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■どんなクルマ?

GT3、モデル・チェンジ前とどう変わった?

さて、2017年型ポルシェ911 GT3を楽しもう。

といっても、フロント? リア? どこから話をすればいいのだろう。外観はこれまでのGT3と大して変わらないのである。

まぁまずはフロントから。バンパーの形状が新しい。軽い素材とすることで、およそ1kg軽くなっているらしい。冷却効果も高まっている。

つぎにフロント・サス。実はわずかに固められている。高速域のスタビリティとステアリング・レスポンスを高める目的である。

一方、ホイールと、その内側のブレーキは従来と同じである。カーボン・ブレーキも用意されている(テスト車にも装着済み)。

ポルシェGTのボス、Andreas Preuningerは「サーキットをメインで走らせるならば、カーボンではないほうがいいですよ。交換が安価ですから」という。カーボン・ブレーキは£6,498(93万円)かかる。

インテリア、後方を見ていこう

インテリアは、最新のインフォテインメント・システムを組みあわせる以外はほとんど変わらない。ボディ重量増による負担を減らすための防音材の省略もこれまでと同じだ。

ステアリング上にボタンはなく、リム形状はラウンド型。わたしの場合は£168(2万4千円)もする赤いストライプが無くても平気である。たぶん。

テスト車に組み合わされるシートはフル・バケットで価格は£3,324(48万円)! 高いことに変わりないが、下取り価格にも上乗せされるため、選んでおいてもいいだろう。ホールド性も高い。

さて、ちょっと話が逸れてしまった。

視線をリアのサスペンションに移そう。こちらのセッティングも見直されており「かなりRSっぽい仕上がりですよと」Preuningerは言う。

ヘルパー・スプリングをかますことで、メイン・スプリングを軽くすることができる。ダンパーのセッティングも合わせて見直し、一般道とサーキットの両方で適した動きをするのだという。リア・ステア装置は健在。

リア・バンパーもフロントとおなじく軽量素材を使う。リア・スポイラーの形状そのものは同じだが、マウント位置が後方にずれ、10mm嵩上げされている。

さらにアンダーボディの形状を見直すことで、ダウンフォースを最大で20%高めることに成功したのだそうだ。

エンジン、実に爽快!

アンダーボディの上、リア・スポイラーの下に鎮座する4.0ℓ水平対向エンジンは、今や500psに達する。

だからといってGT3 RSや911 Rのエンジンをそのまま載せたわけではない。クランクシャフト、シーリング、オイルのチャネリングは専用品で、ピストンも新しいものになった。

レブ・リミットは9000rpmで、GT3 RSやRよりも高められた。出力のピークは8250rpmにて、46.9kg-mの最大トルクは6000rpmにて湧きだす。

これらのパワーを取り扱うために、7速デュアル・クラッチ(PDK)が用意される。また、最大で、最悪で、最高で、ショッキングなニュースではあるが、マニュアル・ギアボックスも選べるようになった。やった!

■どんな感じ?

しかしテスト車はPDK……

喜んだのもつかの間。テスト車はPDKを組みあわせていた。

MTとPDKのあいだには10kgの差があるだけでなく(MTの方が軽い)、前者が機械式のLSDを組みあわせる一方で、後者は電子制御となる。

LSDと変速スピードの違いが0-100km/hタイムにも影響を及ぼしており、むろんPDKの方が速い。

乗り心地はどうだろう。

乗り心地/操舵を検証

前期のGT3に乗ってからかなりの時間が経っているうえ、わたしは記憶力があまりよくないため厳密なことはいえないが、いずれにしても上下に激しく体を揺さぶられるようなことはない。

たしかに硬質ではあるが、気分は悪くならない。

ステアリングを切ってみると、ずっしりとした重みが伝わってくる。切れば、スパンっとノーズが向きを変える。エンジンもなめらかに回りゆく。やっぱり自然吸気だなぁと思う。

さすがに一般道ではピーク・パワーが立ちあがる回転域まで回さないと思うが、回せば当然気持ちがいい。回さずとも、トルクの強大さを味わえるのもよい。

縁石に飛び込んでみても、車体の動きが破綻しない。鋭利なウエポンを扱っているはずなのに、安心感がある。手元に伝わる情報はたっぷり。なのに露骨さがない。不思議な気分だ。

最近のフェラーリはクイックネス重視ゆえ、手元に伝わる情報がややリアルさに欠ける。マクラーレンは反対で、スタビリティ重視ゆえ峠で振り回す気分になれない。

ポルシェはいずれでもない。気持ちよくて楽しい。かといってフィジカルが消耗している感じがしない。かくも「いいとこ取り」なクルマが存在するのだと驚くばかりだ。

ちょっとアンダーか?

ちなみに各デバイスにモードを任せてコーナーに踏みこむと、ややアンダーである。前期のGT3を走らせたときに、GT3 RSよりノーズが落ち着いているところを褒めたはずだが、こればかりはちょっと残念。

気持ちの問題だろうか? タイヤの温度だろうか? それともコースのせいだろうか?

いずれにしても前期と後期ではあきらかに違う。ノーズをきちんと押さえつけて、パワーを後ろに明け渡しさえすれば問題はないのだけど。

6000rpmより上にもっていけば、得も言われぬ音が車内に響く。あとはタイヤを消耗するだけ消耗すればいい。もう、どうにでもなれと思う。

フロントにエンジンがあるクルマほど911は親切ではないが、シャープで運転「だけ」に集中できる環境を一度味わえば、どれくらいお金とつぎ込んでもいいと思えてくるのだった。

■「買い」か?

最高のドライバーズカーである

買い! 買うべき!

機会があればMTのテストをしたいが、いずれにしてもポルシェはPDKのほうをプッシュするだろう。皆さんも頭のなかではPDKの優秀さを理解しきれているはずだ。

そもそも、トランスミッションうんぬんの次元にこのクルマはない。

「今買うべき、最高のドライバーズカーは?」と誰かがわたしに尋ねれば、PDKの変速スピードよりも速く「GT3しかない」と答えるだろう。

ポルシェ911 GT3

■価格 £111,802(1,606万円) 
■全長×全幅×全高 4562×1852×1271mm 
■最高速度 317km/h 
■0-100km/h加速 3.4秒 
■燃費 11.4km/ℓ 
■CO2排出量 288g/km 
■乾燥重量 1430kg 
■エンジン 水平対向6気筒3996ccガソリン 
■最高出力 500ps/8250rpm 
■最大トルク 46.9kg-m/6000rpm 
■ギアボックス 7速デュアル・クラッチ