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ダイバーシティへ対応をすべく、「働き方改革」が多くの企業で取り組まれています。労働時間の削減、モバイルワークの推進といった業務環境の改善にばかり目が向きがちですが、これらは企業としての競争力の維持、従業員の「生産性向上」を果たしながら進めてこそ意味があります。このテーマに2011年より取り組み、高い水準で業績を維持しながら残業時間をほぼゼロにまで削減した企業に、株式会社北國銀行があります。

これまで段階的に働き方改革を推進してきた株式会社北國銀行。同社は2014年、業務PC、コミュニケーション基盤、基幹システムにいたる多くのICT基盤をマイクロソフト プラットフォームへ統一。「どこでも営業店」をコンセプトとした取り組みを実施しました。さらに2016年からは、全従業員へWindows10 Mobile搭載スマートフォンと、Windows10搭載業務PCを配付。従業員の時間あたりの生産性を大幅に向上させることで、企業としての売上実績は維持しながら、残業代を従前の数億円規模から数千万円にまで削減しています。

プロファイル

加能合同銀行、加州銀行、能和銀行の3行が合併し、昭和18年に誕生した株式会社北國銀行。事業方針に「地域の発展なくして北國銀行の発展はない」を掲げる同社は、約80年にわたり地域のリーディングバンクとして事業を展開してきました。同社ではこれからも、企業や自治体の課題解決を通じ、地域の生産性向上に貢献していきます。

○導入の背景とねらい
「すきま時間の有効活用」を支援することで、業務環境のさらなる発展が期待できた

石川県金沢市に本店を置き、北陸地方を中心に104の店舗を展開する、株式会社北國銀行 (以下、北國銀行)。昭和18年の設立後、約80年にわたり地域のリーディング バンクとして事業を展開してきた同社は、金融事業だけでなく地域のさまざまな活動のリーダーシップを取ってきたことを背景に、住民から高い信頼を得ています。

北國銀行がユニークな点は、地域の住民だけでなく、同社に勤務する従業員からも高い信頼を得ていることです。

従業員が抱く自社への信頼は、業務パフォーマンスと生産性の最大化をもたらします。しかし、公益財団法人 日本生産性本部の調査「労働生産性の国際比較2016年版」によれば、日本の労働生産性は米国と比較し61.3%という水準にあることが示されています。さまざまな要因がそこには介在しますが、その1つに「自身が勤務する職場への不信感、不安感」があることは否定できず、これはわが国が抱える大きな課題といえるでしょう。

このような状況の中、北國銀行がかねてより推し進めてきた取り組みが、「働き方改革」です。同社では2014年11月の本店移転を機に、ICT基盤を刷新。「どこでも営業店」をコンセプトに働き方改革と生産性向上に取り組むことで、残業時間をほぼゼロという水準にまで引き下げています。こうした取り組みもあって、低い離職率を誇るなど、従業員からの高い信頼を集めているのです。

株式会社北國銀行 総合企画部 企画課 課長代理 居村 徹氏は、「どこでも営業店」の取り組みを進めた理由について次のように説明します。

「ICT基盤や企業風土を刷新しなければ、生産性を米国水準にまで引き上げることはできないと考えていました。たとえば渉外部門には、『情報収集』『商談』『コンプライアンス チェック』『記録、報告』など、さまざまな業務があります。これらの業務の多くは、社内システムの利用や、別セクションとの連携が必要です。渉外部門は外出も多く、生産性を高めるには業務をいつ、どこからでも行える環境が不可欠でした。また、渉外部門と連携する他セクションが旧態依然な環境のままですと、渉外部門のビジネススピードを落とすボトルネックとなってしまいます。そこで2014年の本店移転を機に実施したのが、渉外部門だけでなく当社の全従業員 2,400名を対象とした、モバイルワークの環境整備『どこでも営業店』の取り組みです」(居村氏)。

この取り組みではまず、従業員の業務PCをSurface Proに統一し、スマートフォンも導入。Skype for Business Server(旧Lync Server)でユニファイドコミュニケーション(UC)基盤を構築することで、各部門が横断的にコミュニケーションできる環境を整備しました。さらに、Windows Server 2012 R2が備えるMicrosoft Virtual Desktop Infrastructure(VDI)を利用することで、いつ、どこからでも社内システムが利用できる環境を従業員へ提供。まさに、場所を問わない「どこでも営業店」を実現したのです。

この取り組みではほかにも、Microsoft Exchange Serverによるメール基盤の構築、Windows Server 2012 R2 Hyper-Vでの仮想化環境、System Center 2012 R2による運用基盤の構築など、多くのICTにマイクロソフト プラットフォームを採用しています。

株式会社北國銀行 システム部 システム企画課 課長代理 丸金 正和氏は、「どこでも営業店」の取り組みでは、垂直統合を意識してICT基盤の整備を進めたと説明します。

