AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のグループリーグ第5節が行なわれ、浦和レッズがウェスタン・シドニー・ワンダラーズ(オーストラリア)を6-1で下した。この勝利で浦和は勝ち点を12に伸ばし、グループFの首位を守るとともに、決勝トーナメント(ベスト16)進出を決めた。


ACLのグループリーグ突破を決めた浦和レッズ「浦和は明らかに我々を上回っていた。ファンタスティックだった」

 ウェスタン・シドニーのトニー・ポポヴィッチ監督が試合後に語った言葉のとおり、両者の間にかなり力の差があることは、試合開始早々にして明らかになった。

 浦和の先制点が生まれたのは14分。だが、キックオフからそこに至るまでの10分あまりの時間のなかでも、浦和は一方的に攻め続けた。

 ウェスタン・シドニー側の視点に立てば、優勢に試合を進めているときほど、なかなか得点できないと焦りが生まれ、嫌な雰囲気になってくるもの。ここを我慢していれば、いずれ自分たちにチャンスが巡ってくる。そんな見方は可能だったかもしれない。

 だが、浦和はウェスタン・シドニーの淡い期待を打ち砕くように、早い時間に先制。さらに4分後に追加点を奪ってもなお、決して攻撃の手を緩めることはなかった。

 パスとドリブルを織り交ぜて攻め続け、ボールを失ってもすぐに高い位置で奪い返す。敵陣で攻守を繰り返す、ほぼ完璧な試合展開のなかで、43分には3点目を奪い、前半にして勝負を決定づけた。浦和のペトロヴィッチ監督は満足そうに語る。

「立ち上がりからアグレッシブに試合に入れた。前からプレッシャーをかけ、相手にゲームを作らせず、前半で3-0にできた」

 浦和は後半に入っても、さらに3点を追加。ウェスタン・シドニーに1ゴールを与えはしたが、結果は6-1の大勝だった。ペトロヴィッチ監督が続ける。

「後半、(浦和の選手に)疲れが見えて、相手に危険なシーンを作られた。中盤を相手に使われ、チャンスを作られたが、それでも自分たちがボールを持ったときには相手の背後を突くことができた。いくつか修正点はあるが、6-1はすばらしい結果だった」

 J1でも第8節終了現在、2位のガンバ大阪に勝ち点4の差をつけ、堂々の首位に立つ浦和は、ACLでも難なくグループリーグを突破。このところ、JクラブにとってJ1とACLを並行して戦うことは、いわば鬼門であり、「二兎を追う者は一兎をも得ず」に終わるのが当たり前になっていた。それどころか、二兎を追った結果、J2に降格してしまう例まであったほどだが、浦和はここまで見事に二兎を追い続けている。

 もちろん、浦和が最終的に二兎を得られるかどうかはまだまだわからないが、その可能性を十分に感じさせる戦いを見せていることは間違いない。

 とりわけ浦和に際立つのは、攻撃の完成度の高さ。すなわち、得点力の高さである。

 現在まで、浦和のJ1での総得点は8試合でリーグトップの24点。また、ACLでも5試合で18点を挙げており、1試合平均3.23点を叩き出している。MF武藤雄樹が誇らしげに語る。

「(普通は)こんなに点を取り続けられるものではないが、今年はどの試合も2、3点以上取れている。ラファ(アルビレックス新潟から移籍加入のFWラファエル・シルバ)が新しく来て点を取っているので、競争意識が高まりながら、それでも前線の選手はチームプレーを忘れずにやれている」

 これだけ点が取れるのだから、強いのも当然のことだ。ウェスタン・シドニー戦でゲームキャプテンを務めたMF柏木陽介は、決勝トーナメント進出が決まったことについても、「それは当たり前。もっとよくなる」と素っ気ない。選手たちが、大きな手応えを感じながら戦えているのは確かだろう。

 ただし、欲を言えば、ウェスタン・シドニー戦の後半の戦い方には、少なからず不満が残った。攻勢に試合を進められるあまり、”攻めっぱなし”になることが多く、リスク管理がいい加減なものになることが少なくなかったからだ。

 本来、自分がマークすべき相手選手よりも自陣ゴールに近い位置まで戻り、ボールと相手選手を視野に入れておかなければいけない場面でも、「こんなもんでいいだろう」と”一応”守備に戻るだけになっていることが多かった。その結果、指揮官もコメントしているように、後半はウェスタン・シドニーに何度も決定的なチャンスを作られることになった。

 もちろん、結果的に大事に至らなかったのは、「浦和はクオリティーの高いプレーで我々を上回った」(ポポヴィッチ監督)からだが、例えば、もっと狡猾(こうかつ)に試合を進めてくる中東勢が相手であれば、(3-0になってもなお)これほど簡単な試合にはならなかっただろう。

 当然、選手もそれは自覚している。後半の劣勢になった時間帯、味方に身振り手振りで指示を与えていた柏木は、「後半、チームとして少し緩んでしまったところがある。攻撃はいい部分が出せたけど、守備ではもっとやっていかないといけない」と、厳しい言葉を投げかける。

 それでも浦和が今季、大きなチャンスを迎えているのは確かだろう。

 J1とACLを両立させるためには避けては通れない過密日程についても、ウェスタン・シドニー戦でキャプテンのMF阿部勇樹を外して臨んだように、うまく選手を入れ替えながら連戦をこなすことができている。

 また、柏木が「Jはガチガチに守られることもあるが、ACLでは前から来てくれるので、そこをいかに外しながらやるかを考えるのは楽しいし、”サッカーをやっている”感じがある」と話すように、異なるタイプのチームと対戦できるACLは、負担になるどころか、選手たちへのいい刺激になっている面もあるようだ。充実感を漂わせ、FW李忠成が語る。

「去年は勢いがあったが、今年は(勢いではなく)盤石な感じ。手応えは全然違う」

 2017年シーズンはまだまだ序盤戦にすぎず、本当の戦いはこれから。今季の浦和は一瞬たりとも見失うことなく、確実に二兎を追尾し続けている。

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