自ら志願してミランの10番を背負った本田。しかし、伝説のナンバーに相応しい結果は残せなかった。(C)Getty Images

写真拡大 (全2枚)

 ミランの背番号10といえば、ジャンニ・リベーラ、ルート・フリット、デヤン・サビチェビッチ、マヌエル・ルイ・コスタ、クラレンス・セードルフなど真のフォーリクラッセ(規格外の選手)が纏ってきた伝説のナンバーだ。
 
 2014年1月からは自ら志願した本田圭佑が背負っているが、在籍3年強で90試合に出場して10得点・14アシストという成績は、お世辞にも期待に応えたとは言い難い。今シーズンはピッチに立つよりもベンチに座っている時間のほうが圧倒的に長く、サポーターは「10番不在のミラン」にフラストレーションを溜め込んでいる。
 
 その本田は契約満了による今夏退団が既定路線で、来シーズンの「ミランの10番」は現時点で不透明。一足早く予測したい。
 
 現有戦力で可能性がありそうなのが4人。過去に所属したクラブで10番を背負った経験があるジャコモ・ボナベントゥーラ(アタランタ時代)、ジェラール・デウロフェウ(エバートン1年目)、ジャンルカ・ラパドゥーラ(ペスカーラ時代)、そして現在は8番のスソだ。
 
 中でもヴィンチェンツォ・モンテッラ監督の絶大な信頼を得て、今シーズンに大ブレイクしたスソは、右ウイングがスタートポジションながらしばしばトップ下として振る舞い、崩しからフィニッシュの局面で大きな違いを作ってきた。10番を背負う資格は十二分にあるだろう。
 
 また、デウロフェウはエバートンからローン中で、今夏は古巣バルセロナに買い戻される可能性が高いものの、そうなればミランはそのバルサに再レンタルを打診する模様。残留が決まれば、スソとともに有力候補に躍り出るだろう。
 
 とはいえ、より可能性が高いのはやはり新戦力か。4月13日に中国資本による買収がようやく正式決定し、新政権での最初のメルカートとなる今夏の移籍市場は、“チャイナ・ミラン”の誕生を世間に知らしめる大きなチャンス。マルコ・ファッソーネ新CEOも「ビッグネームを1人か2人は加えたい」と語っており、その大物に10番を与えれば話題になるのは必至で、サポーターやマスコミへの絶好のアピールとなる。
 現地メディアで獲得候補に挙がる中でナンバー10を担いそうなタイプは、チェルシーのセスク・ファブレガス、R・マドリーのカリム・ベンゼマ、ハメス・ロドリゲス、マテオ・コバチッチ、パリSGのハビエル・パストーレとマルコ・ヴェッラッティあたりだろう。
 
 現所属クラブで10番なのはハメスとパストーレだけだが、セスク、ベンゼマ、ヴェッラッティは代表チームで、コバチッチはインテルでそれぞれナンバー10を背負った経験がある。
 
 ただ、いずれも今夏退団の噂が浮上しているものの、年俸や移籍金が高く、競合も少なくない。例えば人気と実力を兼備するハメスが獲れればもちろん理想的だが、パリSGやチェルシー、マンチェスター・Uと獲得を争うだけの資金力が今のミランにはない。
 
 上記の中でもっとも実現性が高そうなのはセスクか。すでに本人と口頭合意していると報じるメディアもある。バルセロナ出身のテクニシャンで、一撃必殺のキラーパスを持ち、ワールドカップ優勝経験者というプロフィールは新ナンバー10として申し分がない。
 
 新生ミランの背番号10はセスク・ファブレガス――。可能性がある中では、それが最も魅力的なシナリオと言っていいだろう。