全米ベンチャーキャピタル協会会長が語る「日米VCのゆくえ」

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来日した全米ベンチャーキャピタル協会会長ベンキー・ガネサンに、今後、VCとそのエコシステムが果たすべき役割について聞いた。

─米国経済においてベンチャーキャピタル(VC)が果たした役割は。

VCによるリスクマネーの供給はイノベーションに加え、雇用創出と経済成長に大いに貢献してきた。スタンフォード・ビジネススクールの統計によれば、米国全公開企業の43%が、VCの支援対象。そうした企業が、米国の全従業員の38%を雇用し、時価総額でも57%を占める。

2016年、米国企業の時価総額上位5社をアップル、アルファベット(グーグル)、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブックが占めた時期があったが、すべてVCから投資を受けている。そのうち3社は投資を受けて20年未満の企業だ。現在、ユニコーン企業上位5社もすべてVCからの投資を受け、4社は創業10年未満。こうした若い企業が経済の中心にいる。

さらに、VCによる真のインパクトは、新産業の創出だ。バイオテクノロジー産業、宇宙産業も、その成立にVCが大いに貢献した。かつては資金を提供する「バンカー」のような役割だったVCも、企業を育て、新産業の創出に一役買う「ビルダー」として、米国経済を導いている。

─日本の現状、今後をどう思うか。

日本の時価総額上位100社のうち、創業20年未満の企業は楽天だけだ。こうした事実は、まだ活発なVCのエコシステムがないことを表している。VC出資合計額の日米比較をすると、75倍の差がある。

では、どうすればいいか─。米国はVC投資活性化のための施策を数多く投入してきた。例えば、日本でも米国のように年金基金のポートフォリオの一部に、VCへの投資を組み入れるよう促進することが得策だろう。

また、大企業が積極的にエコシステムに参加するべきだ。米国では、CVCの割合が1995年の7.3%から15年には21%に上昇。M&A(合併・買収)の総額も40億ドル(95年)から1600億ドル(15年)へと大きく増加している。大企業のエコシステムへの参加、そして貢献が、スタートアップシーン、ひいては日本経済の成長につながるはずだ。

NVCA会長である私の使命は、米国をはじめ世界中でイノベーションを奨励し、育むこと。日本のような才能の溢れる国がその推進力となることを期待する。


ベンキー・ガネサン◎MenloVenturesマネージング・ディレクター。全米ベンチャーキャピタル協会(NVCA)会長。Globespan Capital Partnersを経て、2013年より現職。コンシューマーおよびエンタープライズ部門の投資を担当する。