北海道の王子ホールディングスの農場で栽培された国産の甘草。(画像:王子ホールディングス発表資料より)

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 化粧品会社アルビオンは、王子ホールディングスが北海道の農場で栽培している国産の甘草(カンゾウ)から抽出・精製された主要成分のグリチルリチン酸ジカリウムを、同社が製造する化粧品の原料の一つとして実用化することに成功したと発表した。

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 甘草は古くから生薬として用いられている植物である。マメ科カンゾウ属植物の総称であり、根や根茎を乾燥させて用いるのが一般的だ。江戸時代から、江戸の小石川御薬園などで栽培された実績があるが、安い輸入品に押され、オーストラリア、中国などからの輸入がほとんどを占めるようになっている。

 ただ、輸入ものはグリチルリチンの含有量が安定しないこと、また乱獲により絶滅が懸念されていることなどがあって、近年、再び国産化に光が当てられていた。ゆえに、複数の企業・研究機関が、甘草の品種改良や国産栽培に挑戦しているという現状がある。

 甘草には様々な用途がある。中医(いわゆる漢方)においては、鎮痛、鎮痙、解毒、鎮咳の効果があり、様々な窮迫症状を緩和する、とされている。西洋医学の観点からは、その主成分であるグリチルリチン酸ジカリウムには抗炎症作用があり、たとえばニキビの治療などに用い得ることが知られている。

 また、甘草は名前の通り非常に甘いので、甘味料としても用いられる。その甘さ、実にショ糖の150倍であるという。醤油の風味づけにも使われているし、リコリス菓子(飴とグミの合いの子のような、欧米ではポピュラーな菓子)やルートビアの甘さは甘草によるものである。甘草を用いたリキュールもある。たとえば、ドイツのイエーガーマイスターなどは多くのハーブのうちに甘草を含んでいる。

 なお、アルビオンは、トレーサビリティの確保のために甘草の国産化を進めたのであるが、それだけではなく、今後は薬用利用にも用途を拡大していきたい考えであるという。