機械油まみれの茶葉で入れた鉄観音は、烏龍茶のように茶色っぽくなる

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 数十年前に精肉され、冷凍庫で眠り続けていたゾンビ肉が流通していたことが問題となった中国で、今度は「ゾンビ茶葉」の存在が明らかとなった。

 中国人にとって、重要な存在である茶。特に飲茶文化が盛んな広東省では、外食の際は用意された食器を茶で洗うことから食事がスタートし、茶を飲みながら料理が運ばれてくるのを待つなど、生活には欠かせないものだ。ところが、その茶の安全が脅かされている。

 広州市にある芳村茶葉市場は、年間取引額が15億元(約240億円)を超える、中国最大級の茶葉卸売市場だ。茶葉の世界はピンキリで、100グラム当たり1万元(約16万円)以上もする高級茶葉もあるが、「広州日報大洋網」(4月19日付)などによると、ここでは500グラム10〜20元(約160〜320円)程度の安物の茶葉が主流だという。記者がプーアル茶専門店に潜入取材したところ、10元ちょっとで売られているプーアル茶は、なんと出がらしを再利用した“ゾンビ茶”だと、オーナーは断言する。彼はこうした実情を知っているため、外の店で茶を飲むことはないという。

 華南農業大学園芸学院の曹藩栄副院長によれば、ゾンビ茶はまだマシなほう。工場での加工中に設備の機械油が混入した、油まみれの茶葉を市場で見かけることも少なくないという。飲めば人体に有害なのは言うまでもない。それだけではない。眼精疲労にいいとされている菊茶には、防カビや漂白目的で食品偽装によく使われる硫黄を吹きかけた菊花が使用されていることがあるという。硫黄には毒性があるので、飲むなんてもってのほかだ。

 報道を受け、ネットでは「道徳心がここまで地に落ちて、まだ希望はあるのだろうか?」「国務院(日本の内閣に相当)の食品衛生監督部門は、ただのお飾り?」などと、絶望や怒りの声が噴出。「お茶を飲むのも命懸けだ」と皮肉を述べる者もいた。

 しかし、不思議なことに、後追いするメディアはそれほど多くない。いつもは不祥事があればすぐに飛びつくはずなのに、いったいなぜだろうか? 中国茶を日本に輸出している日本人は、こう説明する。

「中国茶は偽物が多く流通していますが、当局はそれほど摘発に力を入れていません。なぜなら、茶が中国人の生活に、あまりに密接に関わっているからです。取り締まりを厳しくすれば流通量が減り、価格が上がります。生活に密着している茶の価格上昇は、国民の不満に直結する。今回、国内メディアが沈黙して後追い報道をしないのは、当局が規制している可能性もあります」

 カネのない庶民は黙って毒茶を飲んでおけ、ということか。日本でも、安い中国茶には気をつけたほうがよさそうだ。
(文=中山介石)