サンフレッチェ広島の森保一監督【写真:Getty Images】

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就任してすぐにJリーグ2連覇。今季は低迷も名将と称すには十分な実績

 クラブOBが監督を務めるのは珍しいことではない。だが長きにわたって同一クラブを応援するサポーターは、そうした監督たちの姿を見て、選手時代の記憶を脳裏に浮かべながら感慨深さを覚えるものであろう。今回は、2017年のJ1で指揮を執る監督たちのなかから、選手時代にプレーしたチームを率いている指揮官8人を紹介する。

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森保一(もりやす・はじめ/サンフレッチェ広島)

 1968年8月23日生まれ。現役時代は知性的なボランチとして名を馳せ、指導者としてもその頭脳でチームを構築している。2012年、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が浦和レッズに移ると、森保監督が後任に指名された。

 前任者が作り上げた攻撃型3-4-2-1に守備のイロハを植え付け、就任1年目にしてリーグ王者に君臨。翌2013年には連覇へと導き、2015年にもチャンピオンシップを制している。

 6年で3度のリーグタイトルをクラブにもたらしており、名将と表現して差し支えないだろう。今シーズンはスタートダッシュに失敗して下位に低迷しているが、森保監督は浮上のきっかけを必ず掴むはずだ。

現役時代はテクニシャンとして観衆を魅了。戦う集団を作り上げる韓国人指揮官

尹晶煥(ゆん・じょんふぁん/セレッソ大阪)

 1973年2月16日生まれ。現役時代は創造性溢れるプレーで観る者を魅了した元韓国代表MFは、指導者としては全く別の色を出している。

 サガン鳥栖では選手達にハードワークを求め、凄まじい練習量を課した。選手達もそれに食らいつき、結果としてJリーグで最も“戦える”クラブの一つとなった。2012年と2014年には地方クラブをリーグ5位と躍進させ、翌年には一時首位に立つなど手腕を発揮した。

 韓国のクラブを経て、今季から古巣のC大阪の監督に就任。始動直後から3部練習を実施するなど、選手達を鍛え上げている。順調に白星を重ねており、最低限の目標であるJ1残留も、早々にクリアできそうだ。

2016年開幕直後に監督昇格。一気に上位に導いた元日本代表MF

下平隆宏(しもたいら・たかひろ/柏レイソル)

 1971年12月18日生まれ。柏でコーチを務めていた昨季のリーグ戦第3節終了後、ミルトン・メンデス氏が辞任。チームの危機的状況を救ったのが、下平監督だった。戦い方を整備し安定感を取り戻すと、前線の強力攻撃陣も躍動。一定の成果を得てシーズンを終えた。

 さらなる飛躍が期待された今季だったが、思うように事は運んでいない印象だ。特に、ハモン・ロペスを加えてさらに威力を増したFW陣はまだ真価を発揮できていない。個々の能力はズバ抜けて高いが、組織の中では輝けていない。彼らの得点力をいかに引き出すか。下平監督の手腕に注目だ。

鹿島をクラブW杯2位に導いた指揮官。常勝軍団の本質を熟知

石井正忠(いしい・まさただ/鹿島アントラーズ)

 1967年2月1日生まれ。鹿島で長くコーチを務め、歴代監督を支えた。2015年夏にトニーニョ・セレーゾ監督の後を継ぐ形で指揮を執ることに。昨夏には主力FWとのトラブルがあり、一時休養を余儀なくされたが、その後現場復帰すると昨シーズンはJ1制覇を成し遂げた。

 さらにクラブW杯では世界と互角に渡り合い、決勝ではヨーロッパ王者のレアル・マドリーを追い詰めた。アジア勢初となる準優勝を果たし、鹿島の名を世界中に轟かせた。現役、コーチ、監督と常に鹿島に関わっており、常勝軍団の本質を誰よりもわかっているのは、石井監督ではないだろうか。

偉大な前任者の後任に。魅力あふれる川崎Fのサッカー継続へ

鬼木達(おにき・とおる/川崎フロンターレ)

 1974年4月20日生まれ。魅力溢れるサッカーを川崎Fにもたらし、J1に旋風を巻き起こした風間八宏前監督のもとでコーチを務めた鬼木達監督。偉大な前任者の後を引き継ぐという決して簡単ではない仕事を引き受けた。しかも、今季はアジアチャンピオンズリーグ(ACL)も並行して戦わなければならない状況で、開幕前の準備期間も限られていた。

 圧倒的な破壊力を見せつける試合もあれば、決め手を欠くゲームをある。だが、就任1年ということを考えればそれも致し方ないだろう。いずれ、鬼木監督の色も出てくるはずだ。

現役時代は大宮の前身チームでプレー。昨季の躍進は記憶に新しい

渋谷洋樹(しぶや・ひろき/大宮アルディージャ)

 1966年11月30日生まれ。現役時代は大宮の前身であるNTT関東でプレーした。J1復帰初年度の昨季はチームを5位に躍進させた。

 ところが家長昭博、泉澤仁が移籍した今季は開幕から苦しい戦いを強いられている。7試合勝ち星に恵まれず、最下位に低迷している。指揮官は辞任を示唆するような言葉を会見で述べたが、渋谷監督の功績を考えれば自身が指揮を執る中で浮上のきっかけを掴みたいところである。

 エース級の2人が抜けたとはいえ、その他の陣容は昨季とほぼ変わらない。チームの戦い方も成熟している。1勝できれば、しぶとく強い大宮が甦るのではないだろうか。

目指すは堅守速攻の強化。今季は3バックを導入

渡邉晋(わたなべ・すすむ/ベガルタ仙台)

 1973年10月10日生まれ。仙台の指揮を執るようになって今季で4年目になる。チームの武器であった堅守速攻をさらに強化するだけでなく、自らボールを握り試合を支配する戦い方も模索する。また今季から本格的に3-4-2-1の布陣に着手し、サイドアタックや中央での崩しなどバリエーションを増やしている。

 若手の抜擢にも積極的で、大卒ルーキーの永戸勝也は左ウイングバックで躍動。佐々木匠などもチームに組み込み、成長を促している。手元にいる選手達の力を信じ、最大限引き出すことで上位進出を狙う。

言わずと知れた元日本代表10番。現実的な目線でチームを構築

名波浩(ななみ・ひろし/ジュビロ磐田)

 1972年11月28日生まれ。黄金期を築いた磐田の中心選手で、左足のキックや類い稀なビジョンでチームを操った。2014年9月に当時J2だったサックスブルーの監督に就任すると、2015年にJ1昇格、翌年は残留争いを生き残るなど結果を残した。

 劇的なジャンプアップではなく、一歩一歩チームを構築している印象だ。現役時代の輝かしいキャリアはもちろん、兄貴分的な気質で選手達からも慕われる。圧倒的なカリスマは中村俊輔をも惹きつけ、今季から名波監督のもとでプレーしている。

text by 編集部