ロードバイクのメンテナンスの基礎知識を伝授するコーナー。今回は、「サドル・シートピラーの交換のやり方」についてレクチャーしていきます。 サドルは、身体に密着する部分なので違和感はつきものです。 調整しても違和感が消えないようならすぐに交換すべき。 また、色やデザインをかえれば気分転換にもなります。この機会に、しっかり学んでいきましょう。

 

【使用する工具】

アーレンキー

 

グリス

 

【サドルの構造をチェック】

ライダーの誰もが体験するのが尻、股の痛み。これはサドルを取り替えてみるとある程度解消できる。それでも、男女差や個人差の大きいパーツなので、なかなかしっくりくるサドルを見つけるのは難しい。

 

だが、幅の広いものやサドル中央部に穴の開いたものなどサドルの種類は多くラインナップされている。なかには、内部にジェルが入っていて乗り心地を向上させたタイプもある。粘り強く、自分の用途や好みに合うものを見つけよう。

 

1.サドルとシートピラーはこのような構造になっている。サドルレールをシートピラー先端のやぐらで固定する。

 

【1本ボルトと2本ボルトのシートピラー】

シートピラーには、ボルト1本でサドルレールを固定するものと、2本で固定するタイプがある。2本のものは傾きのより細かい調整が可能。シートピラー前後のボルトで角度を微調整できる。装着時には、どちらのタイプもボルトを仮締めしておき、位置や向きを調節してから本締めする。

 

2.サドルには、ネジ1本で固定するタイプと、2本で固定するタイプがある。

 

【1本ボルトタイプの交換】

3.1本ボルトの場合、固定しているボルトをアーレンキーで緩めれば簡単に外せる。

 

4.やぐらとサドルを外したところ。サドルを交換するだけなら、やぐらを外す必要はない。

 

5.やぐらの上部と下部には溝がある。この溝で角度がずれるのを防止している。

 

【2本ボルトタイプの交換】

6.2本ボルトの場合、固定しているボルトを2つとも緩める。緩めたら前方にスライドさせると簡単に外れる。

 

7.2本のボルトでシートピラーを固定している。後ろが固定ボルト、前が調整ボルトだ。

 

8.2本ボトルタイプのやぐらは、このような構造になっている。

 

【シートピラーをはめる】

サドルは走行中、常に力がかかっている箇所だ。そのため負担が大きく、きしみ音などが発生しやすい。特にクロモリフレームはしっかりシートピンで締めるので、固着がしやすい。交換時だけでなく、まめにグリスを塗ってメンテナンスをしたい。サドルレールにはきしみ音防止のためグリスを薄く塗る。逆に、シートピラーはグリスが全体に行き渡るようにたっぷり塗るのがコツだ。またカーボン素材なら専用のグリスが必要となる。

 

なお、サドルを交換する場合は、それまで使っていたものとのサイズの違いがあるので、適正位置を新たに探し出さなければならない。サドルをレンタルして試乗させてくれるショップもあるので、相談してみよう。

 

9.シートチューブの部分には走行中常に力がかかっているので、交換するときには忘れずにグリスを塗りたい。

 

10.シートチューブの口にグリスを塗って、シートピラーを差し込むと、塗ったグリスが下の必要な部分まで塗布される。

 

【2本ボルトの取り付け】

11.2本ボルトのサドルを取り付ける場合、前後の固定ボルトを仮締めしてサドルをシートピラーに固定。

 

12.続けて、前後の調整ボルトで位置を調節して固定ボルトを本締めする。

 

13.調整と固定が終わったら、真っ直ぐ取り付けができているかを確認する。

 

【こちらもチェック】

サドル選びは乗り心地を大きく変える

ロードバイク用のサドルは一般的な自転車のサドルに比べハードな仕様になっている。ゆえに乗り慣れないとお尻が痛いのは確かだ。これはハイスピードで長距離を走るために計算された硬さなのである。軽量化を極限まで追求した薄いカーボン性のタイプは、レースでは重宝されるが、クッション性を犠牲にしているため街乗りに適しているとはいいがたい。 これを解消するのがお尻にクッションの入ったレーサーパンツ。走行性を重視するなら組み合わせを検討してもいいだろう。

 

痛みを軽減するためにジェルを入れたタイプは、お尻の痛みが和らぐものの、尿道を圧迫することもある。それが気になるようであれば、尿道の位置にくぼみをつけたり、中央にホールを設けたりしたサドルもおすすめだ。革製は一見固くてつらそうだが、乗り続けるうちに徐々に自分のお尻の形に変形してくる。革サドルのユーザーには自転車を買い替えてもサドルだけは継続して使用しているという人も多い。

↑ジェル入りでクッション性のあるサドル。サドルベース裏側の中央部分をカットすることで、サドル中央のしなやかさを得ている。

 

↑革製は時間の経過とともに自分の身体になじんでいく。増していく味わいが魅力だ

 

↑カーボンファイバー製の軽量モデル。薄くても破損しないよう素材が強化されている

 

↑尻上がりで鳥のくちばしを思わせるノーズのビンテージラインで人気のモデル。表皮はスエード製