写真提供:マイナビニュース

写真拡大

静岡大学工学部の金原和秀教授は、動物実験を代替することを目指して、化合物の毒性や生理活性作用などの薬効をスクリーニングする新しいシステムを開発したと発表した。

同システムは、河川や消化管・血流など流れのある環境を模擬したフロー型多検体検出システム。従来の、薬効の一次スクリーニングとして行われてきた試験管試験やプレート試験は、主として静置条件で行うもので、流れのある実際の環境を模擬している方法ではなかった。また、スクリーニングで行われる動物実験は、倫理面の観点から代替試験が求められるようになっているため、同システムは動物実験を代替することを目指したものとなっている。

同システムでは、蛍光発光を測ることにより、メッセンジャーRNA(タンパク質を合成する鋳型となる遺伝情報)の細胞内での量的変動を捉え、化合物が微生物細胞に与える毒性と薬効の影響を評価する。通常、蛍光物質で染色すると細胞が蛍光物質の毒性でダメージを受け、連続した測定ができないという欠点があるのだが、同システムでは、細胞毒性がない薬剤でメッセンジャーRNAを染色し、細胞内の生理活性の変動を遺伝子の発現で直接計測するという手法をとっている。また、メッセンジャーRNAを細胞から抽出して、その合成量を計測することは行われてきたが、同システムでは、抗生物質の作用の違いで生じたメッセンジャーRNAの増減の計測に成功するなど、多数の検体を生きたまま連続的に計測できる点が特徴となっている。

メッセンジャーRNAの合成は、生命の基本現象のひとつであり、毒性物質や生理活性物質が与える合成量の変動をパターン分けすることができれば、化合物の毒性ならびに薬効を予測することが可能となる。また、このシステムでは、微生物細胞だけではなく、動物細胞を用いることも可能であり、動物実験の代替法として普及可能だということだ。なお、同成果は2015年8月に特許出願され、バイオ機器メーカーにより製品化しており、今後は化学物質の分析・試験・評価を行う試験機関と共同研究を開始する予定だということだ。

(シマダマヨ)