「アジリティの向上を図るべく、当社では2011年より、基幹システムを従来のメインフレーム環境からWindows Server環境へ移行することを計画していました。働き方改革におけるICTの基盤整備では、基幹システムと同一のプラットフォームにすることが、システム間の連携性向上につながると考えました。垂直統合を意識したしくみは、ユーザーに高い利便性をもたらすこととなります。また、サポート窓口が一本化されシステムの構成もシンプルになることで、社内サービスを安定して提供できるようになります。マイクロソフト プラットフォームへの統一は、ユーザーと運用の両側面から、生産性向上において有効だったのです」(丸金氏)。

垂直統合を意識したICTの整備は、2014年の取り組みにとどまりません。「どこでも営業店」を実現した取り組みから2年後となる2016年、北國銀行は業務環境のさらなる発展を目指し、次の施策に着手します。2014年の取り組みは、残業時間をほぼゼロにまで削減するなど、劇的な効果を生みだしました。しかし、そこにはまだ発展の余地が残されていたのです。

居村氏と丸金氏はこの点について、次のように説明します。

「働き方改革の取り組みは『環境を整備して終了』というわけにはいきません。何かしらのICTや就業規則を整備したならば、それがしっかりと機能しているのかどうかをPDCAサイクルをもって見定める必要があります。実は2014年よりも以前、渉外部門にだけタブレット端末を配付したことがあったのですが、思うほど効果が上がりませんでした。その経緯が2014年の『全従業員を挙げた取り組み』につながっており、段階的な取り組みによって当社の働き方改革は発展してきたのです。2014年に実施した『どこでも営業店』も同様で、運用を経る中で改善すべき事項がありました。それは、利便性の向上です」(居村氏)。

「VDI環境では、デバイス上に情報が残らないためセキュリティが担保できます。一方で、シャットダウンのたびにデバイスが初期化されるので、ユーザーは利用するたびにVDI 環境を立ち上げる必要があります。生産性の向上にはすきま時間の有効活用が重要なファクターとなるのですが、VDI環境の立ち上げ作業には手間を要するため、『すきま時間に業務をしよう』という意識を削ぐ要因になりえたのです。すべての業務をVDI環境下で行うのではなく、一部の業務はローカルでも行えるハイブリッドな環境を提供する必要がありました。また、すきま時間の有効活用というテーマにおいては、スマートフォンの利用もまだまだ発展の可能性があると考えました」(丸金氏)。

○システム概要と導入の経緯、効果
業務PCを、VDIとローカルのハイブリッド環境へ変更するうえで、Windows10のセキュリティ機能が有用だった

従業員は外出先や自宅など、社内だけでなく社外でも日々業務PCを利用します。ローカル環境での業務を許容するのであれば、デバイス側のセキュリティ水準を高めることも求められます。そこではサードパーティ製品の採用も検討する必要があり、コストや運用工数に及ぼす影響が懸念されました。

また、運用面でいえば、スマートフォンにiPhoneを採用していることも課題となりつつありました。国内におけるiPhoneのシェアは非常に高く、慣れ親しんだUIで業務できることは従業員にとっての大きなメリットといえるでしょう。しかし、運用側としては社内の業務PCやシステムでこれまでに統一してきたWindowsとの統合管理ができず、絶えず発生するOSのバージョン アップにも配慮せねばならなかったのです。

運用面の課題も解消しつつすきま時間の有効活用をいかに推し進めるか。このテーマにおいて同社が着目したのが、マイクロソフトの提供するSecure Productive Enterprise(SPE)です。

SPEは、Windows10Enterprise(Windows10)とWindows10 Mobile、Office365、そしてモバイルセキュリティスイートEnterprise Mobility+Security(EMS)を提供する、マイクロソフトの統合ライセンス サービスです。業務PCとスマートフォンのOSをマイクロソフトプラットフォームへ統一することで、まず運用がシンプルになります。また、EMSが備える Microsoft IntuneとSystem Center Configuration Manager(SCCM)を連携すれば、デバイスの統合管理も可能です。さらにSPEでは、OS、MDM、Office 365のアプリケーション、これらすべてをユーザー単位のアカウントのもとで管理できます。これは運用工数の削減に加え、コスト面でもメリットが見込めました。

北國銀行では、こうしたメリットに加えてユーザーの利便性向上にも期待し、SPEの導入を決定します。丸金氏はまず、Windows10が備える標準機能により、サードパーティ製品を入れずとも業務PCのセキュリティ向上が図れたと語ります。

