ソニー、レンズ交換式一眼カメラ「α9」の商品説明会を開催

写真拡大 (全13枚)

ソニーは2017年4月21日、Eマウントのレンズ交換式一眼カメラ「α9」を発表した。α9は、最高20コマ/秒の高速連写が可能で、高速連写中でもファインダー内は暗くならず、音と振動は一切発生しない。一眼レフカメラでは実現できないミラーレスカメラの特徴を生かした撮影領域を実現しているのが特徴だ。スポーツや報道のスチルカメラはキヤノンとニコンの独占状態だが、α9の登場によって報道の現場でもソニーのミラーレスカメラが使われるようになるのではないだろうか。4月21日、東京・品川のソニー本社でα9と望遠ズームレンズ「FE 100-400mm F4.5−5.6 GM OSS」の商品説明が行われたので、その発表内容を紹介をしよう。

熊本地震の困難の経て誕生した新型イメージセンサー

α9の説明に入る前に、坂本氏による新型イメージセンサー誕生までのエピソードが紹介された。2016年4月16日、熊本地震が発生し、熊本県内にあるCMOSセンサー製造工場が大きな被害を受けて稼動は停止。工場は損傷し、デジタルカメラや監視カメラ向け画像センサーの製造は停止に追い込まれた。この被害によって、ソニーや取引メーカーの生産にも大きな被害を受けたが、懸命の復旧活動によって2016年末にはフル生産ができるまで復帰できたという。

熊本地震で被害を受けた工場の様子。クリーンルームが崩れてしまっている

この復旧活動の際に重要な任務になっていたのが、当時開発中であった新型イメージセンサーの開発プロジェクトを止めないこと。小笠原氏はこの新型イメージセンサーについて、「表現の可能性を開放し、カメラの性能限界を突破する夢のイメージセンサー」と紹介した。

震災で工場が大きな被害を受けても新型イメージセンサーのプロジェクトは止まることはなかった

地震から1年後の4月21日、新型イメージセンサーを搭載したα9を発表。「技術者の夢が歴史を変える。イノベーションを巻き起こす。現実となる瞬間をずっと待っていました」と無事に発表できた思いを語った。

α9を手に持つソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ デジタルイメージング本部 マーケティング部門 部門長 坂本裕司氏

世界初のメモリー内蔵35mmフルサイズ積層型CMOSイメージセンサーを搭載

α9の解説を行なったのはソニーマーケティングの小笠原啓克氏。まずはイメージセンサーの紹介から紹介を行った。α9には、世界初のメモリー内蔵35mmフルサイズ積層型CMOSイメージセンサー「Exmor RS」を搭載。積層化による回路部の拡張とメモリの内臓により、センサー内の読み出し速度を従来機の「α7II」と比べて約20倍高速化しているという。

現行機種の「α7II」に搭載している表面照射方CMOSイメージセンサーとの比較で、約20倍のセンサー内の読み出し速度を実現

有効約2420万画素の積層型イメージセンサーから読み出された情報は、信号処理回路を通じて内臓メモリに記録し、画像処理エンジン「BIONZ X」がその情報を処理。撮像中であっても光の遮りが一切起こらず、常にイメージセンサーに光を捉え続ける構造を実現しているとのこと。

高速な信号処理と内臓メモリを搭載することで、常にイメージセンサーに光を導く構造を実現している

次に、α9の特徴を具体的なシーンで紹介をした。α9には、像面の93パーセントをカバーする693点の全面位相差検出AFセンサーや、最大60回/秒のAR/AE演算を搭載。これによって、動きが複雑なスポーツ選手であってもより正確にフォーカスを追従させることが可能。また、突然被写体の明るさが変化する環境でも安定した露出を発揮したり、最高1/32,000の高速シャッタースピードにより、輝度の高いシーンでも露出オーバーにならずに撮影が可能となっている。

