お金に苦労せず、幸せに生きていくことを目指す【脱貧困診断】。今回の相談は、田所朋美さん(仮名・派遣会社登録・30歳)からの質問です。

「社会保険料って、4月〜6月までの給与できまると聞いています。では、たとえば、派遣会社にいて、4〜6月を、10日くらいしか働かないで国民健康保険にして、派遣で7月から3月まで働いて、また4〜6月をほとんど働かなかったら、ずっと最低料金ってことですか? 見直しになるとするなら、いくら以上増えたら見直しの対象になる、とかいうのが決まっているのでしょうか。自分の働き方が不安定なので、とても気になっています」

さっそく森井じゅんさんに伺ってみましょう。

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社会保険と国民健康保険は額算出の方法が違う

相談者さんは、保険料の算定方法について、少し勘違いをしているのかもしれません。

社会保険と国民健康保険は計算のベースが異なります。
具体的にいうと、国民健康保険料は前年(1〜12月)の収入・所得をベースに計算されます。一方、社会保険料は標準報酬月額により保険料が決まります。

社会保険料の額は給与額によって50段階に分けられている

社会保険料の算定基準となる標準報酬月額は、月ごとの給与レベルです。基本的に月の給与を1等級(8万8千円)から50等級(139万円)までの50段階に分けてそれに対応する保険料が給与から天引きされるのです。

その等級を決めるタイミングは3つ。

(1)資格取得時(就職時)

(2)定時決定(4〜6月の給与実績)

(3)随時改定(昇給・減給など大幅な変更があった時)

です。

お給料が20万円だった場合の天引き額は…

仮に、相談者さんが4月に派遣会社等で働きはじめ、社会保険に入ったとします。
入社時には、その会社における給与の実績がないため、1か月分の給与を見積もり標準報酬月額を決定します。

たとえば、給与が1か月20万円と見積もられた場合には、17等級に該当。40歳未満であれば、健康保険料はひと月19,920円です。社会保険は会社が半分負担してくれるので、給与から天引きされる健康保険料は9,960円になります。

相談者さんのおっしゃっている、4月から6月までの給与で社会保険料が決まる、というのは間違ってはいません。
基本的に4月から6月の3か月の平均が実績となり、標準報酬月額が決定されるからです。それが9月から翌年8月までの等級になります。
例えば4月から6月までの給与実績の平均が22万円だったとします。すると18等級となり、9月から給与天引きされる健康保険料は、10,956円になります。

しかし、例えば4月から6月が繁忙期で、単に残業分だけ報酬が高かっただけ。7月から以降は当初の見積り通り、20万円程度の給与だったとします。でも17等級には戻りません。8月までは前年の等級が適用され、9月からは、4月から6月の定時決定によって18等級の健康保険料が適用されます。

それでは、7月から働く時間をセーブするなどで、社会保険を外れて国民健康保険に加入したとすると、保険料はどうなるでしょうか?

国民健康保険料は前述のように前年の収入・所得により異なります。また、お住まいの市区町村によっても計算方法が異なります。

ひとつ例に出すとすると、東京世田谷区の場合、月20万円・年収が240万円程度で、月13,000円程度の保険料です。ただし、会社が負担してくれるわけではないので、全額を自分で支払います。会社員として働いて、天引きされる額より多くなりますね。

支払う保険料を安くしたい、という点からいうと、あまり意味がないのではないでしょうか。

国民保険と社会保険、どっちがお得?

一般的には、毎年同じくらいの収入であれば、国民健康保険の方が保険料が高くなるケースが多いです。一方で、社会保険に加入した場合には年金も国民年金から厚生年金になります。国民年金は基本的に一律ですが、厚生年金は標準報酬月額により段階的に負担額が大きくなります。

国民健康保険と社会保険では、計算ベースが違うので、保険料負担がどちらが大きくなるかは一概には言えません。ただし、社会保険では会社が保険料を半分負担してくれ、天引きして納付してくれます。また、傷病手当金や出産手当金など保障も手厚いなどメリットもあります。

数字をいっぱい並べられると思考が停止してしまう、という状況をまずなんとかしないと!



■賢人のまとめ
4月〜6月の実績が標準報酬額となり、支払額が決まる社会保険料。この時期に給与が高いと9月からの支払い額が高くなるので要注意。国民健康保険と比べると、会社に半額負担してもらえる分、社会保険のほうが支払額は低くなるので、相談者さんが考えた働き方がお得になるとは言えません。

■プロフィール

女子マネーの達人 森井じゅん

1980年生まれ。高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。

一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行なっている。