開幕から2戦はストリートコースが続いたインディカーシリーズ。アラバマでの第3戦は常設ロードコース、いわゆる普通のサーキットでの戦いとなった。

 ストリートではホンダが優勢だったが、高速で路面がスムーズなロードコースではシボレー勢のチーム・ペンスキーのドライバーたちが速かった。ペンスキー勢4人のうち3人が予選ファイナル(上位6人)に進出。ホンダ勢も3人がファイナルに駒を進めたが、結果はシボレー軍団=チーム・ペンスキーのドライバーがポールポジションからのトップ3を独占した(ポールはウィル・パワー)。決勝でもチーム・ペンスキーのジョセフ・ニューガーデンが優勝。2位にホンダ陣営のスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)が入ったものの、3位シモン・パジェノー、4位エリオ・カストロネベスと、チーム・ペンスキーが続いた。


アラバマのバーバー・モータースポーツ・パークに現れたフェルナンド・アロンソ 今年のシボレーは供給体制を縮小している。インディカー、ストックカー、スポーツカー(キャディラック・ブランドでの参戦)、GT……と大々的にモータースポーツ活動を繰り広げ、ほとんどのカテゴリーで活躍しているゼネラル・モーターズだが、インディカーでは有力ユーザーのひとつであるチップ・ガナッシ・レーシング・チームズがホンダに変更。KVSHレーシングの活動休止もあって、ユーザーが一気に8台にまで減った。

 逆にホンダは、ガナッシの4台を迎え入れ、一方で2カー体制のAJ・フォイト・レーシングがシボレーへと移った。

 オーバルコースならエド・カーペンター・レーシングのエド・カーペンターとJR・ヒルデブランドも速いが、カーペンターが走るのはオーバルだけ。ロードコースとストリートで彼のマシンを委ねられるスペンサー・ピゴットは、まだインディライツ(インディカーの下位に位置するカテゴリー)から上がってきたばかりで戦闘力が高くはない。ヒルデブランドはというと、ロードコースでの走りはイマイチ。しかもヒルデブランドは第2戦ロングビーチで他車と絡んで左手を骨折。今回は急遽代役としてインディライツ出身のザック・ビーチが起用されたが、チームとしての戦闘力はさらに低くなった。

 オーバルを除けば、シボレーが打倒ホンダを期待できるのはチーム・ペンスキーだけになったというわけだ。

 ペンスキーは、ホンダ勢がエアロキットの性能不足で苦しんだ2016年シーズン、16戦10勝を挙げ、シリーズ・ランキングでは1、2、3を独占。その上、ランキング4位だったジョセフ・ニューガーデンを新たに獲得した。現在のインディカーシリーズで最も優れているとも考えられる4人によるチームを作ったうえ、4台体制のオペレーションにも慣れた彼らは、10勝した2016年よりレベル・アップしていると見ることもできる。

 今週末に行なわれる第4戦のフェニックスはショート・オーバル。開幕前のテストではシボレーが明確に有利だった。その後はインディアナポリス・モーター・スピードウエイのバンク、ストレート、インフィールドを利用したグランプリ・オブ・インディアナポリス、超高速のインディアナポリス・モーター・スピードウェイで行なわれるインディ500、公園内の道を使ったデトロイト、全長は1.54マイルとインディより短いが、バンクが急でスピードの高いテキサス……と、続いていく。

 それぞれ異なる性格を持つコースだが、どのコースでホンダが速く、どのコースでシボレー=ペンスキー勢が強いのか。今シーズンの構図は、実力を取り戻したホンダvsシボレーの雄ペンスキーとなるのは明らかで、彼らのバトルはますます激しくなっていくことだろう。

 佐藤琢磨はアンドレッティ・オートスポートへ移籍してここまで3レースを戦い、トップ5フィニッシュが1回、第3戦では9位と、まずまずの安定感を見せている。ランキングは8番手だ。

 4カー体制で得られるデータの活用では、チームメイト3人以上にメリットを得られる。それがセッティング能力に長け、データの解析でも高い能力を発揮する琢磨の強みだ。今後チームに慣れるにつれて、パフォーマンスはさらに上がるだろう。

 何より楽しみなのはインディ500だ。去年のアンドレッティ・オートスポートはルーキーのアレクサンダー・ロッシを勝たせ、カルロス・ムニョスが2位フィニッシュ。2014年にライアン・ハンター-レイを勝たせてもいる。インディアナポリス・モーター・スピードウェイを得意とする琢磨も優勝候補に名を連ねることになるに違いない。

 そしてそこにはマクラーレン・ホンダのF1ドライバー、フェルナンド・アロンソも加わる。驚きの発表(モナコGPを欠場してインディ500に挑戦)を行なったアロンソは先週末、わざわざアラバマへやって来て、レースをピットで見守った。

「モナコ、インディ500、ル・マン24時間のすべてで勝ちたい。レースの世界のトリプル・クラウン(三冠)制覇を達成したい。4〜5年前からそう考えるようになった。そして今回、マクラーレンとホンダ、アンドレッティ・オートスポートの協力を得てチャレンジが実現することになった。シュミレーターなど、利用できるものは全部使いたい。

 僕はレースを愛していて、最速マシンを操って戦うのが大好きだ。F1ドライバーにとってインディカーはマスターするのが最も難しいマシンだろうけれど、全力を尽くす」

 そう言って静かに闘志を燃やすアロンソは、アラバマのレース中にもテレビ中継に登場してコメントしたり、パドックでサインを求めるファンに気さくに応じるなど、早くも千両役者ぶりを発揮していた。

 去年は100回目の開催として注目を集めたインディ500。今年はF1チャンピオンの挑戦で、世界中の人々がレースを楽しむことになるだろう。

■モータースポーツ 記事一覧>>