横浜FMの中島賢星が涙のプロ初ゴール…苦難の末につかんだ3年目の成果

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 止めどなく溢れてくる涙を我慢することはできなかった。結果が出なくて悩んだこともあった、ケガで苦しんだ時期もあった。それでもなお、応援してくれる“みんな”が支えてくれた。「ここにたどり着くまでに少し時間が掛かったけど、支えてくれたみんなに感謝したい」。涙で途切れた言葉を振り絞って出てきたのは、「これからも一緒に戦ってください」というメッセージだった。

 1ゴール1アシストの中島賢星が、間違いなくこの日のヒーローだ。先制され、追い付いて迎えた65分、吉尾海夏のFKがゴール前で混戦に。相手DFがクリアして、目の前にこぼれてきたボールだった。一歩、二歩と踏み込んで態勢を左に崩しながら右足で放ったシュートがゴールネットに突き刺さった。ようやく決まったプロ初ゴール。右手でガッツポーズを決め、全身で喜びを表現した。

 高卒ルーキーとして、東福岡高校から横浜F・マリノスに加入したのは3年前。決して順風満帆ではなかった。普段はトップ下でプレーするが、練習ではどんなポジションもこなした。「昨年も練習では右サイドバックをやったり、センターバックをやったり、ボランチをやったりした」。ただ、本職以外のポジションを経験したことで気づいたこともあった。「例えば自分が右SBをやっている時に、サイドハーフに対しては『こういう動きをしてほしい』とか、ボランチには『こう動いてほしい』というのを感じた」。

 周りの選手の要求に気づけたことで、自分のプレーにも変化があったのかもしれない。88分には齋藤がドリブルで持ち込んだボールを落ち着いてはたき、扇原貴宏の移籍後初ゴールもお膳立て。約1カ月ぶりのフル出場に最後は足を痛め、タッチラインの外で試合終了のホイッスルを聞いた。

「なかなか結果が出なくて、うまくいかない時期が続いた中で、結果はもちろん欲しかった。でもこういった形で点を決められて、これで何かが変わるわけではないんですけど、何かしらいい意味でこれからにつなげていけたらいいかな」。

 中島賢星、まだ20歳。負傷した足の治療のためか、一番最後に現れて一番最後に取材を終えると、照れ臭そうに取材陣に頭を下げて、ミックスゾーンをあとにした。