「Windows10では、標準機能で備えるBitLockerによりデバイス内のデータが暗号化されます。また、生体認証のWindows Helloによってユーザーの認証レベルを向上でき、その資格情報もCredential Guardによって保護されます。さらに、Device Guardでは指定のアプリケーション以外の実行を制御することも可能です。Windows10を採用するだけで、従業員がセキュアに業務できるローカル環境が、追加の投資や運用工数をかけることなく実現できるのです。これは、業務PCをVDIとローカルのハイブリッドな環境に変更するうえで非常に有効だと考えました」(丸金氏)。

さらに、スマートフォンをWindows10 Mobileへ移行することで、「すきま時間の活用」の形自体が広がることにも期待したと、居村氏は続けます。

「従業員がスマートフォンを利用するシーンは『電話』『メール、IM』『スケジュール確認』の3種ほどで、用途自体がこれ以上増えることはないと考えています。同じマイクロソフト製品ゆえに、Microsoft ExchangeやSkype for Businessといったアプリケーションがこれまで以上に使いやすくなる点も期待しました。また、今後Continuumを利用すれば、Windows10 Mobileを経由して、どのPCでも即座に自身の業務環境を呼び出すことができます。Continuumには、これまでにない働き方を実現するのではないかという期待感もありました」(居村氏)。

○導入の効果
Windows10とWindows10 Mobileが、すきま時間の有効活用を促す

北國銀行では2016年、マイクロソフトが提供する統合ライセンスSPEの導入を決定。業務 PCにはWindows Hello対応のフロント カメラを搭載するSurface Pro4を、スマートフォンには株式会社マウスコンピューター(以下、マウスコンピューター)が提供するMADOSMA Q501Aを採用しています。

居村氏はWindows10 MobileにMADOSMA Q501Aを採用した理由として、サポート水準を挙げます。

「Windows10 Mobileは、Windowsプラットフォームとのシナジーに期待し導入しました。したがって、スマートフォンだけでなくWindowsのシステムも提供するベンダー製品を選定することが、シナジーの最大化につながると考えました。そのうえでマウスコンピューターに期待したのは、サポート体制とWindows10 Mobile市場にかける意気込みです。マウスコンピューターは国内で一番初めにWindows10 Mobileを提供しており、市場への高いコミットが期待できました。また、選定においては複数ベンダーから比較検討しましたが、マウスコンピューターの提案は単なるデバイスの提供ではなく、トラブル時に問題の切り分けから支援いただけるというものでした。当社にとってWindows10 Mobileの導入は初の試みとなります。不安も多かったため、こうしたサービスを含んだ提案には心強さを感じました」(居村氏)。

居村氏が評価したサポート水準について、株式会社マウスコンピューター事業戦略室杉本 勝氏は、次のように説明します。

「当社の強みは、デスクトップOSも含む『Windows システム』としてMADOSMAのサポートを提供することにあります。これは、数十年間マイクロソフトのOSを取り扱ってきた当社の技術、24時間365日のユーザーサポート体制の2つがあるからこそ提供できるものです。市場としては、Windows10 Mobileをまだ『検証フェーズ』と捉えている企業が多いのが現状です。それゆえにモバイルOSの前バージョンであるWindows Phone 8.1 Updateから実績のあるMADOSMAは、お客様から高く評価されているのだと考えています」(杉本氏)。

北國銀行では2016年6月、全従業員分に相当する2,400台のMADOSMAとSurface Pro 4を調達。MADOSMAは2016年9月に、Surface Pro4は2017年3月に配付を完了し、Windows10環境を稼動開始しています。

デバイスのOS移行には、当然ながらリスクが伴います。使い勝手の変化が、一時的とはいえ利便性の低下を引き起こす恐れがあるからです。生産性を高めるための取り組みが逆に生産性を落とすとあれば、それは本末転倒といえるでしょう。

そのような中、丸金氏は、Windows10 MobileとWindows10への業務移行がスムーズに進行したことを評価します。

「今回の移行において、IT部門への問い合わせは驚くほど少なくて済みました。このことからWindows10 Mobile、Windows10ともに、従業員は、配付後すぐにそれを使いこなしていることが推測されます。スマートフォンに関していえば、これまでIMのような『メール、電話以外のツール』の利用率はなかなか向上しなかったのですが、Windows10 Mobile 導入から半年が経過した今、この水準が向上しています。これは、Windows10 Mobileの優れたUIに起因しているといえるでしょう。社内コミュニケーションの活性化や円滑化は、生産性に大きく影響します。この点からも、Windows10の導入効果は大きかったと感じています」(丸金氏)。

また、統合ライセンスのSPEのもとWindows10とWindows10 Mobileを導入したことは、運用面にもメリットを生みだしています。デバイスのバージョン管理は、PC、スマートフォン問わずSCCM上で統合して制御できるようになりました。また、Intuneとの連携やユーザー単位のアカウント管理体系となったことで、バージョン管理以外の運用作業もシンプル化されています。Windows10、Windows10 Mobileの導入は、ユーザー部門だけでなくIT部門の生産性向上にも寄与しているといえるでしょう。

