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新サスペンションの威力に触れる

ボルボXC60は、堂々としている。けれど、横Gが加わるような山坂道を攻めても、身のこなしは軽やか。ひと言でいうならば、そんなクルマだ。

わたしは助手席の住人に徹し、運転はシュテファン・カールソンにゆだねた。シャシー開発部門の指揮をとる男で、ヨーテボリからクルマで50分ほどのところにある拠点でふだんは仕事をしている。

ジャーナリストのなかでも重要視されている者のみが招待される(手前味噌ですが)この助手席試乗会でまず最初に感じたのは、XC60の動的性能が大きく飛躍したということだった。

「フロントのグリップが遥かに増したと思いませんか?」とカールソン。

「フロントのダブル・ウィッシュボーン・サスペンションを新しいものにしたのが理由です。ロール・センターが前後で共通になったんです」とも。

さらにこのサスペンション、もうひとつ効果があるようだ。

新ダブル・ウィッシュボーン、もうひとつの効果

「ロールしているときに、車体のピッチングを防げるというメリットもあります。ダンパーのチューニングも楽になりました。ダンパー自体でボディをコントロールする必要がなくなりましたからね」

助手席に乗っていても、これまでのXC60より車体が粘るようになったことがわかる。タイトなコーナーでも、ステアリングの切れ角が小さく済んでいるようにも感じる。コーナーの侵入速度も、これまでより遥かに高まっている。

高速走行時のリアの「すわり」も、以前より良くなっている。ステアリングをグッと切ってみると、リアがスッとついてくるのもよい。

仮にジオメトリーがバランスを欠き、リアが思ったとおりの動きをしなければ、ステアリングを切った時に、体感としてグラついた感じになるのだけれど、まるでそんなことはない。

「僕の狙ったとおりにラインをトレースできるんですよ」とカールソンは誇らしげだ。

「こうやって、ほら、窪みに突っ込んでみても、ハンドルはほとんど取られませんね」と、内臓がキュッとなるようなスピードのなか、カールソンは余裕の笑みなのである。

「遊ぼう」という気もちにさせてくれる

縦方向の車体の動きも、一瞬にして吸収されている印象。英国の穴ぼこだらけの道でも、乗り心地に不満を感じることはないだろうと思う。これからさらにサスペンションを煮詰めるというのだから、もっと楽しみだ。

R&D(=リサーチ&開発)部門のボス、ヘンリク・グリーンにも試乗のあとでインタビューすることができた。

「おそらくこれまでのどのボルボよりも、エンターテインメント性に満ちているのではないでしょうか」と語ってくれた。

もちろんスポーツカーのような振り回し方はムリだし、そんなことをする必要もないが、わたしが共にした新型XC60は、「ちょっと遊ぶのも悪くないな」と思えるほどの仕上がりに、既になっていた。