連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第4週「旅立ちのとき」第21回 4月26日(水)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:黒崎博 視聴率:19.7%(ビデオリサーチ社調べ 関東地区)前日比↑


21話はこんな話


みね子(有村架純)の就職が決まった。そこは、幸運なことに、時子(佐久間由衣)といっしょの会社(向島電機)だった。

“金の卵”というけれど


学校から帰宅すると、妙に明るくふるまうみね子に、母(木村佳乃)もお祖父ちゃん(古谷一行)も就職先が見つからないのだろうと察する。「あんたの顔見ればすぐわかるよ」とお母さん。谷田部家のジェスチャーゲームは続いている。
だが、田神先生(津田寛治)は夜遅くまで就職先を探し続けてくれていた。
「金の卵」と言われる集団就職組だが「蓋開けてみたら劣悪な職場だった」ってこともあり、「東京はどんどん豊かになっているというけど茨城や東北は変わらないですね」「なんだか送り出すだけでやんなっちゃいます」と地方の状況を説明する先生。
ドラマの時代から50年経ったいまでも、東京に人口が集中し、地方都市の再生が課題になっていると思うと、
他人事には思えない。

音楽が饒舌


21話は、音楽が大活躍。
ついに就職先を見つけた田神先生が、全速力でみね子の家に吉報を伝えに来るところで、
じゃんじゃかじゃんじゃかと勢いのいい音楽がかかる。
「夕方、欠員が出たそうで。どこの会社だと思う?」と、そのあとの先生の声はオフになり、またじゃんじゃかじゃんか音楽に乗って、みね子が自転車で時子の家に。
無声映画につく伴奏のような感じで楽しい。

こわかった


夜、時子は家の牛小屋で働いていた。えらいなー。

みね子が同じ会社で働けることになったと聞いて泣きだす時子。
「私、私、ほんとはこわかったから。ずっとずっとこわかったから。ひとりで東京行くのこわかったから。
自信なんかないし、強がっているけど、私こわかったから。うれしい。うれしいよ」
と「こわかった」を何度も繰り返す。よほどこわかったのだろう。
みね子も20話で「こわい」を使っている。漠然とした不安を「こわい」という一言の多用で描く岡田惠和。
たくさんの脚本を書き、会話劇の達人である岡田が、「こわい」ばかり使うのは、みね子や時子がまだ若く、
気持ちを表す言葉をそんなにもってないということをちゃんと描いているからだろう。どんな言葉を使うかで、人間が表せる見本だと思う。←脚本を書きたいひとは見習って。

時子の家族


時子とみね子が語り合っているのを、そっと見て「行かせるしかなくなっちまったよ」とお母さん(羽田美智子)は家に戻る。
残ったお父さん(遠山俊也)が遅れて牛小屋から出てくると、おにいちゃん(渋谷謙人)も目をうるませていた。
時子の家族も、時子の本音をうすうす感じて東京行きを反対していたのだろうか。いずれにしてもとっても心配していることは確かだ。

「恋の告白されたみたいだ」


時子の渾身の告白に、弱気な時子のことを「わかってる」というみね子。
「世界で一番わかってるのも考えてるのも心配するのも世界で一番時子のこと好きなのも私なんだからね」
とむくれるみね子。「はいすみません」とうなだれる時子。ふたりとも甘酸っぱくかわいい。
「恋の告白されたみたいだ」とまだ恋を知らない少女たちは、東京に出たら、恋を知るのだろうか。
「ひよっこ」放送と平行して、時子役の佐久間由衣が結婚情報誌のCMで「結婚しなくても幸せになれるこの時代にわたしは、あなたと結婚したいのです」というコピーを読んでいる。みね子も時子もいつかこんな日が来るのだろうか。

でも「お父さんはそこにいますか」というみね子のナレーションを聞いて、恋よりも、まずは、お父さん(沢村一樹)と再会してほしいと思った。

向島電機の永井愛子(和久井映見)さんは、自分で電話しておいて、お茶をこぼしてきゃーっとなったら電話のことを忘れてしまうどじっ子キャラのようだ。彼女の今後のどじにも期待したい。
「木俣冬)