。

北朝鮮問題を話し合う6カ国協議のメンバーで、旧ソ連時代には北朝鮮と同盟関係を結んでいたロシアは、米朝対立が深刻化するのを横目に、ほとんど口を閉ざしている。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2週間前にドミトリー・ペスコフ大統領報道官に短い声明を発表させたが、それも非常に形式的な内容だった。

「ロシアは全ての関係国が自制し、挑発的な行為を慎むよう求める」と呼びかけたペスコフは、北朝鮮情勢を「憂慮」しているとも言った。その後のロシア政府や高官の発言からは、どの国の味方もしないという姿勢が鮮明だ。韓国と北朝鮮の対立は「外部がけしかけたもの」と言ったロシア安全保障会議のニコライ・パトルシェフ書記でさえ、名指しを避けた。

北朝鮮問題でロシアの積極的な関与を期待するのが、木曜に日ロ首脳会談でロシアを訪問した日本の安倍晋三首相だ。安倍は挑発行為を連発する北朝鮮を封じ込めるため、ロシアの支援をとりつけたい。だが専門家は、ロシアが北朝鮮問題で断固とした態度を示すことは考えにくいという。韓国であれ北朝鮮であれ、ロシアはいずれかに強く肩入れする立場にないからだ。

アラスカ沖に爆撃機飛ばす

北朝鮮問題に詳しい米シンクタンク大西洋評議会のボブ・マニングは、ロシアは北朝鮮問題に関しては「当事者だが外野」という役回りで落ち着いたとみる。

「ロシアが6カ国協議の参加国で、北朝鮮と国境を接し、北朝鮮が外貨稼ぎのために派遣してきた労働者を搾取しているのは事実だ」と彼は言う。「一方は核拡散には反対で、中国を通じて北朝鮮の動向を探ってきた」

とはいえ、アメリカが北朝鮮に対して強硬な態度を取ったときには、ロシアは存在を誇示してくる。今月中旬にロシアの戦略爆撃機が、米アラスカ州の防空識別圏内を飛行したのもそうだ。「ロシアもアジア太平洋地域で主要プレーヤーになりたいのは同じ。アメリカの好きにはさせない」

事実、プーチンはアジア太平洋地域に重大な関心を示している。昨年12月に訪日するなど日本との外交関係を強化するだけでなく、ウクライナに軍事介入して以降は、ヨーロッパ諸国との関係悪化や貿易の減少を埋め合わせるべく中国に急接近している。2015年は極東ウラジオストクで「東方経済フォーラム」を初開催し、ロシア政府一押しのソチやサンクトペテルブルグといった地方都市を世界のメディアにアピールした。

ダミアン・シャルコフ