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●「PRO」仕様の大口径単焦点標準レンズ
オリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」は、同社ミラーレス用レンズでは最も明るい開放値F1.2を実現した単焦点レンズ。薄暗いシーンでも速いシャッターが使えるほか、明るいレンズならではのボケ表現が見どころだ。その写りや使い勝手はどうなのか。実写レビューをお伝えしよう。

○素早く泳ぎ回る魚もシャープに写せる

最近は各社とも手ブレ補正機能が進化し、以前に比べると、薄暗いシーンでも三脚なしで撮影することが容易になった。しかし、ブレには手ブレ以外に、被写体ブレがある。どんなに手ブレ補正機能が優秀でも、被写体ブレは防げない。被写体ブレを抑えるために最も効果的なのは、明るいレンズを使うことだ。明るい、つまり開放値が小さいレンズでは、暗所でも比較的速いシャッター速度が利用でき、被写体ブレを最小限に低減できる。

今回取り上げるオリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」は、そんな暗所撮影に有利なレンズのひとつ。開放値F1.2という明るさによって、高画質を維持したまま、ブレのない撮影が気軽に楽しめる。

上の写真は、オナガゴイの動きを捉えたもの。F1.2の絞り開放値によって、感度ISO1000ながらシャッター速度は1/250秒の高速となり、被写体ブレはほとんど目立たない。

また、こうした暗所での動体撮影では、シャッター速度に加えて、AF性能も重要になる。今回は「OM-D E-M1 Mark II」に装着して試用したが、本レンズとの組み合わせによるAFの速度と精度は満足できるレベル。光量が乏しいシーンでもてきぱきと合焦し、被写界深度がかなり浅いF1.2の開放値でも、正確なピントで撮影ができた。

レンズの外装は、高品位な金属素材となる。本レンズは光学性能と堅牢性にこだわった「PRO」レンズシリーズの1本であり、防塵防滴対応のしっかりとした鏡胴や、滑らかな感触のフォーカスリングはこれまでのPROレンズシリーズと共通したものだ。

マニュアルフォーカスクラッチ機構についても、多くのPROレンズシリーズから継承。フォーカスリングを手前にスライドすることで、AFからMFに素早く移行できる仕掛けだ。ミラーレスカメラでは希少な距離目盛りや被写界深度指標をフォーカスリングに備える点もありがたい。

レンズのサイズは、最大径が70mmで全長が87mm。フィルターサイズは62mm。マイクロフォーサーズの単焦点レンズとしては比較的大柄で、質量は410gと重め。PENシリーズなどの小さなボディではややフロントヘビーになるが、大きなグリップのあるOM-D E-M1 Mark IIとのバランスは良好だ。

●F1.2のメリットはボケ表現にも
○大口径レンズならではのボケ味を楽しむ

F1.2という明るさには、ブレ防止だけでなく、ボケ表現が楽しめるというメリットもある。下の写真は、ちょうど見ごろを迎えたチューリップの花。開放値F1.2を使うことで背景をぼかし、一輪の花のみを際立たせた。ボケは滑らかでクセがなく、一方で合焦部分はしっかりと解像している。

参考までに、ズームレンズを使って同じ画角で撮ってみた。下は、高倍率ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」の開放値F4で撮影したもの。高倍率ズームとしては特に暗いわけではないが、F1.2とF4とではボケ量や写真の雰囲気がまったく異なることがわかるだろう。

レンズ構成は14群19枚で、絞りには9枚羽根の円形絞りを採用。光源に生じるボケの形状については、開放値では周辺部になるほどレモン型になりがちだが、F1.8まで絞るとほぼ円形のきれいな玉ボケになる。

絞り値ごとの写りの変化も見てみよう。下の写真は、同一シーンを絞り値を変えながら撮影したもの。後ろボケに比べると前ボケはやや硬めだが、不自然というほどでない。赤い花を見ると、開放値からのシャープネスの高さがわかる。

次は、絞り値を変えながら遠景を撮影したもの。開放値でも十分に使えるが、F4〜5.6程度まで絞り込むと、四隅まで最も高解像な写りが得られる。歪曲収差はほぼ気にならず、開放値での周辺減光や色収差は比較的少なめに抑えられている。

●35mm判換算で50mm相当の使いやすさ
○広角的にも望遠的にも使える焦点距離

35mm判換算で50mm相当の焦点距離については、昔ながらの標準レンズに相当する。古くからの写真愛好家ならすんなりと使いこなせるはずだ。遠近感が肉眼に近く、誇張のない素直な写りが得やすい。撮り方次第で広角的にも望遠的にも使える、自由度の高い焦点距離といってもいい。

最短の撮影距離は0.3m。最大撮影倍率は0.11倍で、35mm判換算では0.22倍相当になる。

トータルとしては、F1.2というワンランク上のスペックを持ちながら、使い勝手に優れたレンズに仕上がっていると感じた。開放値が明るくなるほど被写界深度が浅くなり、一般的には撮影の難易度が高くなる。だが本レンズなら安心してAF撮影ができ、ピンボケの失敗は少ない。加えて、描写面での満足感も高い。今回は主に動植物や風景を撮影したが、ポートレートや子どもの撮影用にも好適といえる。

ハードルになるのは、実売14万円を超える価格だろう。同じ焦点距離でも開放値をF1.8に抑えた「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8」(同社オンラインショップでの価格は税込36,288円) なら、約1/4ほどの価格で購入できる。

とはいえ「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」の高品位な写りと道具としての質感の高さ、使い勝手のよさを一度知ってしまうと、下のクラスのレンズにはもう戻れない。写真撮影を本気で楽しみたい人や、他人とは違った写真を目指す人なら、「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」を選択する価値は十分にある。

(永山昌克)