クラブ史上初の3冠に向かって突き進むユベントス。イタリアでは同じ以上を達成した09-10シーズンのインテルと比較する声も。写真:Alberto LINGRIA

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 セリエAでは残り5試合で2位ローマに8ポイント差をつけ、前人未到の6連覇はもはや“時間の問題”。コッパ・イタリアもラツィオとの決勝(6月3日)に勝てば3連覇。そしてチャンピオンズ・リーグ(CL)でも準々決勝でバルセロナを完璧に封じ込め(2試合合計3-0)、準決勝ではマドリード勢ではなくモナコを引き当てた――。
 
 シーズンの山場を迎えた今、ユベントスの周辺では、イタリアでは2009-2010シーズンにジョゼ・モウリーニョ率いるインテルが成し遂げて以来となる“トリプレッタ(三冠)”への期待が大きく盛り上がっている。
 
 もはやユーベ自身、この偉業に対する野心を隠そうとはしていない。マッシミリアーノ・アッレグリ監督は、バルサを敗退に追い込んだ翌日、自身のツイッター(@OfficialAllegri)でこうつぶやいた。
 
「ここからの1か月半は、これまでの8か月よりもずっと重要。ここまでと同じように取り組めば、皆さんにも我々自身にもさらなる感動をもたらすことができるだろう」
 
 最終ラインの要レオナルド・ボヌッチも、衛星TV局『スカイスポーツ』のインタビューでこうコメントしている。
 
「CLベスト4進出は、我々の自信と自尊心、そして強さに対する自覚をさらに高めてくれた。対戦相手の我々に対するリスペクトも高まるだろう。世界でトップ3に入る強豪バルセロナを相手に一度も深刻な困難に陥らなかったという事実も、ユベントスがタイトルを狙う資格があることを示していると思う。いま僕たちはカーディフ(CL決勝の舞台)に到達する重要なチャンスを手にしている。地に足をつけて前進を続けなければならない」
 
 クラブ生え抜きのバンディエーラであるクラウディオ・マルキジオもこう語る。
 
「ここまで来たら(トリプレッタが実現できるのを)信じるのが義務だ。自信と確信を持って前進しなければ手に入れることはできないのだから」
 
 今シーズンのユーベの状況を7年前のインテルと重ね合わせ、そこに多くの共通点を見出す報道も散見される。
 
 システムは4-2-3-1。最大の武器は堅固きわまりない守備。本来はCFながら献身的に守備に戻って貢献する左ウイング(サミュエル・エトーとマリオ・マンジュキッチ)、アルゼンチン代表の点取り屋(ディエゴ・ミリートとゴンサロ・イグアイン)、ブラジル代表の右SB(マイコンとダニエウ・アウベス)、キャリアの終わりを迎えようとしている偉大なキャプテン(ハビエル・サネッティとジャンルイジ・ブッフォン)。そしてリオネル・メッシのバルサからホームで3得点を奪っての勝利、などなどだ。
 さらにモウリーニョのインテルは、準決勝でバルサと戦う前、準々決勝でCSKAモスクワ(本田圭佑が所属していた)を引き当てるという幸運に恵まれた。それに対してユーベは、2年前のファイナルで屈したバルサを下して勝ち進んだ準決勝で、残る3チームの中ではもっとも格が低いモナコを引き当てた(ファーストレグは5月3日、セカンドレグは9日)。
 
 モナコはタイプ的にもユーベにとって戦いやすい部類に入るチームだ。ここまでのCL10試合の平均ボール支配率が45.6%と、勝ち残った4チームの中では唯一50%を割っている。しかし、相手に主導権を渡して自陣で受けに回る堅守速攻型のチームではなく、コンパクトな陣形を高い位置に保って組織的なプレッシングを続けて、相手のミスを誘って一気に逆襲速攻を仕掛けようとする攻撃的でアクティブなスタイルを持っている。
 
 高い位置でボールを奪い、そこから思いきり良く人数をかけて一気に敵陣になだれ込むショートカウンター、それをゴールに結びつける2トップ(ラダメル・ファルカオとキリアン・エムバペ)の傑出したクオリティーが大きな武器だ。マンチェスター・C(ベスト16)、ドルトムント(ベスト8)との4試合すべてで3得点ずつを奪った事実が、その攻撃力の高さを証明している。