太陽節(金日成主席の生誕記念日)を迎え、北朝鮮の国中がお祝いムードで演出された今月15日、北部国境地帯で大規模な脱北事件が発生した。それも、国境警備隊員に暴力をふるっての脱北だったため、衝撃が走っている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、事件の経緯は次のとおりだ。

茂山(ムサン)郡の中心地から南に3キロ、国境を流れる豆満江のほとりにある村、篤所里(トクソリ)に住んでいた3家族7人が脱北を実行した。

情報筋の話を総合すると、7人が川を渡ろうとしたところで、国境警備隊員に見つかった。そこで、大人3人が国境警備隊員2人を襲撃し、口をふさいで木に縛り付けた。そして自動小銃を奪い、弾倉を川に投げ捨てて中国に逃走したという。

国境警備隊と各司法機関は上を下への大騒ぎとなっている。一切の事件事故を許してはならないと厳命されている太陽節の当日に起きた大失態であるため、容疑者を逮捕できなければ、関係各部門の担当者は処罰を免れないからだ。

国境警備隊と郡の人民保安部(警察)は、地域住民に対して移動禁止令を出した。また、中国当局に事件を通告し、中国に捜査要員を派遣するなどして7人の行方を追っているが、まだ見つかっていないようだ。また、16日午後からは、国境警備隊員数十人が、まだ水の冷たい川に入って弾倉の捜索活動を行ったが、結局発見には至らなかった。

国境地帯の住民は、普段から国境警備隊員と親しくしており、密輸や出稼ぎのための一時的な脱北でも、あるいは韓国への移住を目的とした脱北でも、ワイロを渡せば比較的容易にできる。

ところが、北朝鮮当局はこのような行為に対する取り締まりを進めており、脱北を幇助していた国境警備隊員を公開処刑している。

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こうした締め付けの厳しさが、今回のような過激な脱北事件の発生につながったものと見られる。