大学日本代表でもプレーした東大のエース左腕・宮台康平【写真:Getty Images】

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サニブラウンに勝った男、東大生ドラ1候補…野球界で脚光浴びる「2つの才能」持つ大器

 アマ野球界も3月の選抜高校野球を皮切りにシーズン開幕を迎えているが、東京六大学では東大のエース左腕・宮台康平投手(4年)に大きな注目が集まっている。最高学府の赤門軍団にありながら最速150キロを誇り、プロのスカウト陣も今秋ドラフトの上位指名を確実視。勉学と野球の抜きん出た能力が“二刀流”と話題となっている要因だが、近年の高校、大学球界では「2つの才能」を持った選手が少なくない。

 まずは、この宮台である。名門進学校・湘南高で3年春、全国屈指の激戦区・神奈川で県大会8強入り。投手として実力を見せつけたが、3年夏に部活を引退すると勉強に専念した。1日10時間以上の猛勉強に励み、東大の文系最難関、文科一類に合格。半年の本格的な受験勉強で現役合格、それも東大野球部でも1学年に1〜2人程度しかいない文科一類にパスするのだから、学業において非凡であることは言うまでもない。

 そして、大学では野球の素質が開花した。高校時代は130キロ程度だった球速は、みるみるうちに伸び、150キロに到達。リーグ史上ワーストの94連敗ばかりが注目を集めていた東大の話題をガラリと変えた。3年夏には東大史上33年ぶりの大学日本代表入り。高校時代に甲子園経験者がズラリと揃う東京六大学リーグで、3年生までに4勝をマークしているのである。

 最も注目されたのは、溢れる才能がゆえの進路だった。入学当初は「国を動かすような仕事に興味がある」と発言。キャリア官僚などを多く輩出する法学部に3年から進み、卒業後の可能性は野球以外にも広がっていた。だが、最終学年になる前にプロ志望を宣言。野球の道を選んだ。プロのスカウトも「話題性抜きで実力は評価できる。今年の大学生の左ではNO1クラス」と“野球選手”として高く評価。東大史上初のドラフト1位指名も夢ではない。

 一方、勉学ではなく他競技で日本一となりながら、白球を追っている選手もいる。

陸上100M&200Mで日本一…「サニブラウンに勝った男」と呼ばれた韋駄天

 中大・五十幡亮汰外野手(1年)が、その人だ。何の競技で日本一になったかといえば、陸上。それも花形といわれる100メートルと200メートルである。

 埼玉県出身の五十幡は中学時代、全日本陸上競技選手権大会で100メートル、200メートルの2冠を達成した。それも、破った相手にはサニブラウン・ハキームがいた。サニブラウンといえば、世界ユース五輪でウサイン・ボルト(ジャマイカ)の記録を塗り替えて200メートルを優勝、100メートルとの2冠を達成し、日本人初の9秒台に期待がかかる東京五輪の星だ。

 そんな超逸材を下し、高校では陸上の名門校から誘いを受けたという。しかし、中学生NO1の韋駄天が目指したのは甲子園だった。小1から続けていた野球を選び、栃木の強豪・佐野日大に進学。「サニブラウンに勝った男」とメディアの話題を呼んだが、3年夏は県大会3回戦敗退で夢はかなわず。それでも、プロから注目されるまでに成長した五十幡は今春、東都大学の名門に進学した。

 1年生ながらリーグ開幕戦・日大戦で「9番・中堅」でスタメンに抜擢。50メートル5秒6の俊足を生かし、三塁内野安打を放つなど、白星発進に貢献。翌週の東洋大戦はリードオフマンを託されるなど、ルーキーながら期待値は大きい。3年後には宮台のようにドラフト候補に名を連ねるような選手になるだろう。

 そして、前述の2人のような勉学、他競技の実績を持っている高校生がいる。

スキーで日本一、両親は医者…「スーパー中学生」と騒がれたマルチな逸材

 根尾昴。名前を聞いたことがあるファンも少なくないかもしれない。今春のセンバツ高校野球を制した名門・大阪桐蔭(大阪)の原動力となった2年生だ。

 そもそも、アマ野球界で根尾の名が轟いたのは中学3年のこと。飛騨高山ボーイズの投手として最速145キロをマークして一躍、スーパー中学生として騒がれた。野球もさることながら、冬季競技が盛んな岐阜で生まれ育ち、スキーの実力も図抜けていた。全国中学校スキー大会、アルペンの回転で優勝。ただ球が速いだけではない、驚異の運動センスも話題が広がる要因となった。

 学業も優秀。中学ではオール5に近い成績を残し、生徒会長を務めていたという。さらに、両親が医者という家庭で育った根尾。中学卒業後は医者の道も見越し、医学部を持つ私大の、関東にある系属強豪高への進学が噂されたこともある。しかし、結果的に中田翔(日本ハム)、中村剛也(西武)、藤浪晋太郎(阪神)ら多くの名選手を輩出している大阪桐蔭に進学した。

 高校では投手のみならず、遊撃、外野とポジションでもマルチな才能を発揮した。3月のセンバツでは投打で活躍し、5年ぶりの優勝に貢献。根尾自身にとっては中学のスキーに続く日本一となった。当然、溢れすぎる才能に逸材にプロのスカウトも注目。「ポジションは獲ってから決めればいい」と舌を巻くほど評価が高い。ドラフトイヤーとなる来年は、さらに熱視線を浴びるはずだ。

 こうして見ると、パワー、スピード、技術、体力、頭脳……あらゆる能力が問われる野球でプロの注目を集める選手たちは、他分野で実力を発揮した選手は少なくない。もちろん、その過程には白球を追うと決める葛藤はあっただろう。それでも、決断が正しかったと胸を張り、これから野球界を盛り上げていってくれるように――。彼らの豊かな才能が育まれることを期待したい。