中国からの北朝鮮便は高麗航空のほうがメジャー。平壌空港で駐機中の高麗航空のアントノフ148-100B

写真拡大

 4月17日、中国北京と北朝鮮平壌を結ぶ中国国際航空の定期便が停止されたと報じられた。中国国営テレビ(CCTV)が全便が無期限で廃止されると報じたため、中国が北朝鮮への制裁へ本腰を入れ始めたのではとさまざまな憶測が飛び交った。

……と思ったら、今度は5月5日から再開、さらに増便するというニュースが飛び込んできた。そうすると1度停止した意味は何だったのだろうか……。

◆もともと「事実上の増便」状態だった

 そもそも、北京-平壌の中国国際航空の停止は、3月23日に発表済みだったことだ。にもかかわらずマスメディアは突然決定したかのように報じたのだ。大連の旅行会社によるとこの路線は、長らく赤字だったようだ。そのうえ、同じ月曜日には北朝鮮の高麗航空も飛んでいるどころか、月、火、木、金、土曜日の週5便の高麗航空が飛んでいるので中国国際航空が停止したところで特に大きな問題はないのである。

 しかも、2017年3月26日から10月28日までの高麗航空の最新時刻表によると、瀋陽-平壌は、これまでの水、土に加え、月曜日が増便されている。
 その上先月25日に3日後の3月28日から丹東と平壌を結ぶチャーター便が就航すると発表され、運行期間未確定で現時点も飛んでいるのだ。

 このチャーター便は火、金曜日の週2便で、丹東から平壌までの約200kmを30分ほどで結ぶ国際線となる。丹東の旅行会社によると搭乗率は、おおむね60パーセントくらいで運行されているという。

 これはもはや、事実上の増便である。

◆チャーター便にまつわる憶測が飛ぶ

 チャーター便は、臨時で飛ばしたいというオーナーが存在するものだ。今回の依頼主は、吉林省延吉の「天宇集団」という多くのグループ会社も有する延吉を代表する企業だ。天宇は傘下に旅行会社も持っているが、チケット販売は一般の旅行会社へ委託しているので外国人でも乗ることができる。

 当初、丹東の旅行会社では利用者が少ないのでこのチャーター便は長くは続かないと言っていたが、すでに1か月間継続していることになる。

 この意外とも思える増便の背景には中国政府の動きがあるのではとの見方が囁かれ始めている。

 「北京からの中国国際航空は、大赤字だったのと北京空港のキャパ不足もあり停止させたかったが、中朝関係を考えると簡単には停止できなかったのでしょう。ただ、昨今、北朝鮮に対する国際的な圧力が高まってきたので、中国は外向けのアピールとして国連制裁を履行して北朝鮮に対して強く出ていることを示すために制裁を理由に停止させた可能性が高い。一方、中国の本音としては本気で北朝鮮の首を絞める気はないので、政府ではなく、あくまで民間企業がチャーターしたという形であれば、国際的な批判をかわせると踏んだのかもしれません」(丹東の旅行会社関係者)

 また、丹東-平壌のチャーター便就航の背後には中国政府からの何かしらの支援があるのではという噂もある。

 真偽の程は定かではないが、中国としては、正面では強い中国を国内へアピールしつつ、右を向けば、国際社会に国連と足並みをそろえているとアピールし、左を向けば、北朝鮮に援助国だとアピールして3方に対して顔を立てることができる。実に中国らしい外交戦術が見え隠れするようではある。

<取材・文/中野 鷹>