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■どんなクルマ?

日本製クーペとして最大級のサイズ

レクサスが2012年のデトロイトショーに送り出し、大反響を巻き起こしたコンセプトカー「LF-LC」。その大胆にして繊細なスタイリングをほぼそのまま、市販モデルとして実現したのが、レクサスLCだ。ちなみにLCとはLuxury Coupe、つまり、贅沢なクーペ、の意味を持つ。

全長4770×全幅1920×全高1345mm、ホイールベース2870mm、というボディサイズは日本製のクーペとしては最大級のもので、シート配置は2プラス2の定員4人。

このボディ、基本素材はスチールだが、ルーフパネルにCFRP=カーボンファイバー(標準モデルとSパッケージ)を、ドアにはインナーにCFRP、アウターにアルミパネルを使用、フロントフェンダーとボンネットにアルミをといった風に、随所に軽量素材を用いているのも特徴のひとつだ。

プラットフォームはこのクルマのために新開発されたもので、シャシーはスチール製だが、サスペンションはアルミのアーム類を奢った4輪マルチリンクを採用、スプリングはコイルで、ダンパーは電子制御可変式。ブレーキは、フロントが6ポッド、リアが4ポッドのアルミモノブロック・キャリパーを備える、4輪ベンチレーテッドディスクを採用。

LCにはパワーユニットの違いで2モデルがある。ひとつが5ℓV8 NAをフロント・ミドシップに搭載したLC500、もうひとつが3.5ℓV6 NAにリチウムイオン・バッテリー駆動の電気モーター2基を組み合わせたハイブリッドで、車名はLC500hになる。

プライスも日本製クーペとしては異例で、LC500の標準モデルとLパッケージが消費税込み1,300万円、Sパッケージが1,400万円、LC500hはそれぞれ1,350万円と1,450万円になる。

■どんな感じ?

477ps、55.1kg-mのV8自然吸気エンジン

LC500とLC500h、どちらも試乗したが、主にV8エンジンのLC500について報告しよう。適度なタイト感に満ちたコクピットに収まると、上体のホールドのいいスポーツライクなシートがドライバーを迎えてくれる。液晶メーターパネルには、LFAスタイルの大径タコメーターが目の前に位置し、その内側にデジタル表示のスピードメーターが備わる。

5ℓ4カムV8エンジンは、NAのまま477ps/7100rpmのパワーと55.1kg-m/4800rpmとトルクを生み出し、クーペとしては重めの1940kg(標準モデル)の車重を、10速ATを介して意のままに加速させる。当たり前だが、加速はまさにスロットルの踏み込み加減次第で、深く踏み込めばスタイリッシュなボディをパワフルに、しかしスムーズに、前に押し出していく。

まずはノーマル・モード。サウンドは痛快

LC500はサウンドも魅力的だ。エグゾーストにはバルブの開閉によって排気音をコントロールするシステムを採用、全開に近い加速では後方から乾いた爆音が奏でられる。とはいえそれは、昨今のイタリアやイギリスのスーパースポーツほどの大音響でないのが、気配りのトヨタらしい。

LCにはドライブモード・セレクトなるものが備わり、そのコントローラーはメーターパネル左から突き出している。取り敢えずそれを標準状態の「ノーマル」にしたまま走り出すが、サスペンションの動きは適度にソフトで、21インチのミシュランからの突き上げも感じさせない。まさにLCの名に相応しい上質な乗り心地なのである。

このドライブモードセレクト、「コンフォート」にすると脚が一段とソフトになる一方で、「スポーツ」にしてもエンジンやトランスミッションのレスポンスが素早くなるだけで、サスペンションに変化はない。

さらにその上の「スポーツ+」をセレクトして、初めてダンパーが締め上げられるのだ。とはいえ、「スポーツ+」にセットしても強い突き上げを喰らったりすることはなく、充分容認できる乗り心地が保たれているところもまた、LCらしい。

モードの使い分けは? ハイブリッド車との違いは?

というわけで、日常的な走行パターンでは「ノーマル」もしくは「コンフォート」、レスポンスよく走りたいときには「スポーツ」を選択、ワインディングロードに入ってコーナリングを愉しみたいときには「スポーツ+」をセレクトする、というのが好ましいと思う。

この「スポーツ+」モードでのコーナリングは安定していて、V8のパワーを駆使してワインディングを攻めても姿勢を乱すことはない。その一方で、「スポーツ+」でも身のこなしに若干の重さを感じさせるのは、2トン近い車重によるものだろう。このクルマの車名がSC=Sports CoupeではなくLC=Luxury Coupeであることを、実感する瞬間でもある。

なお、3.5ℓV6エンジンに2基の電気モーターを組み合わせたハイブリッドモデル、LC500hにも短時間試乗した。こちら、パワートレインの回転感と迫力、それにサウンドの魅力においては5ℓV8に及ばないが、より静かな走りと歴然と良好な燃費がLC500に対するメリットだと実感した。

■「買い」か?

街で感じる熱い視線 それもLCの魅力

1,300〜1,450万円という、ニッサンGT-Rという特殊なキャラクターのモデルを別にすれば、日本車のクーペとしては異例に高価なLC500/LC500h。その最大の魅力は、コンセプトカーがそのまま市販車になったかのような、斬新にして繊細なエクステリアにあるといっていい。と同時に、スポーツライクで上質なインテリアもそこに魅力を添える。

実際にドライビングしてみると、快適さとスポーティな感覚を絶妙にミックスさせた乗り味が印象に残る。前頁にも書いたとおり、LC=Luxury Coupeの名に相応しい快適さがまずベースにあって、そこにスポーツライクな感触が上乗せされている、という印象なのだ。

パワートレインに関していえば、スポーツライクなテイストをよりストレートに実感させるのが、LC500に搭載された自然吸気の5ℓV8エンジンである。そのスムーズにしてパワフルな回転感と、エグゾーストから奏でられる乾いたサウンドは、スポーツカー好きをも魅了するはずである。

スタイリッシュで、パワフルで、快適にして、スポーティ。それでいて日本車の美点である信頼性を100%備えているはずの、すこぶる贅沢なクーペ。それがレクサスLCというクルマだ。したがって、そういうモデルに1,000万円以上を投入できるリッチ層にとって、LC500/LC500hは「買い」なのではないだろうか。

発売開始から間もないため、まだ物珍しい存在であることも一因だと思うが、LCで街を走っていると、周囲の人の熱い視線を感じることも少なくなかった。日本車でありながら人目を惹きつけるスタイリングのオーラ、それもレクサスLCの魅力のひとつだろう。

レクサスLC500 Lパッケージ

■価格 1,300万円 
■全長×全幅×全高 4770×1920×1345mm 
■燃費 7.8km/ℓ 
■CO2排出量 298g/km 
■乾燥重量 1960kg 
■エンジン V型8気筒4968ccガソリン 
■最高出力 477ps/7100rpm 
■最大トルク 55.1kg-m/4800rpm 
■ギアボックス 10速オートマティック