ソフトバンク・川崎宗則【写真:福谷佑介】

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2軍戦では打率.441をマーク、内外野を守るユーティリティー性備える

 ついにムネリンが戻ってくる。米MLBのカブスから6年ぶりにソフトバンクに復帰した川崎宗則内野手。今日28日のオリックス戦(京セラD)から1軍に合流する予定となっている。

 2日に入団会見を行った川崎はその後、ファームでウエスタンリーグに出場し、時差ボケの解消などコンディションを整えてきた。また、アメリカの投手に比べ、球持ちのいい日本の投手との「間」の違い、そして久々のプレーとなる人工芝への適応にも取り組んできた。

 ウエスタンリーグでは打率.441とハイアベレージを残してきた川崎。満を持しての1軍合流で、いきなりスタメン起用されるのか、注目が集まるところである。その川崎の起用法について、前日27日、工藤公康監督は「バリエーションが広がる」とコメント。ファームでは二塁、三塁、遊撃、左翼と複数のポジションに就き、感覚を養ってきた。ユーティリティー性を備えた川崎を、指揮官はいかに起用するのか、ここではチーム状況から川崎の起用法を占ってみたい。

 やはり、最も可能性が高いのは、当初の予想通り、二塁手だろうか。今季、二塁手で1番多くスタメン出場しているのは本多雄一の15試合。だが、その本多は、ここまで打率.214と状態が上がっておらず、23日の楽天戦(ヤフオクD)から4試合連続で先発から外れている。

 その4試合のうち3試合で二塁に入ったのは明石健志。4戦連続安打中で打率.375をマークと打撃好調の明石は、27日の日本ハム戦(ヤフオクD)では右翼で出場している(左の加藤が先発ということで、二塁には右打者の川島慶三が入った)。好調の明石をスタメンから外すのは勿体無く、外野で起用出来るとなると、二塁に川崎、明石を外野という起用法も見えてくる。川崎も左翼でプレーしており、二塁・明石、左翼・川崎というパターンも可能だ。

状態の上がらない二塁・本多、WBC帰りの三塁・松田も打撃不振

 状態を考えると、次に現実味を帯びるのは三塁での起用。三塁には、WBCの侍ジャパンメンバーで不動のレギュラーだった松田宣浩がいるが、その松田が今季は極度の不振に苦しんでいる。昨季チームトップの27本塁打を放った男が、23試合を消化して、いまだ本塁打ゼロ。27日は4打席目に安打が出たものの、1打席目から3打席連続空振り三振に倒れている。打率.202で、打線のブレーキとなっている感は否めない。

 チームの中心でもある松田だけに、工藤監督もスタメンからは外しにくい部分はあるだろう。それでも、リフレッシュ、状態を取り戻すために、思い切った策に出てもいいのではないか。となれば、川崎を三塁で起用すればいい。

 左翼での起用は、先に記したように、他選手との兼ね合いによって考えられる。ソフトバンクの外野は柳田、中村晃は不動。外野の上林誠知、二塁の本多、内外野を出来る明石らをどう起用するかによるだろう。遊撃はレギュラーの今宮健太が打撃の状態を上げており、鉄壁の守備力は健在。現状で、今宮を外す選択をすることはないだろう。

 打順に関しては、いきなり1番での起用が面白そうだ。4月18日のロッテ戦(ZOZOマリン)から中村晃が入っているが、この中村の状態も良くない。1番に座ってからの9試合は、34打数6安打の打率.176だ。粘って四球を選べるのが持ち味で、この9試合でも出塁率は.326はマークしている。だが、4割超の出塁率を記録出来る中村晃にとっては物足りない数字だ。

 打線全体も、この9試合で2桁安打は2回だけ。独特のキャラクターを持つ川崎がいきなりヒットを打てば、チーム全体が盛り上がり、活気づくはず。打線に火をつける起爆剤として、川崎をリードオフマンに持ってくるメリットはあるだろう。

 川崎の復帰戦となる28日のオリックス戦は18時試合開始。工藤公康監督は、背番号52をどう起用するだろうか。

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani