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日本製紙は、宮城県・石巻市の石巻工場にセルロースナノファイバー(CNF)を年間500トン生産可能な世界最大級の量産設備を完成させ、稼働を開始した。

同設備は、同社も参画した新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「NEDOプロジェクト」の成果をもとにしたもの。「NEDOプロジェクト」では、ナノテク・先端部材実用化研究開発や、セルロースシングルナノファイバーを用いた環境対応型高機能包装部材の実用化技術を開発している。同社は、東京大学大学院農学生命科学研究科の磯貝明教授らが開発した、CNFの酸化が最も効率的に進むTEMPO触媒酸化法の最適条件の検討や、構造評価技術の開発を行い、木材パルプを原料にCNFを効率的に量産化する技術を確立した。これにより、パルプが解繊しやすく均一な幅のナノファイバーを得られるようになったという。

この基礎的な技術開発を基に、日本製紙は、2013年に山口県・岩国市の岩国工場に実証生産設備を設置し、技術開発を進めてきた。同社の技術開発したTEMPO酸化CNFは、透明でさまざまな機能付与が可能であることが特徴で、2015年には、世界で初めてTEMPO酸化CNFに抗菌・消臭機能を付与してシート化し、現在は同社グループの日本製紙クレシアの大人用紙おむつや軽失禁用ケア商品にも抗菌・消臭機能を付与したCNFのシートが使用されているという。また、TEMPO酸化CNFは、機能性シートだけでなく、機能性添加剤やナノ複合材など、幅広い工業用途での実用化が見込まれている素材となっている。

今回稼働を開始した石巻工場は、年間生産能力500トンのCNFを量産することができ、TEMPO触媒酸化法により化学処理した木材パルプから繊維幅が3〜4nmと均一に完全ナノ分散したCNFを生産することができる設備となっている。量産されるCNFは透明で、さまざまな機能付与が可能となっている。また、今後は、機能性シートや機能性添加剤、ナノ複合材など、幅広い工業用途での実用化が見込まれている。そのほか、NEDOでは、石油枯渇等の原料リスクを低減するため、非可食性バイオマスからのCNFの一貫製造プロセスの開発を引き続き推進し、持続可能な低炭素社会の実現を目指すということだ。

(シマダマヨ)