マイケル・ムーア監督

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 1999年に起きたコロンバイン高校銃乱射事件を描いたドキュメンタリー映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』が今年で全米公開から15周年を迎え、マイケル・ムーア監督が4月20日(現地時間)にトライベッカ映画祭開催のトークイベントで同作について語った。

 事件の被害者、犯人が心酔していた歌手マリリン・マンソン、全米ライフル協会(NRA)会長のチャールトン・へストンさん、テレビアニメ「サウスパーク」の製作者マット・ストーンなどへのインタビューや、現在までの銃社会の歴史を通して、アメリカ銃社会の矛盾を浮き彫りにしたドキュメンタリー。アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞などを受賞した。

 アメリカ郊外に住む人々が銃を所持することが多い現実について、ムーア監督は「(製作当時から)比較的、安全と言われている郊外や田舎に住む白人の銃の所有者が多かった。現在の数値はわからないが、当時銃の所有者のおよそ80〜90%は、郊外や田舎に住む白人だった。実際、都市の黒人が多いような学校では、銃の乱射で多数の生徒が亡くなるような事件は起きていない」と意外と知られていない事実を語った。さらに「撮影後に気づいたのは、女学生は銃乱射事件を起こしていないという事実を、映画に含んでいないこと」と明かした。

 今作がR指定だったことについて「Fワードを使っているシーンやビキニを着た女性が銃を持っているシーンでもなく、コロンバイン高校のカフェテリアのセキュリティーカメラを見せたことで、R指定となった。誰かが殺されている映像を撮っていないにもかかわらずだ。しかもそのR指定の理由は、ティーンエイジャーにはその映像は強烈で、他の誰かに悪影響を与えかねないということだった」と振り返った。

 カナダ人が一度不法侵入されたにもかかわらず、いまだに家に鍵をかけていないことについて「カナダ人からその話を聞いて、僕らはクレイジーだと思った。彼らは、われわれに(危険だと)言われたからって、変えるつもりはないということだろう。もちろん、彼らも僕らのように家を荒らされたくないと望んでいるし、当然カナダにも犯罪はある。でも映画内でカナダ人は、『泥棒に入られる危険性があっても、まるで囚人のように鍵をかけて住むような真似はしたくない』と語っている。例えばテレビを盗まれても、そのためだけにライフスタイルまで変えたくないということだ」と説明した。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)