RIRI

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 今、筆者が見ているのは大阪のホールでRIRIがパフォームしているYouTube動画だ。先輩シンガー、AIの呼び込みでステージに駆け上がってきたRIRIはピョコっとお辞儀をするとすぐに第一声を張り上げ、歌い始める。途端に会場の空気が変わるのを、パソコンの画面越しからも感じるほどだ。小柄な身体ながらも、グルーヴィーにかつダイナミックに歌い上げる姿はまさにディーヴァといったところで、只者ではない雰囲気が漂う。

 1999年生まれの17歳、現役女子高生。RIRIは、2011年にホイットニー・ヒューストンらを手がけてきた大物プロデューサー、デイヴィッド・フォスターが主催したオーディションに出場し、見事ファイナリストに選ばれるという経歴を持つ。当時、まだ11歳というのだから本当に恐ろしいほどの才能だ。その翌年、憧れの存在だったというAIに出会う機会に恵まれ、それをきっかけにAIとの交流がスタート。RIRIはAIのツアーに帯同してオープニング・アクトを務めるようにもなり、そこからRIRIの人気は口コミ的に広まることに。なんと2016年にはイキナリ『SUMMERSONIC 2016』に出演し、同年には初EP 『I love to sing』を発表。見事、iTunes R&B / ソウルランキングで1位を獲得……と、シンデレラストーリーを地で行くような新世代ディーヴァなのである。

 RIRIはもともと祖父や母の影響で幼少の頃からR&Bに親しみ始めたそうで、中でもビヨンセに大きく影響を受けたそう。もちろん、日本にもビヨンセ世代の女性シンガーは多くいれど、RIRIのような90年代生まれのシンガーでここまでの表現力を持った存在は珍しいのではないだろうか。彼女のEPを聴いて驚かされるのは、テクニックだけではなく、きちんと情感がこもった歌い方を心得ているということだ。アリアナ・グランデばりのハイトーン・ボイスで歌い上げたかと思うと、思わずハッとするような、色気のあるロウなトーンで唄ってみせる。まだ17歳だが、彼女が今後ビヨンセのように経験豊かな女性になるにつれ、どんなスキルを身に付けていくのか非常に楽しみなところ(ちなみに彼女の楽曲は8割程度が英語歌詞だが、これまたナチュラルに英語で歌い上げるスキルも)。

1996年生まれのロードや1997年生まれのリル・ヨッティ、そして2000年生まれのウィロウ・スミスなど、現シーンでワールドワイドに活躍する新世代のアーティストは、他ジャンルに渡って貪欲に自分の作品を発表している点が特徴的でもある。また、日本でもLICK-Gやちゃんみなら、現役高校生ながらアグレッシブに活動し、同世代のみならず幅広い世代に受け入れられているアーティストが騒がしくなってきた頃。RIRIもまた、どんな発展的な作品をドロップしてくれるのか非常に期待が高まる。

 今年の3月には、世界中から若き才能が集まるフェス、『SXSW』に日本人最年少アーティストとして出演したRIRI(去年は水曜日のカンパネラも出演して話題になった)。毎年テキサス州オースティンで開催されている本フェスだが、RIRIは海外のオーディエンスを前にThe Chainsmokersの「CLOSER」を自己流にカバーして歌って見せ、見事拍手喝さいを受けた。加えて、4月にはFifth Harmonyやショーン・メンデスら海外アクトが多く名を連ねるフェス『POPSPRING 2017』の出演者としても抜擢され、堂々と幕張メッセの大ステージを飾ってみせた。

 そんなRIRIだが、待望の新曲「RUSH」をリリースするとの報せが。現在、USシーンを湧かせている等身大のディーヴァ、ケラーニを思わせるようなミッド・ナンバーで、繊細にヴァースを歌ったかと思うと、フックでは一気に歌い上げるなど、RIRIの魅力を上手く落とし込んだ一曲に仕上がっている。英語詞と日本語詞のバランスも絶妙で、これが今のRIRIの温度感なのだろう。今後、6月7日には、この「RUSH」を収録したEPのリリースも控えているとのこと。実際、アメリカに渡って楽曲制作にあたったとの噂も聞くことから、いかにフレッシュでハイブリッドなR&B作品になっているのか、今から楽しみだ。RIRIの登場によって、いよいよ日本にも世界基準の若きディーヴァが誕生する予感。ぜひ、その瞬間を見逃さないでほしい。(文=渡辺 志保)