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「とにかく、音が“すばらしく普通”」

5月19日に発売されるAstell&Kern(アステル&ケルン)のポータブル・ハイレゾプレイヤー『KANN(カン)』。その記者発表会では、新製品の紹介に加え、音楽評論家の小野島大さんと、昨年8月にニューアルバム『DANCE TO YOU』をリリースしたサニーデイ・サービスの曽我部恵一さんによるトークイベントが行われた。冒頭のコメントは、『KANN』のサウンドクオリティに対する、曽我部さんのストレートな感想だ。

実はこれ、Astell&Kernとディスクユニオンが不定期で開催しているトークイベント『Talkin’ Loud & Sayin’ Music』の、いわば特別編。イベントは毎回、音にこだわりのあるミュージシャンを迎え、「いい音とは何か?」を小野島さんが引き出していくものだ。当日も、小野島さんのこの質問からショーはスタート──。

「そもそも“いい音”って何ですか?」



「いい音って“像”が伝わってくるものだと思う」



「演者そのものが伝わってくる音じゃないかな。キレイに録れているってことじゃなくて、空間がそのまま聞こえたり、その人がそこにいるような“像”が伝わってきたりするのが、いいサウンドだと思いますね」

そんな曽我部さんの思いは、もちろん作品にも反映されているようで、

「だから、僕が音楽活動を始めた頃から気をつけているのが、バラバラに録らないこと。1940年代のブルースとか、’70年代のニール・ヤングのサウンドみたいに、ベースの音がドラムやギターのマイクにかぶってくるような、できるだけナチュラルなサウンドにすることが、始めた頃からのポリシーなんです。『DANCE TO YOU』は、ドラマーが休養中だったから真逆の作り方をしたけど、気持ち的には“演者がどこに立っているのか”という伝え方は変えていないつもりですね」


曽我部恵一(そかべ・けいいち)。1971年生まれ。大学在学中にサニーデイ・サービスを結成。2000年にはソロ活動もスタートし、映画音楽などにも活動も場を広げる。昨年、サニーデイ・サービス通算10作目となる『DANCE TO YOU』をリリース。

「24歳の頃、スタジオでこんな音で聴いてました」



据え置き型プレイヤーとしてもクオリティが高いという『KANN』。その試聴のために当日用意された機材は、プリアンプにマークレビンソンの『No.52』、メインアンプに同じくマークレビンソンの『No.436L』、そしてスピーカーがJBL『Project K2 S9900』という、トータル1500万円オーバー(!)の組み合わせ。

このシステムで、イベントの途中には『DANCE TO YOU』から「セツナ」を、そして‘96年発表のアルバム『東京』からは、名曲「恋におちたら」をプレイ。

「『東京』を作っていた頃は、録音技術とかも分からなかったから、サビの部分だけモノラルにしたりとか、いろいろ工夫してましたね。今は、僕らも『Pro Tools』を使うことがメインになってますが、それを使ったことで“想定内”の音にならないよう、カセットテープを経由させたり、スピーカーで出した音をもう一度マイクで拾ったりと、何か“アナログ的な事故”が起こるようにしてます。音楽を作っている喜びの中に『アクシデントがよかったね』っていう音ってあるじゃないですか」

さて、試聴を終えて、曽我部さんは『KANN』にどんな印象を持ったのだろう。

「ひさしぶりに『恋におちたら』を聴いたんですけど、

『あっ。24歳くらいの頃、スタジオでこんな音で聴いてたな』

って思いましたね。『KANN』は自宅でも聴いてみたけど、ヘンな色づけがなくて普通に聴ける究極にいい音。それって、僕たちにとってはすごく貴重なんですよ」



文/タケイシユーゾー(編集部)

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