ところで、記述のとおり北國銀行では、2014年の「どこでも営業店」の取り組みで既に、残業時間をほぼゼロという水準にまで引き下げることに成功しています。そこでは残業代を含む経費についても、従前の数億円規模から数千万円にまで削減しています。ここで特筆すべきは、同社が企業としての売上実績を維持しながら、残業時間と経費の削減を実現したことにあります。従業員の時間あたりの生産性を最大化しながら業務環境の改善を進めてきたのです。

残業時間は既にゼロに近く、この数字を今以上に減らすことはできません。それゆえに、今後は、残業時間の「削減」ではなく、所定時間で生みだすアウトプットの「増加」に目を向けた取り組みを進めていくと、居村氏と丸金氏は語ります。

「所定の勤務時間でいかに多くのアウトプットを生みだすかが現在のテーマであり、2016年のプロジェクトはまさにそこを見据えたものになります。Windows10が備える標準機能を活用すれば高い水準のセキュリティが実装できるため、ストレスなく作業できるローカル環境を従業員へ提供できるでしょう。これは『すきま時間で少しでも作業しよう』という従業員の意識を喚起させるきっかけにもなると期待しています。また、Continuumを利用することで、生産性向上に向けた新たな取り組みも開始できると考えています。アウトプットの増加は、当社サービスの品質向上につながります。これを今後進めていくための基盤が整備できたことは、本プロジェクトの大きな成果だといえるでしょう」(居村氏)。

「『すきま時間の有効活用』を促すには、障壁となるものを可能な限り取り除くことが重要です。モバイルPCの配付だけすればよいと捉えられがちですが、たとえば出張時などは、PCを鞄から出す作業でさえ億劫になるものです。Continuumを利用すれば、手元のスマートフォンを接続するだけで、空港やホテルにあるPCで即座に業務を開始できます。もちろんPCを開いた方が早いという人もおり、そこでの嗜好はさまざまでしょう。従業員それぞれの嗜好、考えに合わせた『自身にとって最適な方法』で、すきま時間が活用できる環境を整備することが重要なのです」(丸金氏)。

○今後の展望
組織単位での生産性向上を目指し、ダイバーシティへの対応も進めていく

Windows10とWindows10 Mobileの導入により、すきま時間の有効活用を促す環境を整備した北國銀行。同社の従業員が生みだすアウトプットは、今後いっそう増加することでしょう。ひいてはそれが、北國銀行が提供するサービス品質の向上にもつながるのです。

丸金氏は今後、部門間、部門内のコミュニケーションを活性化することで、個人だけでなく組織としての生産性向上にも注力していくと意気込みます。

「お客様へのサービス提供は会社全体で行うもので、1人の従業員、単独部門のみで果たせるものではありません。部門間のコミュニケーションを発展させることで、生産性やサービス品質はまだまだ向上できると考えています。その点で、Office365が新たに提供を開始したMicrosoft Teamsには大きく注目しています。現在、まだ情報系システムはExchange ServerやSkype for business Serverなどオンプレミスで運用しています。まずは早期に、SPEのOffice365環境へ移行したいと考えています」 (丸金氏)。

組織単位の生産性向上は、昨今話題となるダイバーシティへの対応においても有効なアプローチとなります。居村氏は、これまでに整備してきたICTを活用し、今後、従業員の多様性に対応した就業環境も整備していくと語ります。

「結婚や育児、介護など、従業員のライフステージは常に変動します。すべての人材がフルタイムで就業できるわけではないため、今後は多用な人材が最大限に能力を発揮できる環境づくりも進めねばなりません。幸いにして、当社は地域の中でも離職率が非常に低く、毎年多くの学生から入社の希望もいただいています。ダイバーシティへの対応は従業員満足度の向上と離職率のさらなる低下につながることでしょう。今回の導入で、これらを実現するためのICTは整いました。今後は就業規則や企業風土などの整備を進めていきたいと思っています」(居村氏)。

ユーザーコメント
「所定の勤務時間でいかに多くのアウトプットを生みだすかが現在のテーマであり、2016年のプロジェクトはまさにそこを見据えたものになります。Windows10が備える標準機能を活用すれば高い水準のセキュリティが実装できるため、ストレスなく作業できるローカル環境を従業員へ提供できるでしょう。これは『すきま時間で少しでも作業しよう』という従業員の意識を喚起させるきっかけにもなると期待しています。また、Continuumを利用することで、生産性向上に向けた新たな取り組みも開始できると考えています。アウトプットの増加は、当社サービスの品質向上につながります。これを今後進めていくための基盤が整備できたことは、本プロジェクトの大きな成果だといえるでしょう」

株式会社北國銀行
総合企画部
企画課
課長代理
居村 徹氏

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