米ニューヨークのロッカウェービーチに打ち上げられたザトウクジラの死骸を調べる調査員(2017年4月5日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】米国の大西洋(Atlantic Ocean)沿岸沖で2016年以降に死んだザトウクジラ(学名:Megaptera novaeangliae)の頭数が異常に増加している事態について、調査チームがその原因の究明を進めている。この海域では多くのクジラが船と衝突して死んでいるとみられるという。当局が27日、明らかにした。

 米国海洋大気局(NOAA)によると、米メーン(Maine)州から米ノースカロライナ(North Carolina)州までの沿岸沖の海域で死んだザトウクジラは、これまでに合計41頭に上っているという。

 同海域では例年、平均14頭のザトウクジラの死を確認するが、2016年は26頭とこの数字を大きく上回った。2017年はこれまですでに15頭が死んだ状態で海岸に打ち上げられている。

 NOAA海洋漁業局(National Marine Fisheries Service)北東部地域担当の海洋哺乳類座礁調査官のメンディ・ギャロン(Mendy Garron)氏は、「大量死の増加を踏まえて、大西洋沿岸のザトウクジラに対して『異常な大量死事象(Unusual Mortality Event、UME)』の発生が宣言された」と語った。海洋哺乳類の座礁が「突発的で、個体数の著しい減少を伴い、即時の対応を要する」場合は常にUMEが宣言されると記者団に説明した。

 そして今回、ザトウクジラ20頭に対して、死因を特定するための解剖が行われた。うち10頭には、鈍力による急性外傷を示す痕跡がみられた。外傷は船やボートとの衝突、大型スクリューによる切り傷で、これが死因となった可能性が高いことを示唆している。

 残りの10頭には、そのような明白な痕跡はみられなかった。調査チームは、クジラの死に関与した可能性のあるその他の要因を解明するため、現在も調べを続けている。

■原因は不明

 調査チームは、今回の異常な大量死の原因についてまだ解明には至っていないことを強調する。ギャロン氏も「これまでに検査を行ったクジラには、感染症の兆候はみられなかった」と指摘した。

 ザトウクジラの大半は、もはや絶滅危惧種とはみなされていない。個体数が回復に向かっているとの理由から、2016年には米国の絶滅危惧種リストから外された。北大西洋(North Atlantic)には現在、1万頭以上のザトウクジラが生息している。

 1982年に施行されたザトウクジラの捕鯨に対する国際的な商業捕鯨モラトリアムは、現在もまだ効力がある。

 NOAAによると、大西洋のザトウクジラの異常な個体数減少は過去にも2003年、2005年、2006年にそれぞれ報告されているという。これらの大量死の原因は特定されていない。
【翻訳編集】AFPBB News