25万3200冊の読書から生まれた「本物の知識」が身につく読書術

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■社会人に必要な「知性」「教養」「創造力」は読書で身につく



社会人として生きている以上、「誰かから評価される」ということは避けられない。
それは、新入社員だろうとトップに立つ経営者であろうと、同じだ。

誰だって「社会人としてのレベルが低い」と思われたくはない。プライドの部分はもちろん、社会人としての自分の評価が下がれば、人から軽んじられ、仕事や人間関係において、不本意な状況に陥ることになるからだ。

会社や他人の評価を気にすることはない、という意見もあるだろう。だが、誰だって一目置かれる存在になりたいものである。そのためには、社会人として自分を磨くことが大切だ。

だが、何をどう磨けば一目置かれるような「評価される社会人」になれるのか。
その答えを教えてくれる一冊が、『知的社会人1年目の本の読み方』(山口謠司著、フォレスト出版刊)だ。

山口氏は「評価される社会人」とは、「知的社会人」だと述べている。
では、「知的社会人」とは何か?

「知性」と「教養」と「創造力」を兼ね備えた社会人のことだ。
著者は、この3つの要素を持つ人を、貴重な存在であるとし、「知性」「教養」「創造力」を同時に身につけさせてくれるのは本――つまり、「読書」だと説く。
たしかに、読書をすれば、知識は身につき、教養は高まり、新たなものを創り出すアイデアの源泉も獲得できるようになるだろう。

文献学者としてこれまで数々の著作を上梓している山口氏は、職業柄、数多くの書物と向き合ってきた。その読書量は、30年で25万3200冊
さまざまなジャンルの本を読み、時間をかけて練り上げられた読書術は、洗練されたシンプルさが光る。それだけに「社会人一年目」の読書術としてもうってつけである。

■読書は、情報やハウツーを知るためだけの行為ではない



著者によれば、本とは、突き詰めれば言葉の羅列でしかないという。
その言葉の羅列を、ただ情報として吸収するか。それとも、そこから自分の頭で考える力をつけ、「本物の知識」に昇華させられるかは、ひとえに読書というものをどうとらえるかによって変わってくる。

本書において、著者は「読書」を次のようなものであると考えている。

・さまざまな想像をしながら文章を読むので、創造力につながる知識が得られる。
・問題定期の仕方を学び、その問題を解決するための視点と方法を教えてくれる。
・他人の人生を「疑似体験」し、普通では会えない人から話を聞き、多くのことが学べる。


このような視座で読書と向き合う著者は、速読を勧めない。
速さや量よりも、質を重視する「精読派」だ。

23万冊以上を読みこなしてきた著者だが、それは、読書を繰り返した結果、読むスピードが上がっただけだという。また、著者が出会った人の中で「知性があるな」と感じる人は、速読を推奨も実践もしていないという。
速読は情報を収集するだけなら良いが、「わかったつもり」になってしまうことが多く、本物の「知性」「教養」「創造力」を身につけるためには役に立たないのだ。

読書を、端的な情報や流行りのハウツーを知るためだけのものにするのは勿体無い。
そこから、「なぜ、このような情報が表れる状況が生まれたのだろう?」「このハウツーは、他の物事でも共通しないだろうか?」といったことにまで考えが及べば、ひとつの情報からより多くの情報が読み取れ、ひとつのハウツーから本質的な考え方が見つかる。

単なる言葉の羅列を、「本物の知識」に昇華するには、知識を蓄え、問題解決につながる読書をしていくことが肝要なのだ。

■理解を深め、知的になれる読書術



本書では、著者の読書論と実践的なメソッドが、およそ5:5で構成されている。
その中で、特に「社会人一年目」の人のためになるメソッドをいくつか紹介しておこう。

著者は、読書習慣が身についていない人なら、「2ページに一個、線を引く」ことを勧めている。これは、重要な箇所を見つけるために集中できる方法であり、読書に飽きないための秘策でもある。

著者自身も、これまで数多くの書籍を執筆しているが、書き手は2、3ページにひとつくらいの割合でキーワードやそれに準じる言葉を使うことが多いという。
線を引くのは、自分が「これは大事な言葉かな」と感じた箇所でいい。そうやって言葉や論旨に注目していくことで、内容の理解がグッと深まるのだ。

また、多くの読書術でも語られることが多い「読書メモ」についても触れられている。
著者が勧めるのは、「章の最後のページに40文字で書き込む」というものだ。

40文字という長さにピンとこない人もいるとは思うが、これは文章としては非常に短い。

どのくらいかと言えば、上の一行がちょうど40文字である。

このように短くまとめた文章にすることで、その章の内容が、頭の中で強化されるのだという。「まとめる」という作業は内容の理解なしにはできない。理解を深めるためには効果的な方法だと言えるだろう。

本書では、一貫して「読書とは、その著者と出会い、話し、考えを学ぶもの」という考えが述べられている。
もし、著者から読書についての話を聞き、学びたいと思ったら、手にとって本を開き、著者と出会ってみてはいかがだろうか。

(ライター:大村 佑介)

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