動きの激しいスポーツシーンに有効とアピール。水泳のシーンの写真が紹介された

ブラックフリー連続撮影は、選手が水中から出てきたシーンで解説した。従来の一眼レフカメラは、ミラー駆動やシャッターの開閉によってファインダー内の被写体の姿はブラックアウトしてしまう現象が起こる。一方、ブラックフリー連続撮影では、ファインダー内の像は消失するこはなく捉え続ける。顔の表面に水をまとっているようなタイミグがシビアな写真でも撮りやすくなると語った。

ファインダー視野は連続撮影時、毎秒60フレームのリフレッシュレートによるライブビューで像を確認することが可能。被写体を途切れることなく、追い続けることができる

テニスのサーブの瞬間を捉えた写真でサイレント撮影を紹介した。サーブのような緊迫したシーンでは、シャッター音で選手の集中が妨げられるために、撮影が禁止されていたり撮影を控えることがある。また、従来の電子シャッターは、無音ではあるものの動体が歪んでしまう問題があることからスポーツ撮影に適していなかった。しかし、α9は電子式のアンチディストーションシャッターの採用でゆがみを抑えている。また、無音無振動での秒間20コマの連続撮影が可能で、従来の撮影ができなかったサーブの瞬間のような静寂なシーンでも撮影に対応できるという。

無音、無振動によって静寂なシーンでも撮影できるようになる

画質の面では、有効約2420万画素、フルサイズセンサーの照射構造により、従来のセンサー構造よりも高い感度特性を実現しているとのことだ。また、進化した画像処理エンジン「BIONZ X」と新開発の画像処理アルゴリズムにより、ISO50から最高204800の広い感度で、高い解像感と低ノイズ、広いダイナミックレンジを両立させているという。

常用ISO100〜51200、拡張ISO50〜204800の広い感度域を実現画像処理アルゴリズムにより解像感と低ノイズを両立させ、質感表現を追求した高画質性能を実現

α9は、プロの高いレベルの要求に応える機能を凝縮させながら、軽量であることもアピールした。バッテリーとメモリカードを含んで673グラムの小型軽量ボディを実現し、同日発表の望遠ズームレンズ「FE 100-400mm F4.5−5.6 GM OSS」は1,395グラムと軽量設計を実現。α9とFE 100-400mmを組み合わせた合計は2,068グラムになり、機動力のある軽量なシステムを実現しているのも特徴とのこと。

1,395グラムの望遠ズームレンズ「FE 100-400mm F4.5−5.6 GM OSS」と673グラムのボディで合計2,068グラム。他社と比べても軽量といえるだろう

また、FE 100-400mm F4.5−5.6 GM OSSは、1.4倍と2倍のテレコンバーターにも対応する。フルフレームカメラ装着時には、最長800mmの超望遠撮影が可能。800mmでの撮影時には、解放F値はF11となるが、α9はこのF値であっても高速高性能なオートフォーカスが可能というのも注目すべてき点であろう。

1.4倍と2倍のテレコンバーターにも対応し、高速高性能なオートフォーカスも可能となっている

α9の発売は5月26日、予約販売は4月27日10時より開始予定。FE 100-400mmの発売は7月を予定。また、プロフォトグラファーを対象とするα9撮影体験会の開催も予定中で、準備が整い次第、ソニーイメージングプロサポートのページで案内するとのことだ。

α9の発売は5月26日、FE 100-400mmの発売は7月を予定

製品発表会では、α9を実際に手にとって撮影ができる機会も得られた。α9は連続撮影中でも一眼レフカメラのようにファインダー像は暗くなることはなく、ビデオカメラのビューファインダーを覗いているような感覚に近い感じだ。また、従来の一眼レフカメラの連続撮影は「ガガガガ」とシャッター音と振動が発生していたが、α9では連続撮影中でも無音で振動もまったく存在しない。スチル撮影だが、ビデオ撮影のような感覚というのが印象的であった。