船橋洋一・日本再建イニシアティブ理事長が「トランプ時代の世界秩序」と題して講演。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)創設に際し、「米国は日本と一緒になって、中国の方針に対し(反対の)攻勢をかけたのは愚策だった」と述べた。

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2017年4月26日、船橋洋一・日本再建イニシアティブ理事長(元朝日新聞主筆)が「トランプ時代の世界秩序」と題して、日本記者クラブで講演した。トランプ大統領の登場で米国主導の「自由で開かれた国際協調主義」が米国の内外で岐路に直面していると指摘。「この大きな挑戦に対し、戦略の再構築が必要だ」と呼び掛けた。

また中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)創設に際し、「米国は日本と一緒になって、中国の方針に対し(反対の)攻勢を他の国にかけたのは愚策だった」と述べた。加盟国は現在70カ国以上に達してアジア開発銀行(ADB)を上回り、G7(主要7カ国)で日米だけが参加していない。発言要旨は次の通り。

トランプ大統領の登場で米国主導の「自由で開かれた国際協調主義」が米国の内外で岐路に直面している。米国では賃金格差、教育格差が拡大。トランプ政権は反国連、反国際主義に加えて、反自由貿易意識が根強い。経済も政治も大きな変動期にさしかかっており、現状分析と戦略構築が必要だ。

トランプ政権では政府の政治任用高級官僚534人のうち24人しか決まっていない。内政では法律をきちんと策定できず、外交政策も過去の蓄積や経験を生かすことができない。対中国政策や対朝鮮半島政策でも布陣が整っておらず、非常に危うい状態が続いている。

米国や中国など大国は、経済外交に際し多国間より2国間で交渉しようとする。特にトランプ政権はその傾向が強い。日本としてはできるだけ多国間の枠組みを堅持すべきで、環太平洋連携協定(TPP)は米国抜きでも維持する必要がある。中国をTPPに入れるべきだという議論もある。日中韓印東南アジア諸国による東アジア包括的経済連携(RCEP)も、スタンダード(基準)を高めて推進するべきだ。

中国主導のAIIB創設に際し、米国は日本と一緒になって、中国の方針に対し(反対の)攻勢を他の国にかけたのは愚策だった。中国の中の「覇権派」を勢いづけてしまった。(八牧浩行)